連載 齋藤薫の美容自身stage2

会話主体”同窓会合コン”のすすめ

更新日:2020.12.28

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

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同窓会は女を少女の心にもどす。素直にして、穏やかにして……だから”純愛”に落ちやすい

出会いがない・・・・・・相変わらず、そういう“ぼやき”が聞こえる。しかし合コンというシステムがなかった時代に比べたら、そして“逆ナンパ”なんてありえなかった時代に比べたら、おそらく何十倍も出会いのチャンスは広がっている。自分で作ればいいじゃない?イザとなりゃ、有料のお見合いパーティーに行けばいいのだし。でもたぶん、そういう作られた出会いではロクな男に出会えない・・・・・・って、今どきの女はみんな頭のどこかでは思っていて、だから無駄な努力はしたくないのかもしれない。

そう、問題はそこなのだ。今の世の中、簡単に出会える男にはロクな男がいない、その辺にはもうロクな男が残っていないと、どこかで決めてしまっていることが問題なのだ。おそらくは今、男の人を“よく知っている気になってしまいやすい時代”なのだろう。大して知らなくても、知っている錯覚に陥りやすい時代・・・・・・。まず、男や恋や人生に関する情報はいっぱい、その上で、合コンなどで軽く出会い、軽く会話し、軽い関わり方の中で、軽い判断をしてしまう。お決まりの軽い会話しかないのに、それで5人中5人がダメだと、世の中の男みんなダメ、みたいに軽く決めつけてしまいやすい、そういうこと。視野が広いようで、じつはとても狭いのだ。

だからおすすめしたいのが、同窓会合コン。小学校でも中学校でも、また高校でも大学でも予備校でもいい。ともかくかつての同級生の男と会う・・・・・・それは、一度こわれた異性への夢を、再びたて直すチャンスのような気がしてならないのだ。単純に“元同級生”との再会は、そこに流れる空気からして合コンとはまったく違うものであるはずなのだ。まず、“同窓会合コン”は、3対3の合コンスタイルであったとしても、お互いを値踏みしたり、駆け引きしたりするような計算がなく、かと言って、自分を高く売りこもうとするような打算もない。代わりにあるのは、郷愁からくるちょっと胸がキュンとするような感慨と、お互いの昔を知っている気恥ずかしさ。だから女は“合コン”の場にいる自分より、ずっと可愛らしく素敵でいられる。

またそういう場面では、恋心など昔はみじんもなかった相手とも、お互い大人の男と女になったよねという暗黙の了解から、あらためて恋への可能性をさぐり合うような気持ちの絡まりはあって、それがじつに甘美なひとときなんである。もちろん、昔はそれなりにカワイかった男子が、今は見るも無残なオヤジになっていることだってあるだろう。でもそれもご愛嬌。話しているうちにむしろ愛着がわいてきたりする。それが通常の“合コン”だったら、こんなオヤジ誰が呼んだのさと、腹がたったりするが、同級生だと多少キタなくなった程度なら、昔の姿を重ね合わせて見ることができるから、まだしも許せたりするものなのだ。

そもそも同級生同士の再会には、不思議な浄化作用があって、何だか知らないが、心が洗われたような気持ちになる。おそらくは“懐かしさ”自体が、優しく穏やかな感情だからなのだろう。従って再会を懐かしく思うだけでも、女は優しく穏やかな女に見えるが、その上に、再会という場面において、人は無意識に“成長した自分”を相手に見せようとする。“大人”として振る舞おうとする。かと言って“作っている”のではない。卒業してから何年かを、まともに歩いてきている人なら、自分の中にちゃんと何かが増えていることを旧友たちに見せたいと思う。会わなかった期間が“よい時間”だったことを伝えたいのだ。同級生にはとりわけていねいに“よりよい自分”を伝えていきたいのである。

これが一般の“合コン”だと、最初にピンとこなければ、どうせ今回限り、二度と会わない相手だろうからと、自分の伝え方もけっこうぞんざいになるはずで、だから逆に男たちもロクな男に見えないというしくみになっているのである。いずれにしても、昔からの友だちなら単純に話がはずむ。合コンにありがちな上っ面だけの会話にはならない。その上で、自分をよりていねいに伝えていこうとすれば、当然会話の内容が濃くなり、思い出だけにとどまらない、案外“人生”に関わるような深い話ができるはず。そこに気持ちの浄化作用が加われば、なおさら会話は情緒的なものとなり、お互いの心が必ず動くのだ。琴線にふれるような話ができるかもしれない。言いかえれば“同窓会合コン”は、男と女が純粋に会話で結びつく数少ない場面なんである。食事して二次会してという短い時間でも、お互いの心のヒダにまでふれる会話ができる、数少ない場面なのである。とすれば、本当に恋が芽生えるかもしれない。いや、その可能性はきわめて高い。

今の世の中、どうせロクな男がいないという安易な発想が、“同窓会合コン”では安易に出てこない。“ロクな男”もちゃんといるじゃない?やっぱり男っていいんじゃない?女としてそういう素直な気持ちになれるから、昔どうとも思っていなかった男との再会にも意味があるのだ。もちろんそれは、相手も一緒。相手の男もあなたを見て、“ロクな女”はちゃんといる。こういう女がいいんだよね、なんて思うかもしれない。ましてや、昔より確実にキレイになっていれば、それだけで男たちは目を見張る。一般合コンじゃ“ふつうの子”という印象で終わるようなレベルでも、同窓会合コンでは、成長さえしていれば“とってもキレイになった子”にうつるだろう。

とにもかくにも、合コンの軽さになれきった男と女にとって、“同窓会合コン”は、ちょっとした衝撃になるだろう。いきなり“純愛”の匂いがする出会いと言ってもいい。ちなみに絵に描いたようなカップル、女優の水野真紀さんと代議士の後藤田正純氏は、学生時代にグループ交際していた“古いお友達”であるらしく、自分たちのなれそめを「残りもの同士がくっついただけ」と語った。そう、案外“奇跡的な残りもの”ってあるもんなんである。だから残っている女友だちとともに、残っていそうな男たちと再会を企てよう。1対1じゃあ重すぎる。でも3対3、5対5・・・・・・“同窓会合コン”の誘いを断ってくる男は、まずいない。そういう再会には、人と人を引き寄せるものすごいエネルギーが備わっているからである。

元・同級生とは、なぜ恋に落ちやすいか?

同窓会に行く時って、他の場面では決して味わえない“ときめき”があるもの。懐かしさには、それだけで優しく穏やかな気持ちになるリラクゼーション作用があると言ったけれど、異性との再会には、ブランクが長い分だけ切なさも湧きあがる。その穏やかなのに切ない気持ちは、人が人を好きになる時の感情にとてもよく似ているのだ。そして気心が知れているのに、お互いが大人になっているわけだから、誰もがいろんな相手に対し、改めて恋の可能性をさぐってみたりする。

しかも昔、それほど目立たなかったタイプは、多少ともキレイで華やかな大人になっていれば、それだけで見直されて恋される可能性があるし、逆に昔は華やかでモテるタイプだったのに、今はパッとしない印象になってしまった人も、昔の栄華を知っている人は、その姿を重ね合わせて見てくれるもので、マイナス評価も少し緩和される。もちろん、昔のイメージをこっぱみじんにするほど、醜くなってしまった女性に救いはまったくないけれど、少しだけ地味になったくらいなら、大丈夫、昔の貯金がちゃんと生きる。

つまりどっちにしろ、女は得をするのである。いや再会そのものが、得をするようできているのである。そんなこんなでともかく、同窓会では恋に落ちやすい。それが落とし穴になるのか、幸せのチャンスになるのかは不明だけど。

Edited by 齋藤 薫

公開日:2015.04.23

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