
人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。
いわゆる“SATC”のストーリーで、いちばん身につまされるのは、キャリーに対するビッグの気持ち。つまり、結果としてフラれてもフラれても、一途に男を想いつづける女に対し、男の方も基本的には女を“愛している”のだけれど、結婚は申し込まない。自ら夢中になり、結婚までしてしまうのは、やっぱりモデルのようないい女や、若いお嬢様だったりしてしまう。だから、その女を“強く必要とする”のは、そういう本命がいない時、自分が淋しくなった時……。それがわかっていながら、女は男に必要とされれば、やっぱりそばにいてしまう。そういう女心をのぞいて、心の中では「キャリーのバカ」って思いながらも、気持ちが理解できてしまう。自分も同じ立場に置かれたら、そうしてしまうかもと思うから身につまされるのだ。
けれどそこで決して見落としてはいけないのが、女にとって“鬼門”みたいな男っているのだということ。彼にはギリギリのところで愛してもらえない。しかしそれをただ“相性が悪い”せいとか、“結ばれない運命”のせいにしてはいけない。やっぱり“高望み”なのだと自覚する。微妙に、相手の求めるランクとズレがあるのだと。“愛されない女”はこの世に一人もいない。でも“自分を愛してくれない男”はこの世に一定数いる。それが誰で、そうでないのは誰なのか、そこをわかっておくことが女の幸せへの近道だって、もう一度認識しておこう。頭ではわかっていても、気がつくとそういう鬼門男にハマっていることって少なくないから。
しかし、鬼門男にさえ“愛されてしまう時”が女にはやってくる。それは、どこかのツボを偶然にもおさえた時なのだ。ある夫婦の場合は、男が良家の一人息子で、女は銀座のホステス。だから男は良家の娘との結婚を決めるのだが、その時女は怒らず恨まず、どうか私のことを忘れないでねと言った。それがツボ。令嬢との婚約を破棄して周囲の猛反対を押しきり、ホステスは良家の妻になった。また別のある夫婦は、もう6~7年付き合っているのに「結婚はしないよ」と断言され、男は浮気ばかり。それでも女は男を諦められない。そんな折も折、男が病気になり入院、女は当然のように献身的に看病し、結婚に至るのだ。女が無欲になった時、“無償の愛”を示せた時、そして男が弱った時、鬼門の男とも結婚ができる。しかし狙ってはダメ。“偶然”であることが何より重要。たったひとつ、必然があるならば、男が歳をとるまで待つことである。
ともかく“愛されない女”はいない。“愛してくれない男”と“愛されない時期”があるだけ。でもそれが誰なのか、なぜなのか、ちゃんと知っておくこと。愛されない理由を知っている女だけが、いつか必ず幸せになれるのだから。
「”愛されない女”はいない。ただ、”自分を愛してくれない男”が一定人数いるだけ」
Edited by 齋藤 薫
公開日:2015.04.23