連載 齋藤薫の美容自身stage2

“同窓美容”のための再会美容

公開日:2015.04.23

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

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キレイもブスも増幅して見える 同窓会では、目立つことより、”小ギレイ”の印象がキモ。

今同窓会ばやりだという。同窓会を開くためのマニュアルまで出版されているというほど。不思議なもので、学生時代の友だちとは、何十年のブランクがあっても、出会って30秒ぐらいでもう元の関係に戻れてしまう。だから自分にはこんなに心の通う友だちがたくさんいたんだと再確認することで、ちょっと冷えた心をあたためる……それが同窓会ブームの火種となったのだろう。みんなけっこう淋しいのかもしれない。

そして、合コンじゃなかなか見つからない新しい恋が、同窓会では思いがけなく見つかったりすることもまた一因。昔は何とも思っていなかった男子と女子が、大人になって“再会”した時、まったく予想外の恋心をお互いに抱いてしまったりするのは、まさしく同窓会の妙……。恋愛ひでりの男女ですらあっけなく恋ができてしまう。それは紛れもなく、同窓会に住む魔物のせいなのだ。ある意味で、同窓生同士は“素性”がハッキリ知れている。中学生以上の同窓なら、もうざっくりとした人間性も承知している。そして自分のこともある程度、理解されていると考える。そういう安心感だけでも、じつは恋愛感情のスイッチをONにするきっかけにはなるはずなのだ。

男と女の間でいちばんのカベとなるのが、じつはいろんな種類の警戒心。その警戒心がないのに、“照れ”だけがある……そこに恋はあっけなく芽生えるのである。その“照れ”とは、言うまでもなく“郷愁”。過去をなつかしむ“切なさ”。いわゆる“胸キュン”。だから、そのなつかしさとほのかな恋心の芽生えを人は一緒くたにしてしまいがちなのだ。しかし、あらゆる恋愛は“幻想”から生まれる。それになつかしさとの混同は、決して間違った幻想ではないはずだ。少なくとも合コンでピンとくるその直感より“錯覚”は少ないはずなのである。

高校の時の同窓会で、じつに15年ぶりの“再会”を果たした男性と、わずか半年で結婚した人がいる。15年前はそれぞれ別の人に“片思い”していたというし、その彼を異性として意識したことは一度もなかった。彼のほうもたぶんそう。でも、ちょっと不思議なことがひとつ……。高校時代の学園祭や修学旅行で撮られたスナップ写真には、その彼が一緒に写っているものがなぜかやたらに目立つ。偶然、写真のすみっこに写ってしまったのも含め、本当に何枚も何枚も彼……。だから、写真を整理するたびに、アルバムを広げて見るたびに、彼の姿を見るともなしに見ることになる。やがて、いつの間にか、彼はどうしているだろうと思うようになる。そしてまったく無意識にだが、大人になるにつれ、気がついたら写真の中の彼を少しだけ男として意識するようになっていた。だから、同窓会で再会した時、“なつかしさ”も相まって、いきなり胸がキュンキュンして、ドキドキして、たちまち恋をしていたのだという。

そして付き合い始めて知ったのは、彼も昔、好きな人は他にいたが、むしろ卒業して会わなくなってからは、ふとこの彼女のことを、一体どうしているだろうと思い出すことが多くなっていたというのである。 長い時間をかけて、お互いに対して異性としての意識をじっくりと育んでいった形。“同窓恋愛”にしかない絆の結ばれ方だ。ところで、そういう“不思議な暗示”がなかった場合、どうしたら同窓恋愛を呼びこめるのかについて考えた。

3:7……これは言わば“再会美”の法則。30%が昔のイメージ。70%が今現在のイメージ。長いブランクのあとの再会において、人はみんなそういう形で、合わせて100のイメージを相手に向けて放っている。昔、ダサかった子が、今は目の覚めるような美人になっていた場合、残念ながら昔のイメージをすっかり消すことはできないが、今のキレイや洗練はちゃんと鮮明に伝わるってこと。ただし、女はすべからく大人になればキレイになる。つまり単に大人になっただけで、自ずとキレイの匂いを醸し出せる得な生き物。それこそハイヒールを履くだけで、プラス30%のゲタを履かせたくらいのキレイ効果があるはずで、昔冴えなかった子がちょっと頑張っただけで、“異様にキレイになった”と思われる特典がつくのだ。それにキレイな人は、久しぶりに会うともっとキレイに見えるという、もうひとつの特典がついており、何倍もの引力を持つ。

しかし逆に、以前は目立ってカワイかった子が、今はすっかり老けちゃっていた時、男たちの落胆はとりわけ激しい。それでも過去の面影をそこにダブらせて見るから、多少は大目に見てくれるのだろうが、かつてのNo.1美人が平均以下になってしまったような時、おそらく怒りさえ買うだろう。“再会”では、美しさと醜さがどちらも何倍も増幅して見えるってこと。再会はキレイもブスも強調されて見えるということ。だから、同窓会では目立つことより、“小ギレイ”でハッとさせる“再会の第一印象”を何より大切にしてほしい。当然だが、身づくろいには一切手を抜かない。ひとまずそれだけでいい。いつものことをていねいに、変に力をこめすぎてはいけないのだ。「ずいぶん派手になったな、あいつ」と思われたら“再会”では損をする。“派手”で目立つより“清潔感”で目立ったほうが、再会場面では勝ち。たとえばの話、昔はみんな横並びで何も知らない無垢な少女だったとして、10年後に髪まっ赤のケバい女に成長していてほしいか、長谷川京子みたいな清潔感ある大人に成長していてほしいか、男たちの身になって考えてほしい。10年後、汚れていない大人の女の完成品に再会するのは、男たちの夢なのだ。

だからともかく“小ギレイな印象”を死守すること。“再会”のノスタルジーにのせて、小ギレイの印象を倍増させるには、まさに昔が透けて見えるような透明感がキモ。肌も自分も使い古されていない、ノリのきいた“きちんと感”というものを意識して用意してほしい。あとは大人になれば自然に湧き出すフェロモンが、“かつての少女”を勝手にセクシーに見せてくれる。それで充分。

同窓恋愛の極意 それは、“恥じらい”

同窓会で、すぐ恋愛モードに入っていく人と、一度もそういうムードになったことがない人がいる。“再会”の場での“出会い”は、一般的な出会いや“合コン”における出会いとは異なる、独特な法則というものがありそうだ。“再会”の瞬間、ウワー久しぶり!!とちょっと大げさなくらいに歓声をあげるのは、瞬時に相手をつかむ絶対のコツだけれども、そこで注意しなきゃいけないのは、決して図々しくならないこと。同窓会は、大人になった自分を披露する舞台に他ならないが、あんまり“大人”になりすぎていると、相手は引く。昔はオドオドした感じだった少女が、図々しいくらい堂々とし、大人っぽい物腰で如才なくふるまうと、あまりのギャップに“再会”の懐かしさもどこかへ吹き飛んでしまう。変わりすぎてはいけないのだ。

そこでいい雰囲気となる最大のコツは、ちょっとだけはにかんだような表情。もちろんそこは、ちゃんとした“大人の女”、妙にグズグズ、くねくねすべきじゃないが、ふとした時に見せるほのかな恥じらいの表情、それが昔のクラスメートをたちまち“異性”同士にし、男と女としての緊張感を生むのである。またそれが恋にすれていない初々しい女を印象づけ、再会美容の決め手である“清潔感”にもつながる。ともかく再会にいちばん効くのは、老若男女、みな“恥じらい”である。

Edited by 齋藤 薫

公開日:2015.04.23

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