連載 齋藤薫の美容自身stage2

あなたは知的と思われているかテスト

公開日:2015.04.23

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

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もちろん今の時代、“知的”なんて流行っちゃいない。ひと昔前は、“知的でエレガント”っていうのが、いい女の必須条件だったけど、どっかの野暮ったいファッションメーカーの広告コピーみたいなその形容詞が、何だか恥ずかしいように思えてきたのは、松田聖子の勝ち、ナオミ・キャンベルの勝ち、そして今、浜崎あゆみの勝ち……みたいな流れがあって、自己中心的な派手さの台頭が、“知的”という良識ある美しさを吹き飛ばしたからなのだ。ところが一転、今また再び“知的”が息を吹き返しつつあるのは、宇田多ヒカルとか倉木麻衣とか、頭の良さそうな若手ミュージシャンがインターナショナルな知的さを引っさげて登場し、あの若さで億万長者になっちゃったから。“結局お金がなきゃ幸せになれない”と考える現代人は、“才能が作る知的さ”こそ、次のテーマと思い始めてもいる。

そもそも“知的”には3つのタイプがあり、そのひとつが言わずと知れたキャスター系。NHKと民放では種類が未だ異なるが、髪はショートで声低めはやはり基本。2つめに制服とシニヨンがキモなのは“スチュワーデス的知的”。姿勢を正し胸元にエルメスのスカーフまいて、化粧はコンサバフルメイク。髪を後ろに束ねて、言語明瞭ならば、とりあえず誰でもなれる地味派手な知的であった。そしてもうひとつが、ユーミン、竹内まりあから宇多田、倉木へと続くミュージシャン系知的。これも基本的に声低めで、作詞をするからボキャブラリー豊富。なのにあまり“おしゃべり”じゃないのが特徴。

これらに共通するのは、言うまでもなく声に弁舌、言葉の豊富さと、すべては“口”に集約される。そう、“知的”とは、すなわち“口”に宿る教養、感性、育ちの良さのレベルなのだ。もちろん、口もとの見た目の美しさも大きなポイントで、口から出るもの、見えるものすべてが、女の知的バロメーターなんである。単純に、何カ国語もしゃべれる口は、持ってる言葉数が膨大だから、もうそれだけで“知的な女”を作ってしまうし、呼吸もキレイで歯もキレイ、出てくる言葉もキレイなら、もう申し分なく“知的な女”。ちなみに“口がキレイ”という言葉があるが、これはガツガツしていなくて品のいい人を指すと言うが、物を食べ、息をはき、言葉をしゃべる口は、人の生き死にかかわり、生き方の根本にもかかわっている唯一のところだからこそ、知性の量が丸見えになってしまうのである。

ただこの“口の質”は、しゃべったり笑ったりしなくても、何となーくその人の雰囲気になって体のまわりに漂ってしまうもの。たとえば、いかに品のない、知的じゃない服を着ても、品良く知的に見えちゃう人っているけれど、たぶんそれは“口”から全身に広がっている知性のおかげ。“内面を磨きましょう”っていう、あの漠然とした提案の正体も、ひょっとすると“口を磨け”ってことなのかもしれない。

ただ、ちょっとここで学校の授業で「これ、わかる人」と先生が言った時「ハイ、ハイ」と生徒たちが手をあげるあの光景を思い出してみてほしい。そこには必ず何人かは、わかっているのに手をあげない、指されれば答えられる生徒がいたはずだ。もちろん当時は、手を上げるべきだった。でも大人になったら、わかっているのにハイハイ手をあげない、指されれば答えられる大人が“知的な女”ってことになるんじゃないかと思うのだ。“知的”とは、知性や教養が洋服を着てることじゃない。むしろそれを日頃隠して生きてるのが、知的な女なんである。だから知ってることを、英語なまりの日本語を、いつもしゃべってるおしゃべりな“口”は、知的な女の口ではないのである。

知的な美人は“トイレにも行かない” と思われている本当の理由。

“トイレにも行かないように見える人”……それは、“近寄りがたい人”の言い換えであり、誰も本当にトイレに行かないなんて思ってはいない。でも実際の世の中でも、知的で上品な美人は、トイレにはあまりいないような気がする。ただひたすらキレイなだけの、サイボーグみたいな美人は、トイレで長々化粧直しをしている姿などがよく見かけられるが、キレイなだけじゃなく、知的で上品でもある女性は、トイレではめったに出合えない。

たぶんそれは、“知的な女”ほど、化粧室に滞在する時間が少ないからなのだ。

どんなに知的な女性でも、化粧をしている姿は、別に知的じゃない。化粧姿は“なまめかしさ”や“生活感”“女の業”などをごちゃ混ぜにした“どぎつい女っぽさ”を生むが、これは“知性”とは対極にあるもの。化粧自体に、知的さが宿ることはあっても、化粧行為に、知的さは決して宿らないのである。だから、私は知的な女……って思っている女性の化粧直しはだいたい手早い。化粧姿をなるべく人目にさらさないようにするためだ。だからその分、回数を増やして小刻みに直すから、いっつもキレイ。それが“知的な女”のキレイの手口なのです。

Edited by 齋藤 薫

公開日:2015.04.23

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