
人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。
今や、日本一の支持率を誇る名知事となっているものの、かつては平凡な芸人にすぎなかった東国原氏と、やはりかつては大物男たちと次々浮き名を流し、なぜか“六本木のイメルダ”との異名をとるほどモテまくりだった美人女優“かとうかず子”の結婚も、当時は前例のない組み合わせだったこともあり、“格差婚”として物議をかもした。そして「なぜ?」「なぜ?」の嵐に対し、美人女優の答えはとても意外なものだった。「今まで、一度も誰にも本気にプロポーズされたことがないから、嬉しかった」
なるほど、確かにそうなのかもしれない。当時のこの人は憧れの的、“高嶺の花”もいいところの存在だった。山ほどチヤホヤはされるけれど、逆にその分、本気で結婚を申し込む人がひとりも現れないというのは、現実だったのかもしれない。美人は美人すぎると、男を逆に遠ざける。ましてや結婚となるとみんなうごうご引いていってしまう。よほどの“身の程知らず”か自信家でないとプロポーズにまでは至らない。結果、それが初めてのプロポーズだったから飛びついた、ということなのだ。
“藤原紀香の場合”も、あるいは……と改めて思う。想像でモノを言うのはナンだけれども、ここまでの完璧美女になると、堂々のプロポーズも、堂々の告白も、じつはあんまり受けてはいなかったのではないかと。美人だけにしかわからない、美しいがゆえの悲哀ってものがあるのを思い知る。ことに“結婚”となると、分が悪くなる美人の宿命を垣間見せられるのだ。前出のカップルも、“夫の浮気”ですったもんだしたが、元夫のいきなりの政界進出を見るにつけ、改めて“イメルダにプロポーズできるほどの厚顔さ”があったから、この人はここまで昇りつめられたのだと思い知る。要は恐いもの知らずだったのだと。今回のカップルの場合は、さらなる頻度で格差をしつこく指摘され続けたことで、もともとプライドの高さが噂された夫のほうがそれを笑い飛ばせずコンプレックスに転嫁させたのが、浮気の引きがねという気もするし、その浮気相手たちが天下の藤原紀香に勝ってしまうかの錯覚に陥ったことも、問題を大きくした気がする。
しかし結果として、このカップルの場合は、男のダメージのほうがはるかに大きいものになった。“完璧な美女”はダメージを受けたことで、むしろバランスがよくなった印象すら世間に与えることができ、男たちも近づきやすくなるはずだ。むしろこれからのほうがすんなりプロポーズしてくる男も増えるだろう。もっとたくさんの中から男を選べるゆとりと快感に初めて気付くかもしれない。まさに、美しさゆえの厄をはらった形。本当の意味でこれがこの人の真のスタートだったりするのかもしれない。
「完璧な美女は、美しさゆえの厄をはらって初めて、本当の人生のスタートが切れるのだ」
Edited by 齋藤 薫
公開日:2015.04.23