1. 韓国ドラマ【愛の不時着】大ヒットの理由を徹底解説!俳優【ヒョンビン】の名場面とともにお届け【中編】

2020.08.02

韓国ドラマ【愛の不時着】大ヒットの理由を徹底解説!俳優【ヒョンビン】の名場面とともにお届け【中編】

韓国ドラマ【愛の不時着】大ヒットの理由を徹底解説!俳優【ヒョンビン】の名場面とともにお届け【中編】

令和年代の韓国ドラマブームを代表する『愛の不時着』。どハマりする人が続出している理由とは!? ヒョンビン演じる主人公の名場面を振り返りながら、3つのキーワードで紐解く。『愛の不時着』分析シリーズ、中編(2つ目のキーワード)をお届け!

韓ドラ『愛の不時着』にどハマりする理由は!?

韓国ドラマ【愛の不時着】大ヒットの理由を徹底解説!俳優【ヒョンビン】の名場面とともにお届け【中編】

韓国の財閥のお嬢様で自身のブランドのCEOでもあるセレブリティ、ユン・セリが、パラグライダーで国境を越え北朝鮮に「不時着」し、ヒョンビン演じる北朝鮮兵士リ・ジョンヒョクと、国境を超えた恋におちる--というぶっ飛び設定ながら、見ているうちに「そんなつっこみどーでもいい!」と思えるほどドハマりする人が続出している。

その理由とは、一体なんなのか? ジョンヒョクはなぜあんなに素敵に見えるのか? そしてたどり着いた結末がなんであんなに幸福感に満ちているのか? 作品をじーっと見つめてみると、私達の「現実の恋愛」に決定的に欠けている、3つのキーワードが見えてくる。今回紹介する2つ目、それは「愛を試す障害」である。

『愛の不時着』を紐解くキーワード②:
愛を試す障害

韓国ドラマ【愛の不時着】大ヒットの理由を徹底解説!俳優【ヒョンビン】の名場面とともにお届け【中編】

前回の分析から引き続き、『愛の不時着』の舞台は、なぜ北朝鮮(それも田舎町)でなければいけなかったのか? それは、韓国を始めとする西側諸国ではありえない状況が、北朝鮮であればまだ残っているから。そこには「恋愛ドラマ成功の秘訣」がある。

あらゆるドラマツルギーの基本は、登場人物の前に立ちはだかる物理的精神的な「障害物」を設定することだ。特に恋愛ドラマにおける面白さは(没入感)は、例えば身分の違いや古いしきたり、物理的な距離などによって引き裂かれた恋人たちが、その障害を前に苦悩し葛藤する姿への共感や、ただ一目会いたいってだけで嵐の海に漕ぎ出し、1万キロ踏破し、敵に一人カチコミ、全財産ドブに捨てる登場人物の姿に、愛の深さを見る瞬間にある。だが個人の広範囲な自由が保証され、利便性が究極まで追求された現代の西側世界では、これがなかなか成り立たない。「古いしきたり」ってなにそれ美味しいの? 遠くても飛行機乗ればすぐだし、顔見て話したい時はZoomで!てなもんである。

韓国ドラマ【愛の不時着】大ヒットの理由を徹底解説!俳優【ヒョンビン】の名場面とともにお届け【中編】

そこで繰り出された舞台が、ドラマ中の携帯電話保有率1%ぐらい、停電頻発、他地域への移動の自由ほぼなしの、北朝鮮の田舎町である。

ヒロインのユン・セリが生きているのは、めっちゃ自由であらゆる問題が金で一発解決できるソウルで、さらに彼女は権力と財力にモノ言わせながら「つうか私を待たせるなんて、100年早いんだよ」的にあらゆる男を踏みつけてきた、無敵の財閥令嬢である。ところが北朝鮮では--例えば第2話、一人残された家で停電になっただけで、心細さと不安でただ泣くことしかできない。

恋愛を盛り上げる、北朝鮮の「めんどくさっ!!」な不便さ

韓国ドラマ【愛の不時着】大ヒットの理由を徹底解説!俳優【ヒョンビン】の名場面とともにお届け【中編】

ちなみに北朝鮮の電力事情の悪さ(=暗さ)は、実はこのドラマの大きなポイントだ。第2話の停電はもとより、第4話の、街灯のない市場で迷子になったセリを、ジョンヒョクがロウソク片手に見つけ出してくれる、あの場面。第5話でピョンヤンに向かう電車が止まってしまい、草原で焚き火しながら夜を明かす、ネトフリ(Netflix)が猛プッシュしているあの場面。さらには第6話、ピョンヤンのビアホールでの停電でロウソクの炎を見ていたセリが、思わず「北朝鮮での生活のほうが幸せ」というホンマかいな!?な本音をこぼす場面。こうした場面で二人が物理的かつ精神的な距離を徐々に縮めてゆくのは、その「暗さ」ゆえである。

もちろん携帯電話がないことも大きなポイントだろう。例えば第2話、ジョンヒョクの留守中の急な宿泊検閲(個別宅に対する定期的なガサ入れ)も、第4話で迷子になった時も連絡は取れないし、第8話でセリが何も言わずに姿を消した際、ジョンヒョクはその理由を聞きたいがために、絶不調の身体を引きずって彼女を探すハメになった。だが例え彼らが携帯電話を持っていたとしても、第7話、ピョンヤンのホテルに山のように仕掛けられた盗聴器を見れば、それが盗聴されていないとも言い切れまい。北朝鮮を舞台にした二人の恋は障害だらけ、もはや地獄の障害物競走ぐらいの状況である。

もちろん第10話以降のソウルパートにはこうした不便はないのだが、それでもなおこの「北朝鮮問題」が、最終話の多幸感へとつながってゆく。キーワードは「オリジナルなハッピーエンド」である。

▶︎韓ドラ【愛の不時着】どハマりする人続出のワケ徹底解説!<前編>はこちら

▶︎韓ドラ【愛の不時着】どハマりする人続出のワケ徹底解説!<後編>はこちら

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文/渥美志保

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