
ちょっと前からよく耳にするようになった「自己肯定感」という言葉。自分で自分を肯定してあげることができれば、どんなときでも自分の力で自分を幸せにできるようになる――。皆、そのことは何となく理解していて、自己肯定感を高めようといろいろ努力をしています。でも自己肯定感が何たるかを知らず、ただ高めようとしても無理! 自己肯定感の第一人者と言われる心理カウンセラーの中島輝さんと、『マンガでわかる自己肯定感~たった30分読むだけで前向きになれる~』で分かりやすく学んでみましょう!
『マンガでわかる自己肯定感~たった30分読むだけで前向きになれる~』
著者:中島輝 漫画:なつみ理奈

まずは自己肯定感の定義をしっかり知る!
自分の力で自分を幸せにする――。誰もがその重要性を感じている現代。そのためには自己肯定感を高めることが大事であることも、痛いほど感じているのではないかと思います。でも「自己肯定感って何?」とあらためて聞かれると、正しく答えられる人はどれくらいいるのでしょう?

まずマンガは、自己肯定感とは「自分が自分であることに満足し価値ある存在として受け入れられる事」と解説してくれています。
しかしここでまた、次なる私たちの曖昧な自己肯定感解釈が浮き彫りになってきます。それは、自分の中の自己肯定感は「高い」「低い」などと、常に同じ高さにあると思っていること。でも違います。自己肯定感には波があって、同じ人でも自己肯定感が高いときもあれば低いときもあるもの。そのことに気付き、対応していくことが大事なのです。

では低い自己肯定感を埋めるためにはどうしたらいいのか? ここで多くの人は、またもや大きな勘違いをしている可能性があります。それは、埋めるべき自己肯定感の種類は一つだと思っていること。しかし自己肯定感は、何と6つもの“感”によって支えられているのです!

自分に「いいね!」をあげられる自尊感情、好きな自分も嫌いな自分も「OK!」と言える自己受容感、「自分はできる!」と思える自己効力感、そして自己信頼感、自己決定感、「社会の役に立っている」と思える自己有用感……。
自己肯定感を高めて幸せになるには、自分に必要な自己肯定感を見極め、それに合った方法で埋めていくことが大切なのです!

自分が何に満足していないかが分かれば、埋め方も分かるように
マンガでは、6つの“感”別に、その高め方が分かりやすく解説されています。たとえば昨今、SNSでの「いいね!」中毒に陥っている人は少なくありませんが、この原因は、自分で自分に「いいね!」をあげられない自尊感情の低さにあるのだそう。

でも残念ながら、他者からの承認は他者に決定権があるもの。自分であげることはできません。それゆえ思うような承認を得られず、イライラして余計承認が得られるなくなる、という悪循環に……。

そんな自尊感情の低さを埋めるのに有効なのが、ライフチャートとタイムラインです。

ライフチャートとは、自分にとって重要な人生のテーマを8つ設定し、それぞれの満足度を10点満点で点数化する、というアプローチ。これによって、自分が何にもっとも満足していないかが分かります。そして満足していないことが分かれば、「満足するためにはどうすればいいか?」と具体的な方法が考えられるようになるわけです。

同時に、自分の未来の目標を設定し、それを叶えている自分を想像することも、自尊感情を高めるには非常に有効なのだそう。

このようにマンガは、具体的なアプローチで自己肯定感の高め方を教えてくれています。ではもう一つ、別の“感”の埋め方もチラリと見てみましょう。
ありのままの自分を受け入れるには?
自己肯定感が低い人というのは、決してもともと低いわけではなく、実は過去にあった嫌な出来事によって大きく下げられてしまっている、ということも少なくないのです。

そして嫌な出来事は、忘れようとすればするほど思い出してしまうもの。さらには、そうやっていつまでもウジウジしている自分は何て情けないんだ、と落ち込んでしまう。そんな悪循環に陥ってしまいがちです。

でも人間は不完全なもの。良い自分も、ダメな自分もありのままに受け入れることが必要。これが、自己受容感なのです。

この自己受容感が下がってしまっている人に有効なのが、「シロクマの実験」という心理療法です。これは、「シロクマのことは絶対に考えるな」と言われた人ほどシロクマのことを考えてしまう、というもの。だからこそ、忘れたい感情ほどありのままに外に出したほうが、かえって良いのです。

マンガは同様に、他の4つの“感”についても、その埋め方を具体的に教えてくれています。大事なのは自己肯定感を高めていくことではなく、自己肯定感が下がったときにその埋め方が分かっている、ということなのかもしれません。その安心感を持つことができればきっと、簡単には折れない心を手にいられるはず!

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取材・文/山本奈緒子
Edited by VOCE編集部
公開日:2022.05.06