連載 齋藤薫の美容自身stage2

“猫”的キレイの正体~女はどこかしらみんな猫である~

公開日:2015.04.23

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

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“猫に似ている女”は多い。特に、日本に多いのは単純に、平面的かつ丸顔が多いからなのだろうが、それを差し引いても最近の日本には“猫に似ている女”が多すぎる。今も確実に増えていっている。

これは一体なぜなのかと言えば、まず今の日本におけるメイクのトレンドがきわめて“猫的”であるのが、ひとつの理由。まぶたに淡いブルーを塗り、上のラインを強めに引いて、きつめにカールしたまつ毛にマスカラたっぷり、下まぶたは白パールなどで光らせちゃったりする。眉は相変わらず細めで高め、唇は曖昧色パールありで、立体的にするもあまり目立たせない……思えばここには、あのミュージカル「キャッツ」の舞台メイクのテイストがいくつも含まれている。世界的なメイクトレンドとは別のところで、自然発生的に生まれていく、日本のメイクトレンド。それは気がつけば“猫顔化粧”になっていたというわけなのだ。

’70年代から’80年代にかけて、日本人が好んでしていたフルメイクは、明らかに“犬顔”だった。目をぐるりと囲むように引かれたアイライン、眉は太めで低め、唇もドピンクなどでくっきりと。シェーディングとかハイライトとかを使って、顔を立体的に見せようともがいてもいた。それは紛れもなく犬の顔、欧米人の顔を目指していたら、結果として犬顔になってしまったのである。でも日本人はナチュラルメイクを経て、自分たちの顔を深く知り、そして犬より無理のない猫顔を目指すことになった。女のオバケに“化け猫”はあっても“化け犬”はない。だから日本における“美人顔”は、猫にどれだけ似ているかで決まるのである。そもそも女は心のどこかで“猫みたい”と言われることを望んでいる。コケティッシュな女王様というイメージがあるからで“あなたって猫みたい”と言われたら、たぶん悪い気はしないのだ。

でも“猫みたい”の意味にも2種類あることを忘れちゃいけない。お望み通りの“コケティッシュなキレイ”と“女を捨てたふてぶてしさ”の2種類が。猫はその人生において、正反対の2つの性格を生きていく。子猫の時の憎たらしいほどやんちゃな愛くるしさと、大人になってからの憎たらしいほど笑わない唯我独尊と。不思議なことに人間の女の体の中には、その2つの猫が同時に住みついており、2つが行ったり来たりする。若い頃は子猫だった女性が、ちょっと気を抜いたり後ろむきになれば、すぐ大人の図太い猫になってしまう危険を、いつもいつも孕んでいるのだ。つまり最近、日本に“猫的女”が増えたもうひとつの理由は、笑わない女が増えたから。笑わない顔に猫メイク……これじゃあ女はたちまち“図太い大人猫”になってしまう。一生を子猫でいられたら、女はいつも愛されているが、うっかり大人の猫になったら、愛も注目も逃げていく。だから、猫メイクをする日本の女たちは、特に笑顔を忘れちゃいけないのだ。猫好きに言わせれば、そのふてぶてしさが可愛いんじゃない?となるわけだが女は女、猫じゃない。体の中に住む猫を、いかに愛されるキレイに変えるか、これは日本の女にとって永遠のテーマなのである。

猫メイクの決め手は上まぶたの目尻にあり

長い間、試行錯誤を繰り返し日本人が行きついた日本人メイクは猫メイク。で、その決め手は下まぶたを明るくし上のラインを強くふちどり目尻のまつ毛をくるっと上向き。これで不機嫌な顔をしてるとオバ猫になってしまうけど朗らかに笑えば大丈夫。“愛の子猫顔”になれるはず。

Edited by 齋藤 薫

公開日:2015.04.23

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