連載 齋藤薫の美容自身stage2

“恋愛体質”の女たちへ

公開日:2015.04.23

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

彼氏がいないと、生きている実感がない。彼氏がいればいたで、”彼との時間”を最優先してしまうから、”自分の暮らし” を生きてる実感はやっぱりない。たとえばあんまり会ってくれない男と付き合うと、彼からの “電話待ち” “デート待ち” で毎日が明け暮れてしまうし、毎日でも会える男と付き合うと、他の誰とも会わなくなるから、やっぱり毎日が彼一色で明け暮れる。こういう人は、紛れもなく “恋愛体質”。

もちろん別れてみれば、何であんなつまんない男に貴重な時間をつぎ込んだのかと後悔もするけれど、次の恋が始まれば元のもくあみ。たちまち彼中心の生活になってしまう。”あーあ、また……”と思いながらも、そうなる自分をどうにもできない。それが、何か、逃れようにも逃れられない自分の宿命みたいにも感じている。まさしく “体質”、自分の意志ではどうにもコントロールできない”体質” というものなのだ。

かと言って、人を好きになると、仕事も手につかなくなるというわけじゃなく、好きな人がいてこそ、生活のバランスが取れていっちゃうのが特長。だから恋愛で生活をズタズタにすることはないはずだ。けれど知らず知らず失っていったもの、得られなかったものも少なくなかったはずである。

たとえば、おけいこ事、資格取得の類に関すること。彼氏に会うことを最優先させたら、毎週何曜日が必ずつぶれる……みたいなことを極力避けることになる。”自分を磨いている友人” を心からエライと思いながら、自分磨きよりデートを選んでしまうようなことが多々あって、20代のあの時、なんでもっと自分を磨いておかなかったのだろうと、いずれ後悔する日もやってくる。でも、その時は恋愛していることで、気持ちが充分満たされてしまってる。その “収まり” のよさには自分を磨く貧欲さの入り込む余地などないし、無理して磨いても結果として自分が輝くことはないのかもしれない。

じゃあその代わり、”恋愛体質の女”には何が残るのだろう。言っておくが、恋愛は上手くならない。むしろ何度やっても懲りないし、誰と付き合っても懲りないからの恋愛体質。しかしそうやって、”誰かと過ごす時間” を、”自分の時間” より大事にしてきた歴史は、いくら何でも何かを生むはずだ。たとえば “他人との距離感” の取り方みたいなもの……。

私が知っている “恋愛体質の女” は、なぜか同性との人付き合いがとても上手い。必要以上に踏み込んでくることも、人を傷つけることも、争うこともない気がする。とりわけ恋愛期を終え、結婚して “主婦” になった “元恋愛体質の女” は、子供を通じた母親同士の付き合いも、じつに巧みにこなし、何かを張り合うこともいがみ合うことも少ない。近づきすぎず離れすぎずの、程よい距離感が保てるのだ。

ひょっとすると、”恋愛体質の女” は、自分磨きもそっちのけで、異性と濃い関わりを持ち、そこで喜怒哀楽をすべてぶちまけているから、同性との関わりには逆に、知らず知らず冷静な “大人” でいられる術を身につけてしまうのではないか。

“恋愛体質の女” は、同性として、意外だけれど精神的に安定した人が多いがするのも、じつは異性を犠牲にして、”対同性” への付き合いをきわめて常識的に行う “恋愛内弁慶” の気があるからなのかも知れない。いや、もっと言えば、そもそもなぜ “恋愛体質” になったのか?それは同性との関わりの難しさを、少女時代にたっぷり味わい、異性との関わりに自分をぶつける方が楽に生きていけるという、ある種の “処世術” なのかもしれない。無意識の流れとは言え、自分を磨くヒマもなく恋愛してきた女も、結婚したら争い事もなく心穏やかに過ごせる日々が待っている。そろそろ自分磨きでもしようかなと思えるはずだ。けれど残念ながら “恋愛体質” は往々にして、結婚が遅くなりがち。それは恋愛に一生懸命で冷静に結婚に持ち込むゆとりが持てないからなのだ。結婚も晩婚、自分に目覚め自分を磨くのも遅め。そういう “遅咲き” も、恋愛でいっぱい咲いちゃったツケなのかもしれないね。

“恋愛体質の女”は、キレイの浮き沈みが激しくなりやすい

もともと女の美醜は、どこかで恋愛に支配されているのに、体ごと恋愛に支配されてしまっている女たちは、恋愛のコンディションと肌のコンディションがまったく一緒という、特殊な肌質になりやすい。

彼と一週間会えないとわかっていると、ま、一週間はブスでもいいやと思ってしまうような美容生活、一週間はろくなお手入れをせずに、彼とのデートの前日になると猛然とお手入れするようなムラムラな美容は、細胞代謝を考えると、かなりヤバイ。人の肌は、毎日毎日同じ化粧品を同じように使い続けると、それに慣れきって効きめがうすれてくることはあるから、多少のムラっ気や、”お手入れをお休みする日”も、肌にカツを入れる意味で時には必要である。しかし一週間はブスでいいやと思ってしまうと、それ自体が細胞代謝を眠らせて、”自分でキレイになろうとする”いわゆる自活力までお休みになりがち。確かに美容は、”愛する人のため”にある。でも彼と会う日だけキレイであればいいという美容は、彼とうまく行かなくなってきた時に、化粧品ではケア不能のダメージを与えがち。俗に”トラブルの起きない抵抗力ある肌”が最高なら、こういう人は恋愛と美容はハッキリ切り離して行うべきなのである。

Edited by 齋藤 薫

公開日:2015.04.23

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