連載 齋藤薫の美容自身stage2

私って、会社と家の往復してるだけ……。 午後6時の悩みにつけるお薬

公開日:2015.04.23

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

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さて次は、OLの悩み日中編。午後5時か6時、基本的な就業時間が終わる頃になると、そりゃあもう悲喜こもごも。これからデートの人あり、残業の人あり、何にもない人あり……。じつはこの瞬間に、仕事が終わってヤッターと思えるのか、激しい虚無感に襲われるのかで、OL人生の明暗が分けられる。もしもこの瞬間に、何らかの不安や焦りがあるようなら聞いてほしい。たぶんあなたは今の仕事にも、今の生活にも満足していないし、自分の将来も不安なのだろう。私って、会社と家の往復してるだけ・・・・・・午後6時の悩みにつけるお薬私、ホントにこれでいいの?何か他にやることないの?これじゃあ会社と家の往復、私の人生こんなもん?そういう疑問は仕事が終わった時に、ワッとやってくる。“約束”のある同僚のイソイソ感や、他にやることのある同僚の、仕事が終わったセイセイ感などが、無言で人を傷つけるものなのだ。けれど、会社と家との往復と言ったって、仕事が忙しい人は全員そう。それを“ただの往復”と思ってしまうのは、たぶん力が余ってる人。今すぐ何かをすべき人なのだ。

今、会社帰りに図書館に寄るOL、大学の社会人コースに通うOLが増えているという。思えば私も26~27歳の頃、ガラにもなく無性に勉強したいと思ったもの。そして、人が本気で勉強したくなるのは、むしろ社会に出て数年してから。勉強が面白いと思えるのは、社会を体験してからだ!!と確信した。20歳そこそこで、勉強がいかに大切かなんて、よほど優秀なデキた子じゃない限りわかりっこないとも。だからOLが学校や図書館に戻っていく気持ち、ものすごくよくわかる。毎日が“往復”にしか思えない人が、今勉強を始めるのは大賛成。けれど、“勉強して何するの?”と考え始めるとまた辛い。勉強をそっくり仕事に生かせるのは、学者と弁護士、医者くらい。むしろ大人の勉強は直接“金”にはならないものと割り切るべきなのだ。じゃあ何のための勉強?

ずばり視野を一気に広げるためである。“往復感”は家の中と会社の中と通勤路と、目の前にあるものしか見ていない視野の狭さからくるもの。それしか見ないで生きてたら、そりゃあ辛くって当たり前。勉強は、世の中いろんなことがあるんだと、その目を大きく開かせる最短の近道なのである。TVで連ドラやワイドショーを見てても広がる視野はタカが知れてるが、日常とかけ離れた勉強はその裏側を見るような快感があり、会社と家の往復中も、360度の視界が開けてしまう。だから、何も“結果”はいらない。ただ勉強を始めるだけでいい。

そしてできれば、図書館でモクモクひとりで勉強というよりは、学校に戻る方がベター。“往復感”をもつ人は、“人”にあきていることが多く、新しい人間関係をもつこと、いや知らない人と接するだけでも、閉塞感はなくなるはずなのだ。だから先生がいて生徒がいて、人間がいて、手続きが必要な学校に戻る。世の中いろんな人間がいるもんだと、人に対する視野を広げるだけでも、人は安心するものだ。それに、人はいつもどこかで、人にほめられたいとか、評価されたいと願ってる。学校の勉強はイヤだったけど、今思うとどこか魅力があるのは、“採点される喜び”だったんじゃないだろうか。お点がつけられるからやらなきゃという張り合い。それが人を知らないうちに成長させてしまうことも子供心にわかってた気がする。そう、この“成長してる感”が人には絶対必要で、それがない仕事についてると、誰でも“往復感”に陥りやすいのだ。いつの間にか成長できれば、毎晩遊びほうけてたっていい。美容に徹するのもひとつの成長だし、映画漬けや音楽漬けだって、成長する人は著しく成長する。でも“往復”は成長なし。せめてそこから脱け出そう。午後6時、虚無感を感じたら、せめてこの話を思い出してほしい。

午後6時、会社を出る前に“帰り化粧”をするか否かの大問題

あなたはどちらだろう。あとは家に帰るだけっていう時に、化粧直しをするだろうか、それとも“別に誰に会うわけじゃないし、化粧くずれしてたってかまやしない”と、そのまま会社を出ちゃうのだろうか?じつはそこに、OL人生における大きな差が出てきてしまう。

化粧は一体何のためにするのだろう?もちろんキレイになるとイイことがありそうっていう夢と希望があるから、女は化粧を永遠にやめないんだと思う。たまに化粧して“お出かけ”する一般の奥さま方は、化粧するたび何かイイことありそうと思うから、額面以上にキレイに見えたりするわけで、化粧が習慣になったOLよりも、化粧の効果は高いという。でもOLの“帰り化粧”は、やってもやらなくてもどっちでも……という種類のものだけに、やった時は「帰り道に誰かと運命の出会いがあるかもしんないし」という想像が必ず頭をよぎっていくものなのだ。じつはその想像が、化粧においていちばん大事。化粧したって、別に何も起こりゃしないわと思ってたら、会社と家の往復は、それこそまったく無駄な時になってしまうのだ。

別に何も起こらないかもしれない。運命の出会いもないかもしれない。それでも“備えあれば憂いなし”で、帰り化粧をしておく女が、キレイになれる。“往復”も大事な美容なんである。

Edited by 齋藤 薫

公開日:2015.04.23

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