1. 鏡台を、死なせない!~いつの間にか、誰もそこで化粧をしなくなった時代のささいな提案~

斎藤薫の美容自身2

2015.04.23

鏡台を、死なせない!~いつの間にか、誰もそこで化粧をしなくなった時代のささいな提案~

人気連載「齋藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

鏡台を、死なせない!~いつの間にか、誰もそこで化粧をしなくなった時代のささいな提案~

夫婦の寝室にある大きな鏡台。その前にきちんと座って髪をとかしているのは、ネグリジェに着がえた妻……火曜サスペンスあたりのドラマでは、よく見かけるシーンである。これを見るたび、何となく嘘くささを感じていた私は、思い切って周囲の女性に聞いてみた。「スキンケアとかメイクとかって、家の中のどこでしてるの?」予想は的中した。約半分が「洗面所」。残りの半分が「家のあちこち」。手鏡と化粧品を持って移動しながら、どこででも美容しちゃうというわけである。

たぶん理由はふたつある。ひとつは、結婚する時に“婚礼3点セット”を買うみたいな、ニッポンの正しい家具揃えの慣習がなくなって、早速、邪魔になったのが鏡台だったこと。

ふたつめの理由は、女がいつでもどこでも平気で化粧行為を行う時代になったこと。昔の女は、一家団らん、家族がテレビを見ている前で化粧するなんてことはあまりなかった。化粧行為は着がえをしたり歯を磨いたりするのと同様、人に見せるものではなかったから。でも今や電車の中でも道端でも平ちゃらの時代。家の中のどこでやろうと勝手じゃないのというわけだ。親もだれもそれをとがめない。だからもう鏡台は戻らないだろうけれども、このまま絶滅させるのは少し惜しい気もする。「鏡台の鏡は、キレイな時はよりキレイに、醜い時はより醜く映るから不思議」と誰かが言ったが、本当にそう。ティッシュにも“一般用”と“化粧用”があるように、鏡もやっぱり“化粧用”があって、“一般用”には映らないものを映すんじゃないだろうか。

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