連載 齋藤薫の美容自身stage2

49%の女

公開日:2015.04.23

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

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努力みたいなものは、一定量を超えないと無駄になる。合格ラインに1点足りなくても0になる。

あの人が結婚できるのに、なぜこの私が結婚できないの? “未婚の女”はしばしばそう首をかしげてる。明らかに自分のほうがイイ女だし、何より自分のほうが性格がいいのにと・・・・・・。もちろん、縁や運や宿命ってものも影響しているのだろう。けれど実際には、“結婚している女”はやっぱり結婚に対して100%の力をかけてきている。そう、するっと結婚していくかに見えて、じつはそれ相応の努力を積み重ね、結婚を掴み取ったという人は少なくないのだ。そして逆に“結婚してない女”は、その10分の1も努力していなかったりする。“私が結婚できないのはおかしい”と言っている人に限って、気がつけば、出会いもないのにただ待っているだけだったりするのだ。

自ら出会いの場に出かけていく。ちょっとしたきっかけを見逃さず、次につなげる。関わりを持った男性には、つとめてていねいに自分を売り込む・・・・・・やれることはいっぱいあるはず。でも確かにこういうことは、それなりの生きるパワーがないとやれない。すべては、その力の差ということだろうか。結局世の中、かけた手間や力の分だけの結果しか出ないということなのである。

だいたいが努力みたいなものは、中途半端にやってもあんまり意味がない。ある一定量を超えないと、すべて水の泡になっちゃうみたいな案外シビアなもの。言ってみれば、受験の時、“合格ライン”に達していなければ、0点も一緒。1点足りなくても、その1点はきわめて大きく、0と一緒。結婚みたいに白黒がハッキリつくことはもちろん、仕事のように、やって当たりまえのことにも、やっぱり“合格ライン”ってものがあるのだ。

そこで、ひとつの線引きをするとすれば、過半数にいくかいかないか。つまり50%を超えれば、ひとまずやったことが多少なりとも実を結ぶが、49%では何にもならない。一応やってるのに、何も結果が出ないという人は、多くが“49%の女”なんではないだろうか。これまでの自分をふり返ってみて、学校でもあまりパッとしなかったし、受験もうまくはいかなかったし、社会に出てからもイマひとつ・・・・・・そういう人は、おそらく49%の女。何をやるにも、最大49%の力しか出していない。だからその力も四捨五入されて、多くの場合、無駄になる、そういう深みにハマっている人・・・・・・。

ただこういう人の不幸は、自分がいつも最大49%しか力を出していないのに気づいていないこと。けっこう一生懸命やっているつもりでいること。こんな人がいた。これまで何度かの転職を繰り返して、30歳。どの会社も自分には合わないと感じて、辞めた。もちろん仕事はきちんとこなしていた。でもそれに見合う評価をされないことへの不満がたまるから、2年くらいたつと、もういいや、ここにいても仕方がないと思うようになる。転職を繰り返す人には、ありがちなパターン。

でも30歳で受けた会社の面接の時、こう聞かれたという。あなたは今まで何%くらいの力を出してきましたか?もちろん、出せる時は100%出しきっていたと思いますと答えた。しかし、そのあと冷静になってふと考えたという。100%出しきるって、どういうこと?と。その会社に合格して、入社2日目。朝、出社すると、何人かが会社で仮眠をとっていた。初めて見る光景でビックリするが、こんなのいつものことという。もっとビックリしたのは、先輩社員たちが出社時間の2時間も前に出社して、もうひと仕事終えていたこと。やらないと仕事が終わらないし、朝のほうが仕事がはかどるからと・・・・・・。

そこで初めて気づく、もしこの人たちの仕事ぶりを100%とするのなら、自分はたぶん50%以下。とてもじゃないが同じ基準では働けない。ちょっと寒気がしたという。もちろん、“限界までたくさん働くこと”がイコール100%ではない。しかしその会社では、それが100%の基準。だから面接でそれを聞かれたのだろう。そこで初めて気づくのは、一度本当の“100%の人間”を目の前にしないと、自分が何%の女か、まったく見えないものなのだ。その半分しか力を出していなくても、100%やってる気になってしまうものなのだってこと。その人は翌日会社を辞めた。今までの退職より、いっそすっきりしていた。身のホド、力のホドを知ったから。

つまり大切なのは、100%やることより、自分が何%の力を出せる人間なのかを知っておくこと。それを知らないと、人生を踏みあやまったり、いつもいつも自分の想いはかなわないとイラついたり、自分なんてどうせダメと、すべてを諦めることになってしまう。100%であることより、自分の力のホドを知ることなのだ。自分は別に“ひとかどの人”になろうとは思わない、ささやかな幸せさえ手に入ればそれでいい・・・・・・今って、そう思う人が多い時代。また、多くを望まないなら、50%未満の力で、スローにゆったり生きていくのもありなんではないかと思う。

ただその場合でも、自分は今50%の力しか出せないから、大きなことは望めないのだという自覚を持っておくべき。スローな生き方がカッコいいからそうしているのじゃないとわかっておくべき。ちなみに、DHEAというホルモンの分泌が少ない人は、何となくいつも覇気がなく、何となくいつも眠く、朝起きられないし、なかなかすくっと立ち上がれないという。当然、何に対してもヤル気がなく、明日やろう、そのうちやろう、いつかやるだろう、まあやらなくてもいいかと、どんどん妥協していってしまうという。つまり、パワーのない人は、好んでパワーダウンしているわけではない。むしろ体質であり、もっと言えば遺伝。本人のせいではないのかもしれない。

でももし遺伝ならばなおさら、49%の力を無駄にしないため、自分には宿命的にパワーがないことを知った上で、あと何%か気張ってみたいのだ。いや手っとり早く、元気の出るサプリメントでも飲んでしまったほうが簡単なのかもしれない。あるいはまた、パワー100%の男を見つけて人生を託してしまうのも手。でも、そういう男を見つけて自分のものにするまでに、それ相応のパワーが要るから、その前にサプリメントを飲まないと成立しない話だが。

どちらにしても、何をしても結果が出ない、何もモノにならないのは、誰のせいでもない。“49%以下の女”の宿命。そういう人はあとひと息、あと数%頑張って力を出してみてほしいのだ。せめて50%を余裕で超えるまで、パワーを出してみてほしい。せっかくの毎日を、せっかくの人生を、ぼんやり生きてしまわないために。

49%男との恋愛損得勘定

「どこ行く?」「どこでもいいよ」「何食べる?」「何でもいいよ」「私のこと好き?嫌い?」「どっちでもいいよ」極端を言えば、そういう返事しかできない男と、あなたは恋愛できるだろうか?恋愛というものは、ある程度お互いのテンションが高くないと、恋愛している気がしない。大なり小なり興奮状態だから恋愛なわけで、一緒にいる時に精神的にパワーダウンしてしまうと、それだけで恋愛感情はこわれてしまうのだ。

よく言われるのは、恋愛するとテストステロンというホルモンの分泌が高まり、男も女もいわゆる興奮状態になること。ところがもともとこのテストステロンの分泌量が少ないタイプは、ときめきの量からいわゆる性的欲望までが少なく、一気に燃えあがるような恋愛も、動物的な恋愛もできないらしい。そして特に男性の場合、このテストステロンの量が少ないと、通常のエネルギー量もやっぱり少ないとも言われ、だから「どこへ行く?」と聞いても、「どこでもいい」としか答えられない。恋人といても興奮しない、それほどうれしそうでもない男が生まれてしまうのである。言ってみれば、生きるパワーも性欲も49%の男・・・・・・。しかしひとつだけメリットをあげれば、こういう男は、他の女に走るようなこともない。浮気力も同様に低いから安心。究極の選択だけれどね。

Edited by 齋藤 薫

公開日:2015.04.23

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