連載 齋藤薫の美容自身stage2

お金は本当に女をキレイにするのか? トロフィーワイフの幸不幸

公開日:2015.04.23

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

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大金持ちと結婚したら、きっと肌なんかもピカピカになるんだろうと、女なら誰もが思う。好きな服を値札を見ずにボンボン買えて、美容医療も好きなだけできるし、一生でも続けられる。だからキレイにならないほうが不思議であると。けれども、現実は少し違うのかもしれない。ズバリ、お金はキレイのバランスもどこかで崩してしまう。“たとえ”にするのは忍びないが、マイケルもあんなにケタ違いの収入がなければ、もっと美しいままだったかもしれないのに。

ともかく、お金とヒマの両方を手にしてしまうと、女も女なりの妙なことをし始め、それがキレイを壊していくことがありうるのだ。たとえば普通なら1回挙げるのでも精一杯の結婚式を何回でも挙げるような。花嫁衣装のビジネスが絡むうのさんの場合は、いっそ何度でもやってほしいが、実際に昔の貴族や大富豪の妻には花嫁がやめられなくなった人がいたとかいないとか。当時、世界一の大富豪と言われたギリシアの海運王オナシスと“再婚”したジャクリーヌ夫人も、大統領夫人だった時と比べ、不思議に精彩を欠くようになったと言われる。意外に夫の給料が少ない上に、いつまでこの栄華が続くかわからない不安定な状況にあったファーストレディの時は、ある種の規制の中でさまざまな工夫をし、いろいろにやりくりして好感度を高めようと努力したから、ジャッキースタイルという言葉も生むほどに、その魅力やセンスは全女性の憧れの的となった。

しかし、再婚して無限にお金を使えるようになった時、“スタイル”は一気に崩れていく。“大金持ちオーラ”は想像以上に強烈で、美しさやセンスをそっくり飲み込んでしまうのだ。先の心配も何もない女としての“あがり”のような大富豪夫人になった時、一体何を目標に自分を磨いていけばいいのか、そこがわからなくなっていくから。またそこにはもうひとつ大金持ちの男に選ばれた女の小さな悲劇が垣間見える。トロフィーワイフという言葉があるが、それは成功して富と名声を得た男が、“勝者”としてトロフィーを勝ち取るように手に入れる美女。つまり誰よりもキラキラ輝いていて、それこそ手に入れた男が鼻高々の“女の完成形”が行き着く“女のあがり”だ。でもだから大金持ちの妻におさまってからも、そのトロフィー級の輝きを維持するのは至難の業。大金持ちの男はそうやって手に入れた女には愛情以上にお金を与えてしまいがちだし、場合によってはさらなる高いトロフィーを目指してしまう。

お金がありすぎたら、女は逆にキレイになれない。限りある予算の中で工夫しているから輝ける。ありすぎるとキレイがブレていくし、もしも究極、トロフィーワイフになるためにこそ美を磨いているのなら、その夢を叶えた瞬間、目標を見失い、かえって輝きを失うのだ。上限のない美容も、節約のまるでない人生も、恐いってこと。

「上限のない、際限のない美容も節約のいらない人生も、女にとっては怖い」

Edited by 齋藤 薫

公開日:2015.04.23

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