
初めて自分のお小遣いで買ったコスメは何ですか? 悩める思春期に強い味方となってくれた青春コスメは、時を経ても鮮烈に甘酸っぱい記憶を呼び覚ましてくれます。この胸のときめき! “あの頃”の自分に寄り添ってくれたコスメをひも解けば、美容が私たちに与えてくれる胸キュンな高揚感を思い出すことができます。そう、いつだって、コスメは私たちの強い味方!
【執筆してくれたのは……】
竹村真奈さん
編集プロダクション・タイムマシンラボ代表。ファンシーなガーリーカルチャーを本に閉じ込める仕事や企画・プロデュースを中心に活動中。『80 -90’s TEENS BEAUTY BOOK』(ギャンビット)、『’80sガールズファッションブック』(グラフィック社)、『整理収納を仕事にする 片づけのプロ10人に聞く、暮らしと人生の整え方』(翔泳社)など他多数。
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とめどなく押し寄せる思春期の悩みとの戦い
80〜90年代にティーンだった世代は、全員スッピン登校が当たり前で、なんなら眉毛だって一度も手入れしたことないまま、元気に通学していました(ヤンキー、コギャルを除く)。ありのまま、素の自分で勝負していた最後の世代といえます。ちなみにケータイもない時代なので、写メはもちろん、ビューティ系の加工フィルターなんてものも当然ありません。写真を撮るときは「写ルンです」を愛用。カメラ屋さんに持っていって、いちいち現像・プリント・焼き増ししていました。どんな写真が撮れたかもその場でわからないし、撮り直し不可なので(そこがインスタントカメラの魅力でもあるのですが)、その場で抹消したい写真がこの世に残っている確率が高くてツライ世代ともいえます。自分では抹消したはずの写真を友達が長年大事に持っていたりと一生涯油断は禁物です。
そうして、現代では考えられないようなアナログな思春期を搾りたての果実くらいフレッシュな気持ちで迎え過ごしていたわけですが、同じ人間ですもの。悩みは今も昔も変わりません。食べてないのに太っちゃう! 雨の日のあほ毛が気になっちゃう! 洗顔してもニキビができちゃう! 汗臭くない? 口臭くない? と、とめどなく押し寄せる思春期の悩みと否応なく戦うことになります。
SNSどころかネットもない時代でしたので、『りぼん』(集英社)と『なかよし』(講談社)くらいしか読んだことのなかったわたしは、本屋さんに行っては穴が空くほどティーン誌を読み漁り、友人らとニキビが消え失せるその日まで(※結論、大人になってもできるときはできる)、情報過多の現代に生きるティーンに負けないくらいお肌の悩みに関するリサーチをしました。母親や近所のお姉ちゃんからの口コミも侮れません。そして、悩める少女の心を鷲掴みにするスキンケア商品が世の中にはたくさんあるのだと知りました。当時出会った神様のようなスキンケア商品やゆくゆく手にするキラキラコスメたちは、何十年という月日を経ても青春の記憶と共に心に刻まれています。
スキンケア・デビューのキッカケは、いつだってニ・キ・ビ!
わたしのスキンケアデビューは、にっくきニキビ! 洗顔しても何してもできるニキビの嵐。なぜこんなところに? 朝起きるとニキビが大きくなってない? と(反抗期も相まって)毎日プンプン怒っていた気がします。思春期ニキビの強い味方的製品の中でも、わたしが手に取ったのは当時清楚系美少女として人気だった女優の小川範子さんが(1988年11月~1990年10月)TVCM出演していた「びふナイト」(小林製薬/写真は1986年)。夜眠っている間に効果を発揮して、ニキビを予防してくれる“ナイト用法”で一躍注目されました。ニキビに直接塗れるところが頼もしく、山盛り塗りたくっていたのを思い出します。
「ビフナイト」小林製薬/1986~
※当時の商品名は「びふナイト」だった。
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思春期コスメの入り口は洗顔料!