連載 齋藤薫の美容自身stage2

待てる女と待てない女

公開日:2015.04.23

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

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“待つ女”より、”待てる女”へ。”待てない女”より、”待たない女”になりましょう。

男と女が待ち合わせ、ところが男のほうにアクシデントが起きて行けなくなった。なのに今どき連絡もつかなくて、女を待たせることになる。4~5時間後、まさかと思いつつ待ち合わせ場所に行ってみると、女はその場でうずくまったまま待っていた。ごていねいに雪までちらついている。“なんと健気な”……と男は感動し、この女を離しちゃいけないと心に決める……本当によくありがちな恋愛ドラマのひとコマだが、現実にはあんまり、ありがち”じゃない。待つ女は、確かに感動される。でも待ちすぎるとコワがられる。むしろ、待っていられたら困る女ほど、待ってくれちゃう……と男は言うかもしれないし、待つって難しい。女ってホント難しい。

女が男を待つ場合、たとえば「海外赴任から戻るまで結婚を待ってくれ」みたいなケースは、とりあえずいつまで待てばいいのかが明快だから、“待つ女”にそれほどリスクはない。しかしもう3年も付き合っている男が困ると口に出す「もうちょっと待ってよ」という言葉は、女にとってクセものだ。“待ってて”って言葉は、解釈の仕方もいろいろ、女が男を待つ時、何をいつまでどう待つのか、多分にひとりよがりになってしまいがち。それも、女は“待つ性”だからである。

大昔から、男は獲物を獲りに行ったり、戦いに出かけてたりして家を空け、女は家を守りながらひたすら待っていた。そのDNAが女には今も組み込まれているから、けっこう激しく待ってしまう。外の待ち合わせ場所で待つのは2時間が限度でも、人生において男を待つ時は、かなり気合を入れてしまう。相手の気持ちを無視して押しつけがましく待ってしまったり、来ないかもしれない連絡を、執拗に待ってしまったり。そしてこれだけ待ったのだからと、待ったことへの見返りを求めてしまったり。

つまり“待つこと”を武器にしてしまいがちなのだ。かと思えば、本音では待ちたいのに待つことにジレて、すぐ白黒ハッキリさせようとするのも、また女の性。別れるか別れないかという、人生レベルのことを「今晩のうちに決めてちょうだい」と、相手にせまる……言ってみれば、“どうしても待てない女”も存在してしまうが、これもまた、待つことの苦悩を知っている女のDNAがさせる抵抗なのかもしれない。“待つDNA”といっても、女たちは楽しく待っていたわけじゃない。とても辛かった。辛かったその反動で、待てなくなるのだ。

そのせいか“待てない女”は、とかく常軌を逸してせっかちで、恋愛にはすぐ結論を求めてしまう。付き合い始めてすぐ「愛している?」と確認してしまったり、「私たち、どうするの?」と、何かにつけて最終的な答えを出そうとする、一度結論を求め始めると朝までしつこく求め続ける。それがモトで結局別れてしまうケースは少なくない。歴史的に待たされ続けたことからくるゆがみ?どちらにしても、“待つこと”“待たないこと”で、男にプレッシャーをかける……これは女の武器にして、自爆装置でもある。自らをみすみす不幸に運んでいってしまうのだから。したがって女は“待つ”にまつわる言動には、充分に注意を払わないといけない。“待つこと”でしいたげられてきたからこそ、それは女にとって今も最大のウイークポイントであり続けるのだ。逆に言えば、上手にバランスよく待てる女って、意外に少ない。相手を攻めたてることなく、静かに穏やかに待てる女はホントに少ない。しかしそうやって静かに待っていた女だけが、幸せな家庭を築けるというのが、大昔からの女の定め。

そしてまた、相手が待つことを望まないのを敏感に察することができて、だから待たない勇気をもてることもまた、女の人生においてきわめて重要。3回は待っても、4回めは待たないとか、2年は待っても、3年は待たないとか。

そう、待ち合わせ場所で、男が1時間以上来ない時、これ以上待ってもムダとか、これ以上待っていたら女がすたるとか、そういうふうに待たない決断をして、すっとイスから立ち上がる時の、あのカンジ。少しだけ後悔や躊躇があるのだけれど、でも立ち上がれた自分の清々しさがうれしい、みたいなあのカンジ。ひとりレジでお金を払ってそこを立ち去る自分が妙に凛々しく思え、またそういう時って妙に颯爽としてしまい、だから新しい明日に向かって果敢に歩き出せそうな気がしてしまう。彼を待っていた時にはなかった生命のエネルギーが急に湧き出て、女を前に押し出すのだ。女には“待たない勇気がもたらす、待たない幸せ”ってのもあることを、どうか知っておいてほしい。

つまりこういうこと。“待つ女”より“待てる女”になること。そして“待てない女”より“待たない女”になること。それが女にとって、幸せになる最大のコツ、そう言えるほどにこの2つは大きな分かれ道なんである。穏やかに待って、しかし潔く待たないこと……両方できる女は、スバラシイ!

“待つ女”と相性がいいのは、“待たせる男”に非ず

まず“待てない女”、“待たせない男”を選ぶべきである。二人は最高の相性で結ばれる運命にあると言ってもいいくらい。なぜなら男と女の相性は“性格の一致”以前に、愛されたい量と愛する量、または求める愛情の質と、与える愛情の質……その需要と供給がぴったりと合っていないと、まず続かない。だから“待てない女”は、自分をいろんな意味で待たせない男としか続かないのだ。でも一方、“待つ女”と“待たせる男”の相性は逆に最悪。一見うまくハマっているようだが、こういうカップルは、あるゾーンにハマると悲劇しか生まないのだ。

まれに、平日の夜も休日も、いつも“スケジュールを空けて待っている”いう女性がいるが、これは言うまでもなく男がいつ会えると言っても対応するため。だから周囲が思うほど、本人はその“待機”を辛いとは思っていないらしい。が、そういうふうに片方だけがいつも待っているカップルが、結婚までいくケースはまれ。“待つ女”をさんざん待たせる男が、一方では他の女を待っている可能性もあるわけで、ひたすら待たなきゃならないのは、もう例外なく相性が悪いから。縁がないからなのだって、ちゃんと認めること。“待つ女”といちばん相性がいいのも、じつは“待たせない男”。さもなければ、いつまで待ってればいいのか、明快な期限をつくる男。どちらかであるって肝に銘じておくこと。

Edited by 齋藤 薫

公開日:2015.04.23

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