連載 齋藤薫の美容自身stage2

売れない女はなぜ売れぬ?

公開日:2015.04.23

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

社会で売れっ子になる条件は人気のお寿司屋さんと一緒。いろんな意味での回転である。

ブランドものも今、勝ち組・負け組がよりハッキリしてきているし、化粧品も売れるブランド・売れないブランドがかっちりと分けられるようになってきた。そして今、売れるものはもっと売れ、売れないものはますます売れない、そういう時代。CDも映画も本も、みんな人気ベスト10を何より信頼できる情報として受けとめるからで、さらに言うなら、人気のお寿司屋さんはネタがつねに新しく、客の少ないお寿司屋さんは必然的にネタがつねに古くなるから、もっと差がついていくように、世の中ますます売れるものしか売れないしくみになっているのだ。

人も一緒。“大人の女優”でいちばんの“売れっ子”黒木瞳、この人の売れ方も、ヴィトンやシャネルと一緒、よく売れるからもっともっと売れるというふうに、人気がどんどん加算されていっている。いや今まで、人間だけは“飽きられる宿命”にあり、ブレイクすればするほど落ちるのも早いと言われたが、この人は例外的に売れ続けている。じゃあ、この人から見えてくる“不動人気”の秘密とは何なのか?まず、ビジュアルがつねに新陳代謝していて、まったく衰えないのはもちろん、髪型や全体の印象などを時代に合わせて微妙に変化させ続けていること。“何かあの人、最近ちょっと変”とか“少し老けたんじゃない?”と、一度でも思われたらそこでもう人々の気持ちが離れていくのが人気商売。だから一瞬たりとも息を抜けない。何だかんだ言っても、“努力”がモノを言っているのだ。そう見せない、見えないだけよけいに努力をつみ重ねているのである。

ある週刊誌が伝えた、主だった女優たちのギャランティ。名実ともに人気No.1のこの人は、当然Aランク、悪くてもBランクと思ったのに、意外にもCランクにとどまっていた。しかし評価が低いからではまったくない。おそらくは、この人ならと誰もが納得する高いギャラも、自ら提示しない。やりたい仕事なら、ギャラに関係なく受けるという姿勢。もっと言うなら、トップ女優としてのプライドを高いギャラの仕事に託すのではなく、やれるものは何でもやる、何にでもチャレンジする、そういう意欲に託している証拠なのである。これまた、人気のお寿司屋さんと一緒で、うまい、安いでお客がたくさん入り、回転率がいいから、ネタもますますフレッシュかつ上質になるのと同じ。たくさんの仕事をこなすから、この人はますます生き生き若返り、そしてますますの人気を得ていくのである。つまり不動の人気を誇るヒミツは、ヤル気が呼びこむ良循環。

しかし意欲だけではどうにもならないのが、人気商売であるのもまた確か。だから必要になってくるのが、2つの頭の良さなのだ。芸能界でやはりアッという間に消えていくのは、偏差値的な頭の良さに欠ける場合。そして人気を長続きさせられない、わりにすぐ飽きられてしまうのは、もうひとつの頭の良さ、学歴では測れない人の心を読む知恵に欠ける場合だと思うのだ。さらにトップを守り続けられないとしたら、それは人並外れたヤル気がないから。もちろんこれは一般のOLにも通用する“売れっ子”の条件。最初の評価は偏差値的頭の回転、次の段階における評価は、人の心が読める頭の良さ。これは仕事において、ニーズに応えられる能力にもつながり、仕事脳とも言えるもの。でもそこに人一倍の意欲があって初めて、その仕事脳が生かされるのだと考えてほしい。ともかくその3つを3つとも持っていないと人は売れない。今は本当においしい店なら必ず流行るように、人として売れる・売れないのしくみも案外単純なのである。

しかし、女として売れる・売れない……つまり結婚できるかできないかのしくみはもう少し複雑で、結論から言うならば、今まで“売れる絶対条件”としてあげてきた“頭の良さ”も、ここではあんまり役に立たなかったりする。端的に言って、さっさと売れない女には大きく2タイプあると言っていい。しかもその2タイプは両極端。人の話を聞かない女と、人の話を聞きすぎる女。自我が強すぎる女と、寛大すぎる女。さらには、自分を愛しすぎてしまう女と、男を愛しすぎてしまう女……。しかしながら売れる・売れないで結婚を考えない、それこそ、売れないなら自分で買ってしまうくらいの勢いで、結婚に対しひたむきに緻密に事を進めれば、結婚はそう難しくはないはずだ。人の話を聞かず、自我が強すぎる女がなぜ売れないかは説明するまでもないだろうが、人の話を聞きすぎ、寛大すぎる女は、よほど良いタイミングに恵まれないと、都合のいい女になりがち。“さあ、結婚してちょうだい”というふうに、相手に責任をとらせず、プレッシャーもかけないから、あと一歩のところで売り時を逸することが多いのである。

だから売れないなら、売ってやる。そのくらいの営業ゴコロがないとダメってこと。ちなみにここは、あまりにも性格が穏やかで気弱だと女優として大成しないのと一緒。売れないなら売ってやる、は商売の基本……そこは女も同じなのである。

女性タレントの売れ方に異変?

飯島愛、小池栄子、青木さやか……最近の“売れっ子”たちは、だいたいが強烈な個性と“鋭い斬れ味のひとこと”を持っている。今は、良識ラインギリギリの辛口トークの時代だから、こういうタイプのタレントが売れっ子となるのは当然なのだけれど、飯島愛の異様な“息の長さ”は、それに加えて、アウトローの立場をとりながらも、持ち前の“正義感”みたいなものを見え隠れさせているからではないだろうか。ここも、キムタクドラマのしくみと同じ。何となく世間に対し反発するようなそぶりを見せつつも、やっぱり毎回“正義感”で話をまとめてしまう。その清濁あわせのみつつ正しさでしめくくる感じが、今の日本人の気分にいちばん合うということなのだろう。

正義感ややさしさや正しさって、いきなり丸出しにしたり、押しつけがましく見せつけたりしたのでは、なかなか相手に伝わらない。ちょっと悪ぶりながらも、じつは根っからいいヤツっていうのがモテる世の中なのは間違いないのだが、これは今に始まったものじゃなく、大昔からドラマの主役であり続けたダーティーヒーローのバランス。ただしこのバランスはかつて100%男のものだったのに、今はそれが、女のヒーローをも生みつつあるのだ。正義感や正論を看板にせず、ふだんはポケットの中にしまった女が受ける時代なのは知っておきたいもの。

Edited by 齋藤 薫

公開日:2015.04.23

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