1. "思い出"と生きる女は意外に幸せだ

斎藤薫の美容自身2

2015.04.23

"思い出"と生きる女は意外に幸せだ

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

30代後半のある女性。未婚。その人は結婚しない理由をこう語った。「好きだった人がいるの」"好きだった人"がいる!!"過去形"がなぜ結婚しない理由になっちゃうわけ!? そう耳を疑った私は、しかしその当時まだ20代。結婚を夢見ていた年齢だから、そういうものなのかなと思い直し、やがて"それってメチャクチャ素敵なことなのかも"と思い始めたりもした。

その人は、10年近くも前に付き合っていた男性のことを、当時とは違った意味で心の中に住まわせていた。彼はもうとっくに別の女性と結婚し、子供もいるという。でもそんなことはお構いなしに、その人は彼との、思い出"と生きていたのだ。確かにその人の話の中には、何かにつけて"元カレ"のことが出てくる。ふられたのかもしれないし、泥沼があったのかもしれないが、彼との思い出は10年の間にとことん浄化されていて、彼のことを話す時のその人は、何とも幸せそうだった。最初は気の毒に思ってしまっていた私も、そのうち一緒になって"彼ってこんな人だったんじゃないですか?"なんて、思い出オンリーの話の中にすっかり入り込み、何だか妙にしみじみしたのである。