連載 齋藤薫の美容自身stage2

自分のせいにする女の人生

公開日:2015.04.23

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

20代のうちは、すべてを”自分のせい”にしてい生きるべきである。

小さな子供やペットの犬は、家族が大声でケンカしていたりすると、すべて“自分のせい”だと思って、心を痛めるのだという。汚れがなく、人を憎まず、人が憎み合うことさえ知らないから、あらゆる争いのもとは“自分にある”と思ってしまう。おイタをして、よくしかられている子供やワンちゃんなら、なおさらそう思ってしまうわけである。

しかし、20代後半から30代にかけて、女は再び何もかもを“自分のせい”にしようとする時期を迎える。もちろん、子供やワンコのように、あまりに純粋だから、ではない。人生が思うように動いていかないことで自分に対する自信をとことん失い、そこから抜け出す術を年齢的にもてないまま生きてしまうからである。恋もうまくいかないし、仕事もパッとしない、毎日も楽しくない……そういうふうに何もかも一緒くたにしてしまいがちな20代後半は、要するに“自分がダメだから”という答えを早急に出して、すべてをそれで説明してしまうようなところがあるのだ。

と言っても、もともと劣等感が強かったとか、根っから自信がないわけじゃない。むしろ自分の20代後半は輝かしいものになるはずだという期待をしすぎたから、その通りにいかないことにガク然とする。しかも、社会に出てから結婚するまでの間、女は人生をなかなか“人のせい”にできなくなる。学生時代は、“親がうるさい”とか“勉強もしなきゃいけない”“就職しなきゃいけない”という義務感があるから、思うようにならないことを何となくそのせいにできた。まだ学生だから……という言い訳もできたはずだ。ところが、社会に出ると、すべては自分の責任。自分が幸せじゃないのはなぜ? と考えた時、誰のせいにもできないことに突然気づいてしまうのだ。誰のせいにも、何事のせいにもできない孤独と不安……それが20代後半くらいにはずいぶんとたまってきており、だからすべてを“自分のせい”にして、苦しむことになるのである。

彼とうまくいかないのは、自分が魅力のない女だからなんだ。仕事がうまく運ばないのは、自分が能力のない根性のない女だからなんだ。人生が人と比べてパッとしないのも、自分に運がないからなんだ。あげくに結婚できないのは、自分は結婚できない宿命の女だからなんだと決めつける。それを全部ひとまとめにすれば、自分自身に“絶望”してしまってもおかしくない。それがまとめて体に重くのしかかるから、たとえヘンな男にダマされちゃっても、“男のせいにする向こうっ気”もなくなってしまうのだろう。

でも、人にはこういうふうに、何でも“自分のせい”にする時期が必要だ。いわゆる挫折というほど明確なつまずきではないにしても、徹底的に自信を失い、自分の無力や情けなさを思い知る一時期があった方がいいと思う。でないと、30代後半にもなれば、人間イヤでも自信と自我が太っていき、 “自分のせい”にはなかなかしなくなる。結婚すれば夫のせいにし、子供ができれば子供のせいにし、親が高齢ともなれば親のせいにしと、良くも悪くもなかなか“自分のせい”にすることがなくなっていく。逆を言えば、人はいずれ放っておいても、人のために生きていかなきゃならなくなる。つまりもちろん“人のせい”にすることは身勝手な気持ちからだけじゃない、「まったくやんなっちゃう」と、数々の苦労を“人のせい”にしながらも、家族愛からそれを喜びに感じることもあるからだ。

だから結婚していない社会人は、今のうちに “自分のせい”で起きるいろんな失敗を、大変だけど、どこかでたっぷり味わっておくべきなのだ。20代を振り返れば自分自身も“自分のせい”でイヤなこと悪いことがたくさん起こって、ずいぶん自信を失い、しょうがない自分を責めたりもした。でもすべて“自分のせい”と思ったから、30代は20代より多少はちゃんと生きた。もし30代になってから“自分のせい”にすることをたくさん増やしていたら、そうやって精神的な更生をするのはけっこうしんどかったかもしれない。30代後半くらいになって、自分をもっと責めて、もっと否定するようになったらそれこそ悲惨だ。20代のうちで良かったと今は思っている。

なぜなら、たとえば、結婚できないことに悩む女性が、20代のうちはそれを“男のせい”にできたのに、30代も後半になったら“年齢のせい”、つまり“自分のせい”にするようになってしまう……それではもう逃げ場がないのだ。むしろ逆に若いうちこそ“自分がダメだから結婚できない”と思い、年齢を重ねるほどに自信を増やして、“こんなにデキたいい女と結婚しない男たちは、ホントに見る目がないね”と堂々としているくらいがいいのである。

自分が何かを“自分のせい”にする時……それは誰でもがやらなきゃいけない、“悪い自分”の自分さがしなのかもしれない。自分ってこんなにダメな人間……その最低ラインを取りあえず知っておく大切なプロセスなのかもしれない。だからそういう“ダメな自分”から目をそらさずに、じっくりと見ておきたいものである。いつの日か、そういう“ダメな自分”を懐かしく思い出すくらい、“良い自分”を育てあげるために。

賢い大人がメイクとなると幼稚園レベルになるのはおかしい

基本的に女がキレイになれないのは、すべて“自分のせい”である。つまり自分を生んだ“親のせい”ではまったくないってこと。たぶんこれが10年前なら100%“自分のせい”とは言い切れなかったかもしれない。でも21世紀の今は100%言い切れる。プチ整形がふつうのことになったから?それもあるが、どちらかと言えば、化粧品と歯科技術とセルフエステ機器の進化、それとメイクテクの情報の進化は、総合するとみんなが考えている以上に女を別人美女にするくらい大変なものだからなのである。

ハッキリ言ってファンデは10年前の何倍も良くなっている。マスカラ、アイブロウ、チークもものすごく進化した。歯のホワイトニングからイオン導入、リフトアップまで、ちょっとお金を出せば人は見違える。でも何より、美人に見せるメイク技を教える記事は月に全雑誌合わせれば数百ページになるだろう。なのにキレイになれないなんておかしい。今やメイクテクも“プチ整形”レベルの効果を出してくれる。アイラインが引けないなんてもう言わせない。眉がうまく作れないなんて甘い。メイクとなると、賢い大人が急に幼稚園児みたいに「できなーい」と甘えたり投げたりしてしまうのは不思議、できないなら練習すればいい。雑誌を見て練習すればいいのだ。料理と同じで、メイクも練習と慣れあるのみ。だからキレイになれないのは、あなたが悪い。

Edited by 齋藤 薫

公開日:2015.04.23

Serial Stories

連載・シリーズ