長井かおりの世界一わかりやすいメイクの教科書

ヘアメイク長井かおりの突撃レッスン!「本屋の新井」が長井メイクで好印象に!

更新日:2021.06.21

ヘアメイクアップアーティストの長井かおりさんが今回突撃メイクレッスンに訪れたのは、おしゃれ本屋さん「日比谷コテージ」勤務の新井見枝香さん。個人的に面白かった作品に文学賞をあげちゃう「新井賞」など、カリスマ書店員としても有名ですが、実は「踊り子」というもう一つの顔も持つ方なんです! 普段はすっぴんで接客しているという新井さん。ちょっと緊張した面持ちで始まったメイクレッスンですが、みるみる変身にご本人もスタッフも驚きの変化が!

ヘアメイクアップアーティストの長井かおりさんが今回突撃メイクレッスンに訪れたのは、おしゃれ本屋さん「日比谷コテージ」勤務の新井見枝香さん。個人的に面白かった作品に文学賞をあげちゃう「新井賞」など、カリスマ書店員としても有名ですが、実は「踊り子」というもう一つの顔も持つ方なんです! 普段はすっぴんで接客しているという新井さん。ちょっと緊張した面持ちで始まったメイクレッスンですが、みるみる変身にご本人もスタッフも驚きの変化が!

世界一わかりやすいメイクの教科書 丁寧すぎるプロセス付き!

『世界一わかりやすいメイクの教科書 丁寧すぎるプロセス付き!』¥1500(講談社)長井かおり

長井さんのレッスンのやり方はこの本に掲載されています

新井さんは書店員さんでありながら、エッセイを出版したり、文芸誌などでも連載を持つという活躍もされているんです! 今回は、その新井さんに長井メイクの体験記を執筆してもらいました。

まずは新井さんの体験記から!

日比谷にあるおしゃれな本屋で、メイク本や美容雑誌を売っているが、私は常にすっぴんだ。しかし私にはもうひとつの顔がある。1時間かけて舞台メイクを施し、ストリップ劇場で華麗に舞う「踊り子」でもあった。しかしその顔で書店に立てば、私のレジだけ人が並ばないだろう。舞台メイクから、何をどれくらい引けばいいのか分からない。それでつい、すっぴんに逃げているだけであり、決してメイクが嫌いなわけではないのである。

長井かおりさんの本が売れていることは、もちろん書店員として知っていた。しかし、長井さんの何がそれほど読者を惹き付けるのだろうか。一目会って「なんだか素敵な人!」と思った。めちゃくちゃ感じがいい。自然に生え揃った眉、さり気なく上向きなまつげ、品のあるツヤ、そして何より、血色がいい。長井さん、健康そうだなあ。人生が楽しそう。近くにいるだけで、運気が上がりそうな気さえするのだ。接客業の私にとって、ぜひとも見習いたい、見事な好印象っぷりであった。

長井さんは私のメイクポーチの中を、興味深そうに物色する。書店員のときはメイクをしないのだから、中身は全て踊り子用に揃えたものだ。とはいえ、ドラッグストアで買えるお手頃商品が多い。レブロンの下地とパウダー、韓国メーカーのギャルっぽいグリッター、イプサの口紅は去年の限定色。書店員だけに、雑誌の付録率も高い。多色パレットやブラシ、ファンデーションは付録のサンプルで気に入って、デパートで買い求めたカバーマークだ。これはちょっと奮発した。つけまつげを付けるからマスカラはなく、苦手なチークは100均のもので、かわいらしいピンクは、頬骨に入れると、どうもアホっぽかった。顔が青白くなりやすいから、塗らなければ死相が浮いてしまうが、塗れば塗ったで、死にたくなるのである。

長井さんから、まず下地の塗り方を教わった。全体に薄く、均一に伸ばすものと思っていたが、たっぷり指に取って、じぐざぐと目の下辺りに塗る。クマが目立つ私には、ここがとても重要だった。長井さんに教わったやり方で下地をぬっただけで、うな重を食べてたっぷり10時間寝たような顔色である。

次はファンデーションだ。ケースには付属のスポンジがあるのに、長井さんは使い捨てのスポンジを差し出す。私のスポンジは、買ってから一度も洗っていなかった。がんもどきみたいにゴワゴワしている。恥ずかしい。きれいなスポンジで薄く全体を塗り、さらに乗せたいところへ、細かくスタンプのように押して、重ねていく。強い力でザーッと広げていたが、確かにその方法では、せっかく的を絞って乗せた下地も、広がって効果が薄れてしまう。丁寧に仕上げた肌は、立体的でツヤがあり、くすみが自然と目立たなくなっていた。私の肌には、無数のほくろとしみとそばかすとにきび跡があるが、これらを含めて私の顔なのであり、ひとつのシミをコンシーラーで隠すと別のほくろが浮き上がり、それを消すとそばかすが目立ち、気が済んだ頃には塗り壁のような顔になってしまうのだ。変に目立たなければ、それで良し。

お次は肝心の目。踊り子としては、眼窩の窪みを、さらに茶系のシャドウで彫り込みたいところである。ダチョウのようなまつげに負けないためには、多少不自然でも仕方がないだろう。長井さんは、雑誌の付録の多色パレットから、私が一度も使っていない赤系ブラウンを選んだ。チップは使わず、指で乗せていく。あら似合う。指の側面を使って、そのパレットから白っぽいベージュもサッと乗せる。たちまち涙袋が輝いた。

同じパレットから、ゴールドに近い茶色を使って眉毛を描いていたが、長井式はもっと暗い色を使って、チョンチョンと「増毛」するように描き足していく。その上から、明るめの色で「染毛」するのだ。確かにカラーリングした髪の毛だって、根元はやや暗いのが自然であり、実際ヘアサロンでは、そういう風に染めてもらっている。眉毛は自分史上最も美しい仕上がりとなった。前髪を無駄に掻き上げたい。アイラインは黒く太く描くものと思っていたが、茶色で細く、目尻側にちょこっと描き足す。たったこれだけで、かわいさ100倍。私の目、優秀じゃないか。

長井式の塗り方で、マットな口紅もしっくりと馴染んだ。そして何より感動したのが、チークだ。長井さんがプロデュースしたオンリーミネラルの商品「ミネラルソリッドチーク コンプリート」の「ともしび」を使い、長井式で仕上げる。すると全体の印象が劇的に変化し、その場にいた関係者が、ドワッとわき上がったのである。

数日後、メイクレッスンを受けたことを知らない友人と、銀座の資生堂パーラーで落ち合った。パフェをオーダーし、大粒のシャインマスカットを口に入れるため、マスクを外す。友人はハッと目を見開き、「血色がいい!」と私を褒めた。普段どれだけ血色が悪そうに見えていたのかが気になるが、メイクの腕前ではなく、私自身の印象が褒められたことが嬉しかった。「かわいい」と言われるたびに血の巡りが良くなり、パフェの後の熱いハーブティーを飲んだら、酔っ払ったように顔が火照ってしまったほどだ。うふふ、かわいいって楽しい。長井さんに感じた好印象を、自分も少しは獲得できたのではないだろうか。

書店メイクの正解は、舞台メイクから引いていくのではなく、長井式を習得することであった。そして今の私は、むしろこの顔のまま舞台に立ちたいとすら思っている。

長井さんのメイクレッスン動画はこちら!

メイクレッスン後新井さんが描いてくれたPOP。メイクがかわいいんじゃなくて、自分がかわいい。うんうん! わかります。それが長井メイクの真骨頂!

メイクをしたのは……
長井かおりさん

ヘア&メイクアップアーティスト

長井かおりさん

【Twitter】@nagaikaori0918
【Instagram】kaorimake
長井さん登場の記事一覧はこちら!

メイクをされたのは……
新井見枝香さん

「日比谷コテージ」カリスマ書店員

新井見枝香さん

Twitter @honya_arai
東京都出身、1980年生まれ。ある時は書店員、そして最近は「踊り子」という別の顔も持つ。書店では文芸書担当が長く、独自に設立した文学賞「新井賞」は、同時に発表される芥川賞・直木賞より売れることもある。

「本屋の新井」

「本屋の新井」¥1300 (講談社)新井 見枝香

本の紹介
型破り書店員・新井見枝香がつづる、本屋にまつわるエッセイ集。本屋さんを客とは反対のサイドから見てみるとこんなに面白い! 本屋さん好きなら必読の面白エピソードがそろっています。

撮影/浜村達也

Edited by VOCE編集部

公開日:2020.11.25