連載 齋藤薫の美容自身stage2

“芽の出ない人”の芽が出ない理由は恐ろしく身近なところにあった!!

公開日:2015.04.23

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

将来、何になりたいの?と今の小学生に聞くと、女の子は「お菓子屋さん」、男の子は「大工さん」。どちらも立派なクリエイターだが、“芸術”には行かず、衣食住に関わっちゃうところが、何とも手堅くとっても健気。社会の不安定を目ざとく読んで、人間最後は衣食住……というのなら、あの子たちは末恐ろしいほど正しい。しかし、中学生くらいになると、その答えが「ともかく有名になりたい!!」に変わってくるという。なぜ?と聞けば「お金をいっぱい稼げるから」。なんて、夢がないの!?と最初は少々腹がたつのだけれど、冷静になって考えると、早いうちから人間の究極の欲望に気がついておくと、後が楽なのかしら……なんて思ったりもする。

20代の後半くらいで、「なんで自分は芽が出ないんだろ……」なんて一瞬暗い気持ちになる人がいるはず。自分は生涯、地味に平凡に人に気づかれずに生きていきたいという人は別として、“いい暮らし”を望まない人はいない。それが今までは“いい結婚”で実現しようという人が多かったのが、今はむしろ、自分自身の手による何らかの成功を目指す女性が増えてきている。けれど現実は、学校出て、どこかに就職して、その仕事に慣れて、ふっと我に返るまで、瞬く間に数年たってしまう。その時すでに、先が見えている。だから急に焦り出す。これじゃ間に合わないから、やっぱり“いい結婚”に走っちゃお!という人もいる。が、やっぱり頭をよぎるのは“どうしたら芽が出るんだろ”ということ。

それにしても、日本語ってホントよくできている。成功したり、いっぱい稼げたりすることを“芽が出る”と表現するのは、まさに言い得て妙。なぜなら、芽を出させるためには、よく肥えた土が必要で、種まきが必要で、水と光が必要。ボーッと待っていても何も起こらない。自分は“種”でしかないからだ。「恋人が欲しい」という人にも「成功したい」という人にも、多くの人生相談は、じゃあまずは自分を磨くことだネなんて言うけれど、土を耕して肥やすのも同じこと。だから損得をあまり考えず、何でもやっておく。枯れ葉もゴミも、人工的でないものは何でも土の栄養になるのと同じ。何もしてない人の土には芽は出ない。そして種まきだが、どこへでも種をまいときゃ芽が出てくると思ったら大間違い。ともかく今は“どこに種をまくか?”が何より大事。すでに花がいっぱい咲いているところに種をまいても、新しい芽は出にくいし、出ても栄養はもう残っていない。新しい土地をさがして、ゼロから新しい花壇を作るつもりがないと、種まきは無駄になる時代なのだ。

ちょうど今、“帰ってきた吉田栄作”が注目を浴びているが、売れてる役者がその立場を捨てて、アメリカの映画界という大舞台に場所を替え、イチからすべてを始めたのは偉いと思う。しかし、すでにスターだらけの上に、“9割が失業者”というブロードウェイに種をまいても、そう簡単に芽は出ない。とはいえ土を肥やす栄養をいっぱい持って帰ってきた気はする。だから見事な早さで復帰して、派手な花を咲かせているのだろう。

独立後、瞬く間に成功した女性も、「誰かがすでに成功しているジャンルに飛びこんでも、もう遅い。最低でもまわりをグルリと見まわして、先達がいない場所に種をまかなきゃ」と言っていた。料理を勉強しながら、料理教室ではなく、食器のお教室を始めたのは、そういう理由だったのかと激しく納得。土が肥えていればこその成功だが、新しい土地を嗅ぎ分ける鼻もすごいと思う。

しかしこれだけなら、新種の職業が山ほどできるだけ。世の中そううまくはいかない。芽が出るために必要な要素があと2つあったのを思い出してほしい。水と光。これはモノの例えじゃない。水は潤い。光は華、自信とか前向きさと言ってもいい。「芽が出る人は、結局のところ、人間ができてるんですよね」ある社会学の教授がそう言ってたけど、心に潤いがあり、ゆとりがあり、だから人に優しくできる人が最後は勝ち。でも、光や華もなくてはならない。オーラと言うと荷が重いが、その人がそこにいると周囲がパッと明るくなるような力とでも言うのだろうか。それもないと芽は出ない。栄養をとって新ジャンルをさがして、あとは水と光……何だかまるで美容と一緒。人が輝くのも、人の人生が輝くのも、そのプロセスはみんな一緒なのである。

キレイの芽が出ないのは、どうしてなの?その答えも、じつは同じところにある

「うーん、あの子もいいもの持ってるんだけどね、今イチ芽が出ないよね」広告の制作スタッフの間でそんな会話がかわされているのを耳にした。“芽の出ないタレント”として名前があがった数名の若手。そこには明確な共通点があった。“驚き”がないことである。すでに種まきを終え、芽が出るのを待っているタレントなんて、山ほどいる。その中で芽を出すためには、やっぱり今まず“驚き”なのだ。待ってよ、今は“いやし系の時代”じゃないの?と言うかもしれないが、今を時めく“いやし系”ももともとは世間を驚かすことで芽を出した。新しいいやし系の筆頭、優香も元はと言えばあの巨乳で、いやし系の代表、松嶋菜々子も「お・ま・た」と車の後部座席から長い脚を見せながら登場するCMで、あれは誰?と注目を集めた。最初から最後まで“いやし”で通すのはけっこう難しい時代なのだ。

これは一般女性にも言えること。たまにでいいから、周囲が驚くくらいの“おめかし”をして通勤する。ヘエ、彼女もなかなかやるじゃない?と視線を引っ張っておいてから、いやしに持っていく。これは水と光の力関係で、まず光を当てなければ、その人の中に流れている澄んだ水の存在も見せられないってこと。みんなが平均的にキレイになり始めた時代だからこそ、一発ドカンと打って出る。そのセンスと勇気のある人だけが、キレイを芽ぶかすのである。

Edited by 齋藤 薫

公開日:2015.04.23

Serial Stories

連載・シリーズ