1. スグリな人vs.シズカな人

斎藤薫の美容自身2

2015.04.23

スグリな人vs.シズカな人

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

スグリな人vs.シズカな人

戦わぬ女はひとつの成功で満足し、戦う女は限りない頂点を目指す。

ちょうど、国別対抗野球WBCが日本で盛り上がったのと前後して、それ以上に沸いたのが、言うまでもなくトリノのフィギュアスケート。そこでは結果として“荒川静香”一色になってしまったが、その後に行われた“世界選手権”では村主章枝選手がもう一度、存在感を見せつけた。そして、この二人は大した根拠もないのに、犬猿の仲などとウワサされてしまう。本人たちが好むと好まざるとにかかわらず、“ライバル関係”にさせられる。何と言っても、究極の個人競技。しかも、美しさや演技力も一緒に競わされるのだから、女優が順位を争うみたいな、ちょっと物騒なライバル意識が生まれてしまうのは、無理からぬことなのだ。お二人にとってはひどく迷惑な話だろうが、ちょっと考えてみた、スグリな人vs.シズカな人。あなたはどちらを支持するのだろう。

ひとつ象徴的なのは、かつて荒川選手が世界選手権で優勝したあと、次のオリンピックにはもう出場しないかも……と発言。それを耳にした村主選手は「信じられない」と怒りをあらわにしたというエピソード。多少の誇張もあるかもしれないが、村主選手は頂点にのぼりつめ、トップであり続けることに、あくまでこだわるアスリートなのだろう。それに対し、荒川選手は一度目的を達成したら、心が鎮まり満足できてしまうタイプということなのだろう。

こんなエピソードもある。前回のオリンピックでは、荒川選手は結局代表選手になれなくて、村主選手がその権利を勝ちとるが、オリンピック期間中、荒川選手は街のファーストフード店でアルバイトをしていたという。しかもその店の店長も、それが前々回のオリンピックに出場した世界的なアスリートだとは知らなかったというほど淡々と。もし、悔しくて悔しくて仕方がなかったら、またひどく落胆していたら、そういうところでアルバイトはしてないだろう。家にこもって誰とも顔を合わせたくないはず。ある意味で欲がなく、いい意味でプライドが高すぎない、どこかのどかな人なのかもしれない。