1. Twitterで世界トレンド一位!タイBL実写ドラマが映し出すエンタメの新たな可能性

2020.05.26

Twitterで世界トレンド一位!タイBL実写ドラマが映し出すエンタメの新たな可能性

Twitterで世界トレンド一位!タイBL実写ドラマが映し出すエンタメの新たな可能性

自分らしく生きる。ジェンダーやセクシュアリティについての議論が活発にされるようになってきました。ブーム前夜の匂いが漂うタイBLには、ただ面白いだけでなく、これからの時代をさししめすメッセージがこめられていると前川直哉先生は言います。世界を巻き込むメディア戦略も含め、タイBLに注目!!

【寄稿してくれたのは……前川直哉さん】
ジェンダー/セクシュアリティ研究者。1977年生まれ、福島大学特任准教授。主著に『〈男性同性愛者〉の社会史:アイデンティティの受容/クローゼットへの解放』(作品社)、『男の絆:明治の学生からボーイズ・ラブまで』(筑摩書房)など。

YouTube公式チャンネルから、字幕付きで世界へと配信

『Dark Blue Kiss』の1シーン

『Dark Blue Kiss』の1シーン。GMMTV公式Twitterより

「何で俺たちは他人よりいい人間だってことを証明しなくちゃいけないんだろうな。フェアじゃない。俺もおまえも他の人間と変わらない」
「自分のセクシュアリティが親をがっかりさせるからだよね。いい人間になって、いい仕事に就いて、親に誇りに思ってもらわなくちゃいけない」
「そんなのおかしいよな。俺は自分がなりたいからいい人間になるんであって、男が好きだからみんなよりいい人間にならなくちゃいけないわけじゃない」

タイの人気ドラマ『Dark Blue Kiss』のメインカップルである2人の男子大学生、PeteとKaoのセリフです(日本語字幕:TayNew JapanFCさん)。以前からタイでは若い男性同士の恋愛を描いた実写BLドラマ(タイBL)が人気を博しており、たくさんの良作が世に送り出されています。そしてその多くはYouTubeで公式チャンネルから英語字幕付きで世界へと配信されているのです(全編無料!)。日本をふくむ各国のファンがボランティアで、それぞれの言葉の丁寧な字幕をつけてくださることもあり、その人気はアジアを中心とした世界各地を席巻しています。日本でも以前から熱心なタイBLファンがおられましたが、とりわけ今年2月にスタートした『2gether The Series』は爆発的な人気となり、日本でも多くの人がタイBLの虜となりました。

『2gether the series』の1シーン

『2gether The Series』の1シーン。GMMTV公式Twitterより

ハマるとなかなか抜けられない、そして心地よくて外に出たくなくなる世界のことをファンたちは「沼」と呼びますが、タイ沼にはまった人たちはその沼の広さ、そして一つひとつの作品の質の高さに驚くこととなります。タイでは毎シーズンたくさんのBL実写ドラマが放映されており、そのことがジャンルとしての成熟を呼んでいるのでしょう。若いキャストと制作陣は競うようにより良い作品をつくろうと精力を傾け、時間とお金をかけて丁寧につくられた作品が並びます。そこには「とりあえずイケメンを絡ませとけば視聴率取れるでしょ」といったおごりは、微塵も感じられません(ちなみにイケメンは期待以上に絡んでいます)。

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Twitterで世界トレンド1位『2gether The Series』

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