1. 「男糸 danshi」第15回 清川あさみ×ティム・バートン~未公開2ショット&インタビュー

2014.12.22

「男糸 danshi」第15回 清川あさみ×ティム・バートン~未公開2ショット&インタビュー

アーティスト・清川あさみが男性をモデルに刺繍を施す「男糸」シリーズ。第15回となるVOCE2月号(12月22日発売)は、ヴーヴ・クリコが主催する「イエローウィン」のために来日したハリウッドの偉大なるアーティストであり、映画監督でもあるティム・バートンとコラボレーション。憧れのアーティストと初体面を果たした清川さん。彼女のティムに対する熱い思いが溢れ出す!?

「男糸 danshi」第15回 清川あさみ×ティム・バートン~未公開2ショット&インタビュー

ティム・バートンに“食べられちゃいそう”になった!?

本誌でティム・バートンとの初対面の印象を「ピュアで温かい人」と明かした清川さん。
ティムのポートレートに清川さんが刺繍を施して渡すと、「僕は写真が好きじゃないんだけど、こんなに素晴らしいポートレイトをつくってもらったのは初めて。本当に気に入ったよ」と清川さんにビッグハグ! 「食べられちゃうかと思った(笑)」と清川さんが言うほど、ティムのテンションはその日最高潮に達したのだとか。
作品には清川さんがティムと自分との間に見つけた共通のシンボルでもあるグルグルとした渦巻きや、ファンタジーの象徴でもある蝶を刺繍。刺繍の意味をティムに説明したのかと聞くと、清川さんは「彼は感覚の人だと思うから、説明する必要もないと思ったの」と一言。「刺繍の縫い込まれた感じとか、一瞬で分かってくれたと思う。とにかく彼はすごく感動して、興奮してたの。どうやって作ったの?と熱心に聞いてきたし(笑)。全部写真に刺繍しているのよって伝えたら、とても驚いていたのが印象的でした」 

ティムと清川さんを結ぶ、数多くの共通点

「『シザーハンズ』でジョニー・デップが演じた役は、私が好きな人間のタイプでもあるんです」と清川さん。「見た目は怖くて、狂気を持っているようなのに、中身がとても温かい人。ティムが描くキャラクターはどれもそんな印象を受ける。見た目は目玉が飛び出ていたりと、毒っぽくてエグさもあるのに、キャラクターの内側はとてもピュアでいとおしい」

清川さんの新作アートは、先日開いた個展でも発表された『TOKYOモンスター』。
「そこでつくった作品とティムのキャラクターが繋がっているように思えた」のだと清川さんは続けた。
『TOKYOモンスター」も、若い子たちがピュアにコンプレックスを抱えていて、それをカバーするために着飾っている――。そんな怪獣たちが東京をさまよっているように思えて作品にすることにしたんです。みんなすごくピュア。消えたくないとか、好きな人を手に入れたいとか、好きな将来に向かって頑張りたいとか、内側ではそう思っているのに、外側はまるでモンスターのよう。まるでティムの映画のキャラクターみたいだなって感じたんです」

もうひとつ、ティムの作品をこよなく愛する理由が「彼の世界観には常に夢や希望があるところ」だと語った。「ティムはとても温かい人たちに囲まれているのだと思う。幸せや他人の気持ちが分かるからこそ、作品に“毒”が生まれるのかなって。毒々しい場所にいるから毒が生まれるわけじゃなくて、ハッピーだったり温かさのある環境にいるからこそ生み出せる“毒”なんだと思うんです。どんなに不幸なテーマを描いていても、そこに夢や希望、勇気を与えているのがその証拠。私もそうありたいなと思います」

「もっと自由にやろう!」そう思わせてくれたティムの存在

初めて『シザーハンズ』を観たときから、ティムの作風、そして彼が紡ぎ出す物語に引き込まれたという清川さん。彼と実際に会って話したことで、同じアーティストとして、何かインスパイアされたものはあったのだろうか。
「むしろ、このままでいいんだなって思いました(笑)。彼もいろんな作品をつくっていて、私も空間やデザイン、アートなどさまざまな分野を手掛けているけれど、結果として光に向かっているのは間違いないから。自分のやりたいことがブレないままでここまで辿りついてよかったなと思っています」と潔い発言。そのあとに「もっと自由にやってもいいのかもね。日本にいると、賢くいないといけないし、いい子でいなくちゃいけないけど、もっと表現は自由であるべきかも。ティムを見ていて、そう思いました」と付け加えた。

ティム・バートンが描く世界観は、どれもひと目見れば即座に「あ、ティムの作品だ」と分かるほど特徴的だ。一見、暗く、おどろおどろしい印象があるが、最後まで観れば、そこに必ず“光”が見えてくる。「その感覚に近いものを私も持っている」と清川さんは語った。「尊敬するアーティストはたくさんいるけど、その人たちはどこか自分と同じ感覚を持っているから、それで好きになるのかも。恋人と似ているよね。どこか自分の感覚の中の、ぽっかり空いている穴を埋めてくれるような存在。単純に憧れるというよりも、ティムは、まさにその穴を埋めてくれるセンパイのような気がしています(笑)」


清川あさみ
アートディレクション、衣装、広告、美術作品の制作まで幅広く活躍するアーティスト。ポスター、CMの広告制作などをトータルで手掛けた全国19店舗のパルコのクリスマスキャンペーンが展開中。


ティム・バートン
1958年8月25日カリフォルニア州生まれ。ディズニー社のアニメーション部に入り、短編ストップモーション・アニメ『ヴィンセント』を初監督。ディズニー退社後の‘85年に『ピーウィーの大冒険』で長編映画デビュー。『シザーハンズ』『バットマン』など有名作品を制作。


『ティム・バートンの世界』は1月4日まで!
ティム・バートンが幼い頃から描きためてきたスケッチやデッサン、手紙など約500点を展示。2015年1月4日まで森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)にて。また同エリア内のマドラウンジでは、展示とコラボレーションしたヴーヴ・クリコの「イエローバー」が12月25日までオープン中。


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VOCE2月号(12月22日発売)

男糸 danshi Vol.15
ティム・バートンさん編

完成した作品は、ぜひVOCE本誌でチェックして!

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photograph:Kai Chenche design:Kohtaro Hori/horitz