
人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。
結婚で仕事を辞めなくなると、次は仕事か出産かの選択を強いられるから、現代の女たちには出産にも“勇気”や“勢い”が必要になっていた。でも気がつけば“少子化問題”が深刻化し、逆にどんな立場でも、今は産んじゃっていいのだという見えない後押しが生まれ、生むことが今さらのように素敵な行為に見えていった。それを象徴するのが、最年少で閣僚になった小渕優子大臣の妊娠。少子化対策担当の大臣だから、まさしく身をもってお手本になるような第二子の妊娠発表。しかし現役大臣の妊娠は史上初。“計算”されたものではないのだろうが、一国の大臣の在職中にだって、妊娠して“産休”とっていいのですということを日本中に示したわけで、考えてみればこれ、とんでもなく勇気ある行為。そのくらい産むってことは尊く、最優先されるべきもの、ということも身をもって示したかったのだろう。
もちろん、一般社会でこれをなぞるのはそう簡単じゃない。大変な要職についてすぐ産休に入る……面と向かっては誰も何も言わないが、“こんな時にねぇ”みたいな囁き声がどこかで聞こえるもので、現実に目を向ければ仕事を辞めない女性の出産は、未だ目に見えない難しさを孕んでいる。何よりも、ちゃんとキャリアアップしていきたい女性は、今、妊娠すると出世のブレーキになるのじゃないかと常に思い続け、何らかもっと手応えをつかんでから産もうと思い続けてしまう。そしてタイミングを外して、“なおさら産めない”という状況に陥り、結局、産まなかったというケースも少なくないのだ。
しかしある人は言った。“仕事で手応えを得てから……”と思っていると産めなくなる。考えすぎるとまた産めなくなる。だから“勢い”で産んでしまうべき。すると必ず何かが動いていき、女としてひとつ進化すると。ある種逆境で妊娠する女には、何らかの力が味方すると。私自身は結果として子供をもてなかったが、勇気ある出産が予想外の新しい力をもたらし、その人が急にキラめき出すのは何度も見た。単純に、妊娠した女性はイメージが変わるが、特に勇気ある妊娠をした女性は、自信で厚みを新たに増すように見える。母親は子供を助けようとする時、オリンピック選手くらい速く走れるらしいが、それ以前に妊娠するという勇気が、新しいパワーとなって産休に入る女を後押しするのだ。
フランスの妊婦はとりわけ美しいという人がいたが、フランスでは“未入籍での出産”及び“未婚の母”率がきわめて高い。そういう勇気をこそ後押しする不思議な力が働くのは確か。hitomiの妊婦ヌードも、妊娠が女にとんでもない瞬発力を与える、という事実を決定的にしたが、妊婦が大きなお腹を抱えながらも、みんな自らを本当に美しいと自負するのはそのため。これも地球の摂理。すべては神さまの采配なのである。
「妊娠が大きなお腹を抱えながらもみんなキラキラするのは神の采配」
Edited by 齋藤 薫
公開日:2015.04.23