連載 齋藤薫の美容自身stage2

会社に行きたくない? ほぼ全員がかかっている朝の通勤不快症候群につけるお薬

公開日:2015.04.23

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

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会社について、ひと仕事してしまえば、どうということもないのだけれど、朝起きてから会社の席につくまでの憂うつ……。それは、毎日でも死にたくなるほど深刻なのではないだろうか? 最初に言っておくが、それはあなただけじゃない。私もそう、みんなそう。会社に行くのがうれしくて仕方がないのは、会社に好きな人がいて、でも会社でしか会えない、片思いか未告白の中途半端な場合だけ。働くこと自体は楽しくても、決められた時間に働きに出かけることは、健康な人である限り、うれしいわけがないのである。なのに多くの人は、会社に行くのが憂うつ=仕事がイヤと思いがち。それを更にふくらませ、人生思うようにならない、私は恵まれてない、私は不幸……と、勝手に思い込む人も少なくない。ほぼ全員が感じてる“朝の不快”を“私は不幸”と決めつけるまで発展させるなど、バカげてる。でも“通勤不快”を取りのぞいただけで、“私は幸せ”と思えるなら、それはそれで有り難い。

さて、毎朝なぜ死にたくなるか? そこから見直してみると、恐ろしいことに気づいてしまう。まず、ひとりでに目が覚めるのではなく無理に起きたり起こされることで、人は必ず怒りを感じる。それが寝坊でもすれば、もっと激しい怒りと絶望感を感じる。そもそも多くの人が準備の時間を“最低限”しか取っていないから、いくらメイクが好きな人でも、お弁当づくりが趣味な人でも、“制限時間”が決まっている場合は楽しさ激減。苦痛しか感じない。今日は早々うまくできたわっと思う日でさえ、じつは苦痛がわずかに和らぐだけで、プレッシャーはなお続く。加えて今日は何を着ていくか?も限られた時間の中では、オシャレな人ほどストレスを感じる。とまあ、家を出る前に、これだけの怒りと絶望感と苦痛とストレスという、心と体に最悪なものを小一時間で濃縮させる朝……それが体験的にわかっているから、朝起きるのがイヤ、死ぬほど憂うつになるのである。

そして次は通勤地獄。息がかかるほど他人と体を寄せ合う苦痛は、もちろん耐え難いが、人は朝の電車でなぜか“生理的に許せないタイプ”をわざわざさがし嫌悪してしまいやすい。精神的に後ろ向きに自虐的になっているからで、こういう場面では、ステキな人やキレイな人を見つけて気持ちよくなろうという前向きさが生まれにくいのだ。そしてスシ詰めになった大勢の人間が、黙っているという静寂の不気味さ、これも人を限りなく不愉快にする。やがて会社について席につく時、同僚への朝の挨拶が、相手を嫌いでなくても、ひどく不機嫌で怒ったようになりがちなのは、そのぶり返しなのである。ああ、なんという悲惨さだろう。朝はまさに負の感情のテンコ盛り。幸せを感じられるわけがない。

でもちょっと待ってほしい。それでは永遠に不幸の貯金。無理を承知で言わせてもらうなら、ここはやっぱり早起きする以外にない。朝、時間が余れば、早く会社に行きたいと、わりに前のめりな感じとなり、心は不思議に明るくなる。朝、起こされずにひとりでに起きるためには、ご存知“1.5 時間の倍数睡眠”を心がけていれば、思った時間にすうっと目が覚めるはず。だから何とか30分、いや中途半端じゃ効果がないから、思い切って1時間早く起きてほしいのだ。そうすると朝陽の美しさとか鳥のさえずりとか、今までまるで気がつかなかったことにまで気づくことになる。そんな無駄なことをしてるより、少しでもたくさん眠った方がお肌のため? いえいえ、眠りは多く取るより正しく起きることの方が大事。怒りながら起きるたっぷり睡眠より、ゆとりで起きるコンパクト睡眠の方がよほど肌にいい。

ともかく心にゆとりをもつことがどんなに体にいいか、一度知っても損はない。20分30分早く起きるのは、今の生活の延長で、起きるのが辛くなるばかりだから、かえって逆効果、いっそ1時間と決めると、生活が変わり、精神が変わり、生き方が変わる。毎朝365 日のこと。一生のことだから、一度は挑戦してみてほしい。朝陽をキレイとしみじみ思えるまでのゆとり、これがキモ、怒りや苦痛が、清々しさ心地よさに変われば、どんな不幸な人間も幸せになる。

さて、電車の中の不愉快はどうするのか? これは自分の気をそらすため、本を読むのがイチバンだが、それが無理なら、“考えごと”をおすすめしたい。“彼”のことでも“将来”のことでも、次のお休みに何をしようか?でもいい。じつはこの“考えごと”も朝の電車にはとても向いている。OLの一日には、ヒマな心につけこんでくる邪悪な感情を追い出すには好都合。電車に乗って、自分の体を置く位置が決まったら、さあ今日は何を考えようかなってな具合に始めてほしい。大事なのは自分を“ラッシュにもまれるいたいけな女”にしないこと。そう思った時点で、通勤は不幸の始まりとなる。そうではなくて、通勤を大事な考えごとの時間にすると、オヤジの匂いも感じなくなるはずだ。

要はそうやって、朝の不快感を自らの手でひとつひとつ消去していくこと、結局これしかないのである。放っておけば今のOLはたちまち不幸感に包まれる。そこから自分を救い出すのは、自分自身しかいないこと、そしてわりに簡単に救い出せること、よーく知っておきたい。

朝の悩みに朗報!? 朝食抜きこそダイエットの肝ってホント!?

朝食を抜くから太るのだ!!朝しっかり食べた人ほど、キレイにやせられる!!そう言われはじめてからもう久しい。それは誰も否定できない世界の常識だったような気もする。なのにこのところ、にわかに注目を集めているのが、“朝食抜きこそ、ダイエットの肝。体脂肪がボンボン減る”っていう説である。

じつは私もこの後者派。理屈も何もなく、朝食をきちんと食べるようになってから、体重が増え出した経験があるし、もうひたすらカンだけど、朝食の方が昼食よりお腹にしっかりたまる感じがずっとしてたのだ。

理論的には、午前中に排泄機能が活発になる時間なのに、そこで食べちゃうと消化が悪く、体にたまりやすいというもの。お腹が減ったら、果物はOKというのも、何だか清々しい理論。しかも、生野菜さえ食べていれば、昼食はしっかり食べてOKといううれしさ。それで体重ダウンはもちろん、体脂肪をぐんと減らした人が急増中らしいのだ。

で、思いついたのが、朝食を食べていた時間を、“ゆとり”にまわして、朝の怒りマインドをいやす方法。激しくお腹がすいてイラつくのでは元も子もないけれど、ゆとりができて、キレイにやせられたら一石二鳥。

ちなみに、朝を抜くと頭が冴えて体が軽くなるのは確か。朝の不機嫌も、頭とお腹の重さが関係していたかもしれないわけで、倒れない程度に試してみてほしい。

Edited by 齋藤 薫

公開日:2015.04.23

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