1. 急いでやせたい女~何かを奪ってしまうそのエネルギー~

斎藤薫の美容自身2

2015.04.23

急いでやせたい女~何かを奪ってしまうそのエネルギー~

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。


たとえば今激しさを増している“ブランド買い”その直接の“引き金”は言うまでもなく、リサイクルショップや安売り店の急増。でも従来の“ブランド好き”以外の人までが“ブランド買い”に走るその背景には、“全員で何かひとつのテーマを追いかけなければいけない国民的強迫観念”みたいなものがあるような気がしてならないのだ。“今のブランド買い”には、“欲しい欲しい”よりも、持っていないと“まずいまずい”という気持ちのほうが色濃く見えている。つまり“こうありたい感”より“ねばならない感”のほうが強いのだ。日本の女性が作るブームはいつもそう、だからすぐ全国的ブームか出来あがるのではあるけれど、そのもっとも普遍的な形が、これまでは“やせなければマズイ感”であり、最近は“ブランドものを持っていないとマズイ感”に移った。とまあ、そういう話ではないかと思うわけである。

じゃあそれがいけないかと言えば、別にいけなくはない。問題なのは“焦り”である。こうありたい感”は、目標に向かって歩いていくことだから、いつの間にかそれなりの手続きを踏んでいる。いつかバーキンが欲しいと思う女心は“いつか”まではきちんと頑張ろうなんて、女を妙に生まじめにしてしまうものなのだ。でも“ねばならない感”は手続きなど踏む余裕を自分に与えず、とりあえず少々みっともなくてもいいから結果を出そうとさせるのだ。女がうっかり醜くなるのは、そういう瞬間。バーゲン会場ではどうやっても何をしても女が美しく見えないのはそのため。

焦燥感がダイエットからブランドに移ったのなら、むしろ今のほうがダイエットできれいになれる。焦りの集団心理がない分だけ、ダイエットも素直に効くし、なおかつダイエットする姿も、今のほうがずっと美しく見えることは確かである。