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【祝・ドラマ放送再開!無料1巻つき】体の浮気と心の浮気はどっちが罪?漫画『ギルティ』作者丘上あいさんインタビュー

更新日:2020.10.12

丘上あいさんによる漫画『ギルティ~鳴かぬ蛍が身を焦がす~』(講談社)。新川優愛さん、小池徹平さん、町田啓太さんらによってドラマ化されたことで話題に。ドラマの放送が6/25日(木)夜11:59〜に再開決定! 愛する人を何が何でも手に入れたいと思うことは罪なのか? 心だけの浮気なら許されるのか? そんな恋愛の正義と罪について、作者の丘上さんとともに考えてみました!

丘上あいさんによる漫画『ギルティ~鳴かぬ蛍が身を焦がす~』(講談社)。新川優愛さん、小池徹平さん、町田啓太さんらによってドラマ化されたことで話題に。ドラマの放送が6/25日(木)夜11:59〜に再開決定! 愛する人を何が何でも手に入れたいと思うことは罪なのか? 心だけの浮気なら許されるのか? そんな恋愛の正義と罪について、作者の丘上さんとともに考えてみました!

体の浮気と心の浮気はどっちが罪?

35歳の荻野爽はファッション誌の編集者で、優しくて料理上手の夫・一真とタワーマンションで幸せに暮らす、いわゆるリア充。でも実は一真は、爽の友人・瑠衣と浮気中。爽も高校時代の恋人・秋山慶一を忘れられずにいる、という秘密が。そして最悪の女に見える瑠衣にも、爽と一真に近づいた裏には、絶対に手に入れたい愛があったのです……。

不倫、嘘、裏切りetc. まさにあらゆる恋の罪が詰め込まれている、といっても過言ではないこの作品ですが、まずは爽の信条である「結婚しているから一線は越えない」ということについて考えてみたいと思います。再会した爽と秋山は、今も心の奥深くでつながり合っている印象。それでも体の浮気がなければ、それは罪にはならないもの? 作者の丘上さんに、どのような思いで物語を描いているのか伺ってみました。

「実は爽は、あえてあまり女性が好きじゃないキャラクターに描いているんです。不倫している同僚を説教したり、秋山と心でつながっているのを感じながら、秋山の妻を思いやったり……。読者の方が主人公だけを応援するような物語にはしたくなかったので、パワーバランスが爽に集中しないよう意識したんです。爽は人に嫌われたくないという思いが強いので、言ってることはたしかに間違っていないように思えますが、人によってはすごく間違っていると思うかもしれない。逆に愛のために手段を選ばない瑠衣のことも、『完全な悪人だと思えない』という方もいるでしょう。どちらに肩入れして読むか、それは読者にお任せしたいなと思って描いています」(丘上あいさん)

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外見の美しさと“女”であることは表裏一体か?

爽は“女”であり続けるために、オシャレで完璧な外見を保っているのも、作品の主人公として特徴的なところ。しかしファッション誌から週刊誌に異動になると、途端に身なりに手を抜き始めます。この「男性のための外見」と思えるような爽の行動も、美とは何かを追求しているVOCEとしては気になるところ。

「完全に『男性のために外見』を意識したわけではなかったのですが、無意識に異動後の爽にはピアスを描かなくなったりしていました。結局、自分を女性として見てくれない人たちの前で女らしくいるのは意味がない、という私自身の思いが反映されていたのかもしれません。実は私、昔付き合っていた人に浮気されたことがあるのですが、その相手がモデルさんもやっているような綺麗な方で。どんなに愛情を持って尽くしても『ああ、結局見た目か』と絶望したことがありました。でも結婚もして、この歳になってみると、外見に関してはそんなに重要じゃないのかな、という気がするようになりました。やっぱり外見より信頼関係かな、と」(丘上あいさん)

人はみなエゴのかたまり

いい人であろうとする一方で、秋山に執着し、知らず知らず周囲を傷つける爽。愛する人を手に入れるためなら手段を選ばない瑠衣。自分の思うように生きたいあまり、人を傷つけることを厭わない一真。そしてその優しさが、結果的に愛する人たちを不幸にしてしまう秋山……。『ギルティ』を読んでいると、結局人はみな、エゴのかたまりなのかもしれないという気がしてきます。

「どうなんでしょうね。これまでの作品は、『それでも人っていいもんだ』みたいなトーンで描いてきたんですよ。それも嫌いではなかったのですが、どこかでずっと、人間の嫌なところや汚いところを思い切り描いてみたいという思いがあって。その気持ちに重点を置いたので、エゴだけを煮詰めたような作品になりました(笑)」(丘上あいさん)

読んでいると、まさに登場人物たちの想いが乗り移ってくるような作品。描いていて、疲れるときはないのでしょうか?

「正直、こんなに疲れるとは思いませんでした(笑)。とくに瑠衣の感情と向き合う作業が大変ですね。憎しみや恨みの言葉を描き出すために何時間も悩むって、想像以上の疲労で。でも描いていて一番楽しいのも瑠衣なんです。作家として『こんなものも描けるのか、自分』という発見がありましたので」(丘上あいさん)

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