1. 生きているのがイヤになる時

斎藤薫の美容自身2

2015.04.23

生きているのがイヤになる時

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

生きているのがイヤになる時

人が生きていたくなくなる時、必ず体が疲れている。だから人の命を救うのは、最終的に体力だ。

積極的に死にたいとは全然思っていないけれど、いつの間にか生きていることへの意欲を失っていること、20代30代の女性にもけっこうあるのかもしれない。たとえば仮に天変地異がおそってきても、別にいいやと思えてしまう、別に思い残すこともないしと思ってしまう、そういうふうに終われるのなら、いっそ楽かもくらいに思ってしまう、ともかく生きることへの執着が一時的にでもなくなっている状態。

残念ながら、日本の若い女性は、“自殺率”が世界一なのだそうである。日本の中年男性の自殺が増えているのは、世情を反映してのことだが、若い女性の自殺率が高いのは、何か日本人の宿命的な心の弱さを物語っているような気がする。本当に希望をもてない、夢をあまり見られない国になってしまったのは事実だが、それ以上に日本人は心が脆弱な上に、バカになれないところがある。ただあっけらかんと毎日をすごせない、何らかの答えを出さないといけないと思うような生真面目なところがあるからこそ、生きていくことをやめてしまおうというところまで、自分を追いつめてしまいがちなのである。

生きているのがイヤになる・・・・・・たとえば、不意に絶望感に襲われたり、いつの間にか心が無力感でいっぱいだったり、明日など来なければいいのにという厭世的な思いが押しよせてきたり、そのスタイルはさまざまだが、ただそういう時、人はどうすればいいか、どう考えればいいか、の答えは共通。その時必要なのは、移動と愛と体力だ。まず、生きていたくないのは、すべて終了させたいのではなく、本音を言えば緊急で人生をリセットさせたいにすぎない。人間けっこうちゃっかりしていて、昔の文学者のように哲学的な意味で自分という存在を抹殺させたいのではない限り、条件が変わりさえすれば、生きてしまおうかと思うはず。だから“移動”なのである。