
人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。
「男の”ひと目惚れ”はこの人と結婚したいという”ひらめき”である結婚しない“不思議”が散々取りざたされた松井秀喜があっけなく結婚を決めたのは、それなりの衝撃をもたらしたが、相手が“ふつうのOL”かつ“ちゃんとしたお嬢さん”であったという報道に、「やっぱりね」という声あり「なーんだ」という声あり。いずれにしても、あまりに順当な結果だったという他ないが、一方で噂ひとつないために、「あらこの人もまだだったの?」という41歳、高嶋政伸が結婚会見を開いた時、その共通点にあらためてハッとした。なかなか結婚しない男に限って、する時は速攻でする。ほとんど出会った瞬間決めている。それを称して彼らは“ひと目惚れ”と言ったが、世にいう“ひと目惚れ”とは違う。それはとても重要なもうひとつの“ひと目惚れ”であることを私たち女は知っておかなきゃいけないと思ったのだ。」
まず、なかなか結婚しない男ほど、こういう女性でないといけないという、有形無形の条件を決めて、そこにピタリと当てはまる人を探し続けている。だからそこにストンとおさまる女性が目の前に現れた時、きっと“ひと目惚れ”と同じ衝撃が走るのだ。
つまりそれは、容姿に対する評価ではない。でもひょっとすると、男が考える“ひと目惚れ”は、私たち女が考える“ひと目惚れ”とはもともと少し定義が異なるのかもしれない。女はどうしてもこう考えてしまう。目を見張るほど美しい人だけが、ひと目惚れされるのだと。でも男たちの“ひと目惚れ”は違うのだ。何人かの男がまったく同じことを言った。「ひと目惚れしたのは、透明感あるひとだったから」。と言ってもそれは肌の透明じゃなく、存在の透明。“何となく”の透明感。
男は、女の容姿と、その日着ている服と、挨拶などのほんのわずかの言葉だけで、女の中身をそっくりのぞくことができるから。彼らが言う“透明感”には、「ずるくないこと」とか「だらしなくないこと」とか「魂がしゃんとしていること」までが言下に含まれている。そういうものを、肌の質感や顔の造作や物腰の柔らかさからちゃあんと読み取っているのである。
ちなみに、それなりに完成度高めの男ほど、“ひと目惚れ”したその瞬間に、“結婚の可能性”が頭をよぎると証言している。男は子孫を残そうとするDNAから、結婚相手を見つける直感だけがとりわけ優れているらしい。まともな男の“ひと目惚れ”は、この人となら結婚したいという“ひらめき”に他ならないのである。つまりなかなか結婚しない男は、別にボーッと生きているわけではなく、いろんな経験を積み、いろんな女性と関わるほどに外見から中身をのぞき、自分が望む女性を目だけで見分ける直感を磨いているのだ。だから、一流の男ほど、決めると早い。“ひと目”で決め、その後も迷いがない。究極、私たちが目指すべきは、そういう意味での“ひと目惚れをされる女”なんじゃないか?
「男の”ひと目惚れ”は、この人と結婚したいという”ひらめき”である」
Edited by 齋藤 薫
公開日:2015.04.23