1. 韓国ドラマ【梨泰院クラス】大人気のワケ徹底解剖!主人公【パク・セロイ】の圧倒的今っぽさ【前編】

2020.07.09

韓国ドラマ【梨泰院クラス】大人気のワケ徹底解剖!主人公【パク・セロイ】の圧倒的今っぽさ【前編】

韓国ドラマ【梨泰院クラス】大人気のワケ徹底解剖!主人公【パク・セロイ】の圧倒的今っぽさ【前編】

話題沸騰中の『梨泰院クラス』は” 韓国ドラマの常識破りてんこ盛り”だった! 大人気の理由を紐解く『梨泰院クラス』解剖シリーズ。前編は、復讐に燃える主人公パク・セロイがなぜ熱狂的支持を集めているのか? 徹底分析!!

乗り遅れ厳禁! 空前絶後の「韓ドラ」大ムーブメント

VOCE

『冬ソナ』以来、それを上回るブームになりつつある韓国ドラマ(以降、韓ドラ)。大きなきっかけは、Netflixで配信中の『愛の不時着』だが、「新たなファン層を開拓した」という意味では、同じくNetflixで配信中の『梨泰院クラス』が断然、勝る。

「韓国ドラマって、どうせ御曹司と貧乏女子が無理めの設定で同居して、ベタないちゃいちゃを繰り返したり、記憶喪失とか復讐とか出生の秘密とか家族のしがらみとかにドロドロしたりして、すったもんだでハッピーエンドなんでしょ」という思い込みで敬遠してきた人こそが思わずハマる、”韓ドラの常識破り”がてんこ盛りのドラマなのだ。

韓ドラ新世代を予見させる「復讐」と「恋愛」を描く

韓ドラ新世代を予見させる「復讐」と「恋愛」を描く

『梨泰院クラス』は、米軍基地を持つソウルの街、梨泰院(イテウォン)を舞台に、韓国のフードビジネスのトップを目指す主人公パク・セロイの恋と仕事、仲間との友情、人生を描く物語。その中で敢えて本筋を2つに絞れば、ひとつは「復讐」で、もうひとつは「恋愛」である。

圧倒的な説得力で”今”を象徴する主人公パク・セロイ

主人公パク・セロイ

高校生3年生のパク・セロイは、父をひき逃げし見殺しにした同級生グンウォンを死ぬほど殴り、刑務所に服役する。グンウォンは地元を支配する外食大手「長家(チャンガ)」の会長チャン・デヒの長男かつ跡取り息子で、事件の真相は闇に葬られることに。そんなわけで、出所後にチャン会長への復讐が開始されるわけだが、いわゆる「韓ドラの復讐モノ」にありがちな「重い、辛い、ドロドロ」がほとんど感じられない。

「オレってすげえ」を絶対言わない、#MeToo時代の”かっこいい男”

「オレってすげえ」を絶対言わない、#MeToo時代の”かっこいい男”

ヨン様以来「韓ドラの男性キャラクター」は時に「叫びすぎだろ!」と思うほど感情表現が豊かで、その強い思いゆえの「オレ語り」好きがスタンダードだったが、パク・セロイはそうしたことがほぼない。ドラマ全編で「感情爆発シーン」は、ほぼ第一話にある「父親の死」と「グンウォンをボコる」場面のみ。ちょっとやそっとでは揺るがない強さと、先の先まで読む冷静さで淡々で計画を遂行してゆく。パク・セロイが感情を動かし、原則を破る時は、「仲間を守るため」のみだ。韓国人がいう、いわゆる「カッコいいヒョン(兄貴)」の典型である。

もちろん「カッコいいヒョン」はこれまでのドラマにもいたのだが、セロイが全く新しいのは、それでいながら「有害な男性性」--「お前はオレが守る」と引き換えの「女(もしくはガキ)は黙ってろ」的思考回路--が全くないことだ。米軍基地のお膝元ゆえにソウルで最もダイバーシティが進んだ梨泰院に、セロイが惚れ込んだのも、その自由さゆえだ。ちなみに「有害な男性性」の代表的思考回路のひとつである「オレはモテる」自慢も皆無なのは、「いまだキスすらも経験していない」から。でも『愛の不時着』でヒョンビンが演じたジュンヒョク同様に、それをまったく恥と思っていない。#MeToo先進国・韓国の「今の時代の男らしさ」は、日本の1万歩先を行っている。

さらにセロイは復讐相手のチャン会長親子に対して「ボッコボコにして殺してやる!」とか「同じ地獄を見せてやるぜ」といったブラックかつ粘着な思いを持っていない。彼の目的はあくまでビジネスの上で「『長家(チャンガ)』を潰すこと」。つまりこの物語はパク・セロイが仲間とともに成り上がってゆく、ある種のサクセストーリーなのだ。

最強の悪役”前時代的マッチョな地獄のアボジ”チャン会長

最強の悪役”前時代的マッチョな地獄のアボジ”チャン会長

この道筋を否応なく盛り上げるのが、自らのモットー「弱肉強食」を額に彫っている(嘘です)非情なビジネスマン、チャン会長の存在である。確かにセロイの父親をひき逃げした息子グンウォンも--アホなだけに「もしかしてこっち側の人?」と思うようなオウンゴールを繰り返すものの--かなり悪い。だがその父チャン会長の前では絶望的に小物、キムチの中に入ってるアミの塩辛の目玉レベルに小物である。

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特に第二話、ややもすれば自分の犯した罪にビビり始める息子を鶏小屋に引きずって行き、号泣かまわず鶏を絞めさせ、高笑いする壮絶パワハラ場面の衝撃たるや。ちなみにグンウォンは、この体験がトラウマで自らチキンになっちまったがゆえに、生涯チキンを食べることができなくなる。「こういう父親やったら、そらこういう男になりますがな」という典型のグンウォンは、ある意味では「前時代的マッチョな地獄のアボジ(父親)」の虐待の、ちょっと気の毒な被害者と言えなくもない。

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この”地獄のアボジ”がパク・セロイの前に立ちはだかり、金と権力に物を言わせて全力で潰しにかかってくる。当然ながら、恐ろしく非情で、恐ろしく手強い。セロイも相当しぶとく様々な想定で視聴者を「あっ!」と驚かせるものの、実のところ「言うこと聞く人間は奴隷、それ以下は家畜」と言い放つチャン会長に、一人では到底太刀打ちできないのだ。勝機があるとすれば、彼の周辺に集まってくる様々な人間の協力である。その「最大の飛び道具」といえるキャラクターが、IQ160の頭脳と、70万人のフォロワーを持つインフルエンサー、20歳のチョ・イソ。この人物が『梨泰院クラス』のもうひとつの新しさ--主人公の恋の相手が、ソシオパス(反社会性パーソナリティ障害)のかっ飛び女子だってことなのである。

▶︎韓ドラ【梨泰院クラス】大人気のワケ徹底解剖!<後編>はこちら

▶︎韓ドラ徹底解剖シリーズ<【愛の不時着】編 も公開中

Netflixオリジナルシリーズ『梨泰院クラス』独占配信中

文/渥美志保

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