連載 齋藤薫の美容自身stage2

人に見せる素顔と見せない素顔。女は2つの素顔をもっていないとダメになる

公開日:2015.04.23

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

5年間、恋をしないで通してきた女性が突然、恋をしはじめた。こんなにわかりやすくキレイにならなくてもいいのにと思うほど、彼女はきっちりキレイになった。ただ、ふつう恋を始めた女は、髪に時間をかけたり、メイクに手を抜かなくなったり、デート服を着ている日が多いためか、どちらかと言えば派手になり、キラキラ華やかなキレイを生むもの。ところが彼女は違った。どちらかと言えば、地味になる。地味になったのに、キレイになるっていうのは、こりゃ大変な快挙。この世でいちばん難度の高いキレイだからである。一体彼女に何があったのか?

彼氏が“地味好み”だったとか、化粧が嫌いな男だったとか、これはそういう単純な話ではない。けれど彼女は確かにメイクが薄くなり、以前ほど着飾らなくなっている。「私ね、人に見せる素顔ってあるんだなって思ったのよ」ある時ぽつりと言った彼女の言葉こそ、その答え。

あなたも知っているだろう。これだけは、他人様には見せられない見せたくない素顔ってものを、大人の女がみんな隠し持って生きてること。ゴミ出しくらいはその顔でやっちゃうが、近所のコンビニまでは行けないゾみたいな。しかし女は恋人ができて、“ひとつ部屋”で彼と過ごすまでになると、どうしてもその素顔じゃなく、“別の素顔”をもたなくちゃと気づくのだ。

女も25歳をすぎると、化粧顔と素顔が思いのほかかけ離れていく。かと言って、入浴後や朝起きがけの顔に、わずかでも作為的な“裏化粧”があると、男の色黒ファンデみたいに、バレた顔が厄介なこともわかってる。だから“もうひとつの素顔”を何とか彼の前に差し出さなきゃいけないと焦るわけだが、じつはここで女の体には“奇跡”が起きる。他人様に見せられない素顔とは、似ても似つかぬ美しい素顔が、突如生まれてしまうのだ。しかし、これは恋をしている女でないと、決して持てない特殊な素顔で、だから“奇跡”なのだが。

肌が白く透明で、なぜか色ムラが見えなくなり、唇や頬にはほのかな赤みがさし、何より目鼻立ちがくっきり、いつもより整って見える。結果、大げさではなく“ヴィーナス誕生”のヴィーナスみたいな、初々しく清潔な“絵に描いたような素顔”ができてしまうのだ。その時女は、オオ!私にもこんな素顔があったのかと目を見はる。これを化粧で隠してたなんてもったいない……。そう思った日から、メイクが自ずと薄くなり、別に着飾らなくても……という自信が生まれる。美しい素顔を発見した女は、だから地味なのに美しいのである。

それは彼女が一人暮らしを始めて、最初の恋だった。“自宅通勤者”の恋は、むしろ自分がどこまで輝くかを知る恋だが、“一人暮らしの恋”は、自分のキレイの底上げ的な効果をもつ恋、加えて逃げも隠れもできない自分の家で繰り広げられる恋愛は、“日常”や“暮らし”の格を上げ、女を清く正しく浄化していく力がある。しかしここで断っておきたいのは、人として未熟なうちは、素顔の奇跡も女の浄化も起こらない。ニセ素顔を化粧で作ったり、汚い荷物を丸ごと隠したりしているうちは、奇跡も浄化も起こらない。そして、この人にも愛されたいけど他の男にも愛されようとしているうちはダメ。たった一人の人と深く愛し愛されれば本望と、心から想えた瞬間に、奇跡が起こり、浄化もされる。できるなら、未だ見ぬもうひとつの素顔を発見できる恋をしたいものである。

“奇跡”が起こらなかった場合の“ニセ素顔”の作り方を老婆心ながら提案しておこう

ああこういう時って、みんなどうしているのだろ、とふと立ち止まって考えてしまうのが、やはり恋人の前での素顔のあり方。素顔がピカピカの大美人なら、さーさ、どうぞご覧になって!となるのだろうが、日頃“髪形”でごまかしている人も含め、素顔問題はわりに深刻。

てっとり早いのは、アートメイクだけれども、ピークを過ぎたかに見えるアートメイクも、じつは日々進化を遂げていて、昔のような切り絵を貼ったような眉は姿を消し、驚くほど高度なアートメイクが出現している。シミはもちろんシワも毛穴も継続的に隠せて、唇や頬のほんのりした赤み、目がくっきりするだけのインサイドアイライナーまで“奇跡の素顔”そっくりのアートメイクがハリウッドから日本上陸を果たしている。
(問い合わせ先●コスメティック・ピグメンテーション・クリニック・ジャパン TEL.03・5772・6505)

もちろん“まつ毛パーマ”は後ろめたくないニセ素顔として、とても重宝。一晩寝ても落ちないマスカラというなら、資生堂のドラマティカルアイズ(マスカラ下地)を塗った上に、にじみの少ないマスカラを塗るとまずバレない。アルビオン エクサージュの新美白美容液は、角質の奥一枚を染める要領で肌を白く見せるスキンケアとして、素顔肌づくりに。ミスエレガンスの43番リップは、唇に血色だけを残す不思議赤口紅。頬にもこれをチョンチョン……で万端だ。

Edited by 齋藤 薫

公開日:2015.04.23

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