1. デリケートゾーンのかゆみ止めの使い方に注意して!

2018.08.06

デリケートゾーンのかゆみ止めの使い方に注意して!

デリケートゾーンにかゆみを感じても、患部を診せるのが恥ずかしくて病院に行けない……。そんな時に自己判断で市販のかゆみ止めを使っていませんか? 「市販のかゆみ止めを軽い気持ちで常用するのは危険!」と、皮膚科医の慶田朋子先生は警告します。人にはなかなか相談できないデリケートゾーンの肌トラブルについて慶田先生に伺いました。

デリケートゾーンのかゆみ止めの使い方に注意して!

デリケートゾーン近辺も水虫になる!? って知っていた?

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デリケートゾーンやデリケートゾーン近くのそけい部にかゆみを感じる原因はさまざまです。特に女性の場合は、月経やおりものの影響で、デリケートゾーンがかぶれやすく、湿疹が治りづらいことも少なくありません。蒸れやすい部位なので、常在のカビ『カンジダ』が増えて皮膚炎を起こし、かゆくなることもあります。

また、実は水虫も原因のひとつ。みなさん、水虫といえば“足にできるもの”と思い込んでいないでしょうか? 足に水虫があればそけい部にも伝染し、それが原因でデリケートゾーンやそけい部にかゆみを引き起こしている場合もあるのです。

同じデリケートゾーンでも、かゆみの症状やその原因によって対処法は違います。しかし、病院にかかるのが恥ずかしいからといって市販のかゆみ止めを使用している女性が少なくありません。気軽に購入できるデリケートゾーン用のかゆみ止めですが、実は長期間、市販のかゆみ止めを使い続けることは、医者の立場から見るととても危険なことなのです。

市販のかゆみ止めを安易に使い続けると大変なことが!

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デリケートゾーン用のかゆみ止めの主成分は非ステロイド消炎鎮痛剤(NSAID)です。ステロイドは怖いけれどNSAIDなら安心だと思っていませんか? しかし、この成分へのかぶれ(接触性皮膚炎)が意外に多いのです。かゆみを止めるために塗っているうちに、感作され(抗体ができて)かぶれてしまい、もともとの湿疹なのかかぶれなのかよく分からないけど真っ赤でグジュグジュになって皮膚科専門医のもとにようやくいらっしゃる例をたくさん経験しました。その上、NSAIDには、湿疹を治す力はほとんどないので皮膚科専門医は通常処方しません。

さらに、一部の市販のかゆみ止めには、リドカインという麻酔薬が含まれています。麻酔で患部を麻痺させることでかゆみを抑える効果があるので、市販の虫刺され薬などにも含まれています。

みなさん、麻酔薬が入っていると知らなくて市販薬を買っていらっしゃると思いますが、外性器周り(デリケートゾーン)の薄い皮膚や粘膜付近に高濃度のリドカインを含むかゆみ止めを毎日塗り続けると、麻酔成分による重症なアレルギー症状が出るリスクが高くなることをご存知でしょうか? さらに、虫刺されでかきこわして皮膚のバリア機能が壊れているところに薬を塗れば、よりその成分が浸透し、アレルギー症状が現れるリスクが高くなります。

麻酔成分に抗体ができると、ニュースなどでも話題になる「アナフィラキシーショック」を起こすこともあります! 血圧の急激な低下や意識障害などの重篤なアレルギー症状を発症し、命の危険さえあるのです。また麻酔成分でアナフィラキシーショックを1度発症すると、それ以降、最も一般的な麻酔薬『リドカイン』系統を全て使用できなくなるので、緊急手術などへの対応が遅れる危険性も高まります。

デリケートゾーンのかゆみは恥ずかしがらずに皮膚科医へ

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ネットではこの麻酔成分・リドカインによるしびれを利用して、男性の早漏防止の裏技として使い方が話題になっているようです。リドカインを含むデリケートゾーン用かゆみ止めの市販薬を陰茎部に塗ると、そこがしびれることで感覚がにぶり、射精までの時間が長くなるという口コミがあります。陰茎部にこの薬を塗った男性が避妊具を使わずに性行為を行った場合、女性の膣内の粘膜に麻酔薬が直接付着します。粘膜は普通の皮膚とは違い吸収率が高いので、デリケートゾーンに塗る以上にアレルギー症状を起こす危険が高くなることも考えられます。

女性が知らないところでも市販薬が使われ、自分自身でも毎日使っていたら……。麻薬成分入りのかゆみ止めを使う機会が増えるほど、想像もしなかったような危険が起こることを知っていて欲しいと思います。

ですから、恥ずかしいからと言って病院を避けて市販薬を使い続けずに、ぜひ皮膚科専門医のいる皮膚科を受診してください。実は皮膚科にいらっしゃる患者さんの1~2割は、デリケートゾーンを含むプライベートパーツのお悩みを抱えています。デリケートゾーンのかゆみは早期に対処すれば、リスクのない方法ですぐに治すことができます。

取材・文/山本美和