連載 齋藤薫の美容自身stage2

ケチこそ美容の必勝法~そもそも美容にお金はかからない~

公開日:2015.04.23

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

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美容にお金はかからない……私がそれを知ったのは、毎晩“牛乳風呂”にでもつかっているように肌がピカピカの女性に「何をお使い?」と聞いたら「ぜーんぶ“ちふれ”」という答えが返ってきた時だった。“ちふれ”とは、“地婦連”という婦人団体が「日本の化粧品は高すぎます!」という憤りをこめて作った、“超低価格コスメ”。セルフが今のように充実していなかった時代の“マイナーコスメ界のスター”で、本当に申し訳ないほど安いのに、オモチャではないことが、「化粧品は高すぎる事実」を皮肉なくらいに物語っていた。

だから皆さん“ちふれ”で充分、“ちふれ”で肌ピカピカになりましょう!!という話ではない。私も“ちふれ”を何度か買った。300円のファンデーションってどうなの?という興味半分、他で1品しか買えないところ10品以上買えちゃううれしさ半分だった。でも、買って初めてわかったのは、安い化粧品だからといって、ぞんざいに扱えるものではないということ。それどころか、いつもより丁寧に大切に使っている自分に驚いた。ブラシの質がそれほど良くなくても、「いいのいいの、このお値段だもの、仕方がないよね」とばかりに、かばってあげちゃったりする自分がいたのだ。

それで、高い化粧品以上にキレイに仕上げてあげなくちゃという義務感まで生まれたりして。かくて“ちふれメイク”と思えないような顔が仕上がったのだった。ひょっとしたら私にも「化粧品は高すぎる!」という不満があって、それが“ちふれ”の応援に駆りたてたのか。いや、そうでなくとも、女は“安い化粧品”に対してはおそろしく寛容になる上に、その良さを120%引き出してあげようと一生懸命に使ってあげる。一緒に効きめを作ろうネ、なんて化粧品の協力者と化してしまうのだ。

ファーストクラスのお客がいちばんワガママ言えるのは世の掟。格安エアラインのスカイマークエアラインズでは、乗客のお行儀が妙にいいとか。“高いものほどキレイになれる”と思ってはいるものの“安いものはブスになる”とは思わない。むしろ“ブスになってなるものか”という意地すら生まれる。ケチは“キレイになってヤル!”というエネルギーの源なのである。だから時には“ちふれ”の精神。“ちふれ”ご愛用の肌ピカピカ美人も、「昔は高いものを使ってたんだけどね」と言っていた。あの肌は、“ちふれ”に教わった意地と工夫の結晶なのに違いない。

安い化粧品と女の間には、 一緒に頑張ろうネの情がわく

不思議なもので、“安い服”はそれを着るたび貧乏が身にしみるが、“安い化粧品”は私はこれでだって美人になれる女よと、勇気がわき、誇りさえ生まれる。そして一緒に頑張ろうネと同志的な感情すらわいてくる。それはたぶん、化粧品が生きものだからなのである。

Edited by 齋藤 薫

公開日:2015.04.23

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