1. その瞬間、私の中に掟が生まれた

斎藤薫の美容自身2

2015.04.23

その瞬間、私の中に掟が生まれた

人気連載「齋藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

受け身の美容はウソである

ある日私は決心した。美容室に行くのはやめようと。別に腕があるわけじゃないが、自分が“違うもの”になっていくのがコワかったのだ。髪は顔である。10代の頃から、額に前髪を何本かけるかにこだわってきたのも、髪が顔をつくるから。なのに、髪型だけを単独で完成させて「ほーらお似合い」と言われても……。子供の時に耳に髪を引っかけたとたん、目鼻だちがくっきりするのを発見して以来、トップの立ちあがりも毛先の向きも私にとっては顔だった。だからもうここ6~7年、自分で髪を切って、巻いている。そして初めて裁ちバサミを手にした時、もうひとつの掟がパッと見えた。結局、自分をキレイにできるのは、自分しかいないということ……。

多くの人はたぶん間違えている。化粧品も美容の記事も、アーチストのメイクもエステも美容室も、じつは誰も私たちをキレイにしてくれない。いや、正確にいえば、一時的にはキレイにしたり、ハッとさせたり、その気にさせたりはしてくれる。でも、それをナマのキレイに変えて持続させるのは自分。誰も手を貸してくれやしない。だから私はテクニックを自分で作ろうと決めたのだ。化粧品は乳鉢こねて自分では作れないが、頭はひねれる。メイクの腕はないが、鏡と発見工夫がある。美容とは、すなわち考えること。そう言い切ってもいい。頭を使わずに得たキレイは、顔を洗えば終わり。だから一生もののキレイを得るために、ない頭をひねって、こうしたらああしたらと考え抜こうと決めたのである。今の自分の仕事は、その結果でしかない。だからこれからこのページで書いていくルールも独断的ではあるけれど、みんなが美容を考え始めるきっかけになれば、最高に幸せだ。

裁ちバサミに魂こめて

腕がないどころか、髪を2束に分けて、イチ、ニ……と、ただまっすぐに切るだけ。だからごまかすために、2週間はしっかり巻く。そんな乱暴な……と言うだろうが、いかにも美容室帰りの自分は他人みたいで許せない。裁ちバサミで無謀をしても、魂だけはこめるから、私はいつも大満足。