
人気連載「齋藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。
「ねーなんか面白いことない?」「ないわよ。私だって死にそうにヒマなんだから」20代のある時期、友だちとそんな会話をしたことがある。早い話が心がヒマだったのだろう。このままじゃマズイと思った私が出した結論は、「一週間の使い方がヘタッピすぎる!」ということだった。以下はあくまで頭の中で設計した理想の一週間……。
まず自分をつまらなくしてるのは、会社。そこで同じ会社に好きな人をわざとつくる。すると日曜日の夕方以降は「早く会社に行きたいなー」なんて、ついウキウキする効果が。まして会社に何を着ていこうかと、“前向きに悩めること”、これが大きい。月曜日は一週間でじつはいちばん疲れてる日。週末に体のリズムがくずれるからだ。ゆえに月曜の夜は早く帰宅して早寝をし、それからの一週間に備える日と決めよう。3日ぶりに好きな人と会った余韻で“お休みなさい”。火曜日はお買い物の日、服や小物など身につけるものがよろしい。買うまで迷い、買ってからは何と合わせようかしらとアレコレ迷う……これも“前向きな悩み”なり。服が買えないならスカーフを。1枚のスカーフをどう使うかに悩むのは、センスを磨く最良の方法。水曜日は、そのスタイルで人と会う。映画でも食事でも結構、男でも女でもOKだ。初めて何かを身につける日、たとえアクセサリー1個でも体がしゃんとし、心がパリッとする、そんな自分を他人に見せることが、女を育てる近道なり。
さて木曜日は、おけいこ事でもしてみようか。英会話でもお茶でもお料理でも。ジャンル選びのコツは、ひたすら楽しいだけじゃなく、自分を多少とも緊張させるものであること。たるんだ精神のネジをしめる日、そんなふうに位置づけたい。さて金曜日、いわゆる“花キン”は今も健在。この日に予定がヒマだとやっぱり人間かなりさみしい。だから無理矢理にでも“約束”を取りつける。もちろん相手は恋人がベスト。毎週、イブの夜みたいなプレッシャーを自分に与えて、エネルギッシュにデートに持ち込む。ダメならば、しばらく会ってない友だちに、「ねえ会わない?」という具合。ひとりになってはいけない日とする。さあ週末。ここで重要なのは、車があること。平日と休日のメリハリをはっきりつけるために、体を大きく移動させ、できれば海か山か空か太陽か、平日に目に入らないもので視界を埋めるためである。さらに、土曜か日曜のどちらかは、スポーツと言えるものをひとつ入れる。恋人のいない人は必須課目。土日は一週間の休息をとる日なんて考えたら終わり、人間そんなヤワじゃない。肉体をあえて疲れさせることで、心のスキ間に何かが埋まる。動かないと何も始まらないのは、森羅万象、すべての掟なのである。だから土日は、家から出てともかく動こう。
ワクワクに前向きな悩み、適度な緊張にプレッシャー、そして肉体的な疲れ。これらはすべて自分で作るもの、一週間でフルコース。すると一週間はアッと言う間なのに、ものすごく長い。生活はその繰り返し、人生はその蓄積なのである。
一週間をまっ平らに過ごしてはいけない
OLの一週間は、うっかりするとすぐまっ平らになってしまう。それをできるだけ凸凹にすること。でも凸凹なんてジッとしてても誰もつけてはくれない。楽しい日もワクワクする日も 辛い日も疲れる日も、自分の手でつくり出すのだ。OLの平日に、凸凹を!
Edited by 齋藤 薫
公開日:2015.04.23