連載 齋藤薫の美容自身stage2

きれいにやせたい女~それが幸せへの近道と思う不幸~

公開日:2015.04.23

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

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何もしていないのに、急激にやせていく……そういう経験をすると、“人間はなぜやせて、なぜやせないかの法則”が少し見えてくるもの。

私は過去に2度、それを経験したことがある。うち1度は、たまたまご飯茶わんを買いかえ、それが以前のものよりたまたま極端に少ししかご飯をよそえないデザインのもので、結果的に“1膳”の量が半分まで減っていたことが原因だった。あとで知ったことだが、おかずはきちんと食べ、ご飯の量のみ減らせば人はだいたいやせるのだそうである。この時ばかりは“人間食べなきゃやせる”という、あきれるほど単純な真理を、しみじみ思い知ったのである。

そして、もうひとつのほうは、“完璧な恋愛”が原因だった。“女は恋をするときれいになる”というのも、そりゃあそうなんだけど、具体的にどこがどうなるの? と言われると、きっちり答えが出せるものでもない。いつもより気合を入れてきれいになろうとすれば、肌なんか平気で輝くし、きれいに見えて当たりまえ。

だから“恋愛ホルモン”の存在も、信じているけどどこかでナメてかかってるようなところもあるわけだ。でも体重が1ヵ月で6キロも落ちたりという数字を突きつけられると“恋愛”の副作用を疑わないわけには行かなくなる。ずい分前の話だが、体がふわふわ宙に浮くような恋をしていた時、正真正銘、他に何もしていないのに、1ヵ月に6キロ減った。私はこれを、“恋する浮遊現象”と名づけることにした。

この時私は、モノが食べられなかった気もするし、たくさん食べた気もする。“ご飯が喉を通らない”という表現があるが、食べていても覚えていない、それくらい他のところに意識が行っていたわけで、食欲があるのかないのかの自覚がない。“食欲の浮遊感”は、恋やつれ的な不健康なやせ方ではなく、女をきれいにやせさせるのである。のちに、ある学者が“恋愛をするとTEAという物質が分泌され、満腹感をもたらす”という研究発表をしたのを見た。これこれ、と思った。

この2つの体験から、私はダイエットに対しての意識を180度変えた。“きれいにやせたい”と思うのが女だが、そう思ってる時はやせないのも、また女であると。ご飯茶わんの一件も、恋愛の一件も、気がついた時にはもう充分やせていた。恋愛もせずに、食事の量を意識して減らそうと思っている時は、まるでやせないのにである。その落差があまりに激しかったから、私は本気でこう考えた。“きれいにやせたい”という欲望は、体のどこかで女を逆に太らせるのではないかと。食べなきゃやせるが、食欲と戦っているうちはダメ、食欲の存在を忘れさせるほどの充実感がないと、結局きれいにはやせないのじゃないかと。

女はみんな“きれいにやせれば、幸せが待ってる”と思いがち。でもそれは逆なのだ。中途半端ではなく、決定的に幸せな時、女は放っておいてもきれいにやせる。体が宙に浮くのは、ものの例えではなく“幸せという空気”がお腹を満たすからに他ならない。食欲と戦うより、食欲を他の感情でうめる。それが本当の食事療法なのである。

食欲を空気で満たすダイエット

“食欲減退”系のダイエットは、すでに食欲と自分がどっぷりと向き合ってしまってる。これではダメ、食欲の存在自体を忘れてしまわないとダメなのだ。「あー、空気がおいしいね」ときれいな景色の前で深呼吸する。じつはそれだけで、相当の満腹感があり、あんまりお腹がすかない。“幸せの深呼吸”それは立派なダイエット。

Edited by 齋藤 薫

公開日:2015.04.23

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