連載 齋藤薫の美容自身stage2

決断する女とグズグズする女

公開日:2015.04.23

人気連載「齋藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

人気連載「齋藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

宝くじは買わなきゃ絶対当たらない。人生も、何か始めなきゃ絶対当たらない!!

服の買いもので、3着も4着も試着してから、「どうしよう、どうしよう」と迷って、人に「おかしくない?」「どう思う?」と聞きまくり、でも結局買わない人がいる。かと思えば、極端な話、試着なしで「これ、ください」と30秒で買いものを終える人もいる。どちらが良いとも言えない。たぶん、一般論で言えば、どちらもいけないのだろう。人生をやっていく上で、いちばんいけないのが“後悔”なのだし。

でも、少なくとも今の時代、決断は早いに限る。決断は早すぎるくらいでいいような気がする。なぜなら、試着もしないで服を買える女は、自分が欲しいものや自分に必要なものがハッキリ見えていて、だから“その一着”を見てピンときてしまい、もう他の服ではダメな人。試着しないのも、面倒だからじゃなく、その服なら多少サイズが合っていなくとも欲しい、つまり2cmウエストがきついなら、2cmやせてでもそれを着たいと思うから。自分自身や世の中がハッキリ見えている人は、根本的なところでは後悔しない人であるからなのだ。2cmきつくても、きっと自分は「いいです、私がやせますから、これをください」と言うことがわかってしまっているから、試着なしでも確信をもった買いものができるのだ。

こんな女性がいた。ある企業に10年勤めていて、いわゆるヘッドハンティングで何度か“いい転職話”があったが、迷わず断り、「辞めたい」とか「辞めようかな」と人にもらすことも一度もなかったから、よほどその会社が気に入っているのだろうと周囲は思っていた。しかしある日パタッと会社を辞め、転職する。それは、今までの転職話より地味でギャラも低い仕事。しかし彼女は、そういう仕事のクチがあることを知った瞬間、条件も何も聞かずに「それ、私じゃダメですか?」と自ら申し出て、即決。まさに試着もしないで、決めた。なぜ? と聞いたら「ピンときたから」。自分自身が見えている人は、大した情報がなくても、ピンときて、すぐ決められる。迷わないのである。条件がどうであろうと決断できるのは、服のサイズに合わせて体のサイズを変えられる、“柔軟性”と“頑張り”と、自分に対する“自信”があるからなのだ。

私はこの人の決断の早さを、とても素敵だと思った。この人のように周囲を驚かせるほど“決断が早い女”は、たぶん何を選んでも、うまく行く。これも、理屈抜きにそう思う。

でもじゃあ、自分が見えていない人は、決断してはいけないのか? いやきっとグズグズする人、決断できない人は、結局自分からは何も始めないから、いつまでたっても自分が見えないし、世間が見えないまま歳をとってしまうのではないか?

3着試着しても、結局決められずにやめてしまえば、あとでどう想像しても、新しい服を着た新しい自分を知ることはできない。既存の自分のままで、変われない自分のままで、悶々としつづけるしかないのである。“失敗”はしないかもしれないが、“前進”はぜったいにありえない。宝くじも、買わなきゃぜったい当たらないが、自分の人生も、何かを始めなきゃ、何かをやってみなければ、ぜったいに当たらないのである。

でも、“グズグズする女”にもハッキリ2種類あって、悩んで迷って、結局いつもやめてしまう女と、“2つのうちどちらにするか”だけを明確に悩んで迷って、必ずどちらかを選択する女と。つまり、3着試着して、何だかよくわからなくなっちゃって決断を逃げてしまう女と、2着にしぼってどちらがいいかと考えて、必ずどちらかを買う女とがいるってこと。結局やめてしまう女は、たぶん自分が何に迷っているかすらもわからない、だから迷った時間だけ無駄になり、あとに何も残らない。つまり人生も常に同じ場所で足踏みするだけになる。しかし、二者択一で迷う女は、赤と黒どちらにしようか、パンツとスカートどちらにしようかと、迷う基準を明確にして迷うから、仮にその決断が“失敗”に終わっても、“正解”は何であったかを明確に知る。同じことで二度と失敗しないだろう。赤か黒のどちらが自分をキレイに見せるだろうと、前向きに悩むからいいのだ。会社を辞める辞めないも、「辞めて新しく出直すか」「辞めずにここでもっと頑張るか」あくまでも前向きな二者択一を悩むならいい。そこに「辞めないでここでガマンする」という、後ろ向きの選択肢を入れてきてしまうから、ダメなのだ。“彼と別れるか別れないか”と“今の会社を辞めるか辞めないか”の二者択一をごっちゃにして考えるのも自分が一体何に迷っているのか、わからなくなるからダメ。

だから、グズグズしてもいい。試着してもいい。でもどっちに転んでも自分を前に進めるために、すべてに前向きな二者択一にしてほしい!そう心がけるだけで、あなたはいやでも“決断する女”になっている。

“決断できる女”には、神がついてる

ここでは“ピンとくる”という言葉を使ったが、“決断できる女”が何かを決断する時、ハッとしたり、ビクッときたり、ズンと心臓が鳴ったり、そういう理屈を超えた“瞬時の自覚”が必ずあるという。“ピンとくる”はその表現のひとつにすぎないが、“決断する女”と“グズグズする女”の決定的な違いは何かと言えば、明らかにそういう“一瞬の閃き”のような自覚があるかないか、その違いなのである。  それを感じるためには、まず自分自身を知っていることが条件だけれども、アッと思いたち、大きな決断をするためには、やはり“感受性”に似た感情の瞬発力みたいなものがぜったい不可欠だ。いわゆる感動体質の人の方が、大きな決断ができると言われるのも、そのため。家を一軒買うみたいな大それた買いものだって、じつは靴一足買うのと同じように、“ピンとくる感性”が人を押し出すのである。

つまり、感動体質の方がそういう意味でも、人生がおもしろい。“石橋をたたいても渡らない”みたいなことを自慢にしている人の人生は、危なげないかもしれないが当たらない。 一方に、“決断する女”には良い守護霊がついているのだなんていう説もあるが、閃きは神がくれるもの……であるなら、それもうなずける。どちらにしても決断とは、そのくらい理屈抜きのもの。だから誰にでもできるものなのである。

Edited by 齋藤 薫

公開日:2015.04.23

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