1. 誰の色にも染まる白い女、誰の色にも染まらない黒い女、どちらが正しいか

斎藤薫の美容自身2

2017.01.11

誰の色にも染まる白い女、誰の色にも染まらない黒い女、どちらが正しいか

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 今月のテーマは誰の色にも染まる白い女、 誰の色にも染まらない黒い女、どちらが正しいかについて。毎月第2水曜日更新

誰の色にも染まる白い女、誰の色にも染まらない黒い女、どちらが正しいか
齋藤 薫
ビューティジャーナリスト
by 齋藤 薫

男が変わるたびに、自分もそっくり変わる生き方はあり

先ごろ、あちこちでこんな会話が聞かれた。付き合う男によって、生き方をすっかり変えてしまう女って、あなたはどう思う? 言うまでもなく、女たちにとってちょっと気になる事件を受けての会話。薬物所持で捕まった"元女優"は、ミュージシャンと付き合えば"作詞家"になり、ダイバーと付き合えば〝素潜りの日本代表〞となり、医療大麻推進運動家と付き合えば、〝医療大麻推進政治家〞になるべく立候補してしまう……大麻所持の問題は別として、女ならば誰でもそこに引っかかったはずなのだ。自分の場合はどうだろうと。いや、自分にはきっとできないけれど、全面的に否定はできないと。逆にちょっと素敵かもと思う人も少なくなかったはずなのだ。だから考えさせられた、男によって生き方を変えるって、ありなのか? 

単純に考えてしまうと、そういう人は全く主体性がなく、男に振り回されてる印象しかないはず。しかし実際その人は、男が変わるたびに新しい世界といちいち本気で取り組むから、結果として人生をいくつも体験してしまうわけで、ぼんやり生きるよりも、よっぽど充実した人生を送れてしまうのだろう。主体性がないどころか、自我が強いからこそ、こういう生き方ができるのではないか。

そういえば、こんな女性がいた。付き合う男性が変わるたびにファッションが思いっきり変わる。エリートサラリーマンと付き合ってる時は、キャサリン妃かと思うような巻き髪にワンピにヒールを履いて、もう子供の頃からこのスタイルを貫いているような、堂に行ったエレガンス女を演じていた。ところがある日突然、本当にいきなり、つなぎのジーンズをロールアップする的なとことんカジュアル、とことんナチュラルなテイストに変わるのだ。彼がいつの間にかアーティストに変わっていたのだ。なんでも画家の卵とか……。すると彼女は巻き髪を、頭のてっぺんでお団子を作るようなキッチュなヘアスタイルに変えていた。一人の女が"行き来"できる髪型の範囲を超えていると思ったもの。ある意味の"女力"、恐るべしと思ったものだった。

やがてその変化が面白くなってきて、申し訳ないけれど、彼氏が変わるのを心待ちにしていたら、これまた唐突に肌が黒くなった。新しい彼氏はサーファーかと思いきや、どうも黒人男性らしいよというウワサを聞いたりもした。

ともかくこの人は、完全に見た目から相手に入っていくタイプだったわけで、今、どんなカッコウで生きているのかと思ったら、タイ人と付き合い始めたのをきっかけにタイに移住、向こうでブティックを始めて、大成功していると言うのである。見た目から入るのは、ファッションに対するエネルギーが人並みならぬものがあったからかもしれないと、後で納得したりもした。何を言いたいのかといえば、こういう風に付き合う男に合わせて、自分をすさまじい勢いでどんどん変えていく女は、じつは極めてエネルギッシュであるということ。

男で変わるのは、何かヤワな、ぼんやりした印象の女をイメージしがちだが、とんでもない。自分を変えるというのも実は並大抵のことではなく、大変なエネルギーを要するのだと言うことを、彼女たちを見ると、逆に思い知らされる。だって自らが"作詞家"になったり、"ダイバー"として成功したり、立候補したり、"リゾートホテルのオーナー"になったり、元女優の職歴に男の存在は全く見えない。男に依存は全くしていないことがよくわかるのだ。男との出会いによって、その都度大きく方向転換はするけれど、結果的に男の力を借りずに、自分がその新しい世界の中、新しい環境の中で独り立ちしている。これは大変なエネルギーと言うべきだろう。つまり、男はきっかけに過ぎない。男との出会いによって、自分の中にある、眠っていた才能が目を覚ます。男は彼女にとって〝潜在能力覚醒器〞みたいなものなのだ。

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誰の色にも染まらない黒い女とは

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