
人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。
最近の芸能系の事件でにわかに明るみに出たのは、秘められていたそれぞれの家庭の事情。そしてにわかにクローズアップされたのが、“夫がほとんど無職の家庭”が増えているという事実である。今回目立ったのは、“妻が女優”というケースだが、一般社会でもこの傾向が目立ってきていると言われる。男女雇用機会均等法の改定から10年。大不況なども手伝って、男が逆に社会的に弱い立場になってきているということか。もっと単純に、男よりも女のほうがまじめに仕事をする性であることが明らかになってきてもいる。その結果、近ごろはどうも男より女のほうが稼ぎがいい、男より女のほうが生活を支えているケースが少なくないのだ。いやこれからもっと、その種の偏重が目立ってくると言い切る学者もいた。
そういう世の中で、さて女はどう生きていくべきか?今、世間を騒がせている事件は、男の甲斐性のなさが引き起こしたものと見ていいが、同じ甲斐性のない男でも絶対に関わってはいけないのが、夢ばっかり大きく、またそれを実現できると思っている誇大妄想系。夢が大きすぎるのに実質がともなわないと、人はゴーマンになるか、自暴自棄になるしかないからだ。そうではなくて、ちゃんと身の程を知っていて、謙虚でまじめなのに甲斐性だけがない男も、今やけっこう存在する世の中。一時期、“三低男”ほど一緒に生きていきやすいという話題がもちあがったが、あれは低収入でも低姿勢、低依存な男がいいという説だった。甲斐性のない男は残念ながら女に依存して生きていくしかないが、そのほうが女がハッキリ主導権を握れるという現実もあり、そこだけ目をつぶれば、甲斐性のない男もパートナーとしてありえないわけではない。
もともと生命力は女のほうが強く、腕力のいらない社会になれば、女のほうが生活力をもってしまうのは生物学的に無理からぬことらしい。極端な例だが、北極グマも子供を育て養うのは母親ばかりで、父親は自分のことしか考えず、逆境になれば自分の子供を襲うことすらあるという甲斐性のなさ。アジアには特に“男は働かない国”が多いというが、中国でも多くの女は仕事をもち、生活の主導権は女が握っているという。だから結婚も女が男に対して“してあげる”的なスタンスなのだとか。
つまり、生物学的にもともとそういうものなら、そういうものと割りきってしまってもいいのじゃないか。男の一人や二人、養ってあげられる……そういうパワーと気概のある女は、“男に養われていかにラクして生きるか”と考える女よりも、これからはるかに幸せに生きていけるのじゃないかと思うから。自分は恋愛よりも仕事のほうが得意、という女は、甲斐性はないけれど愛のある、“愚かな夢を見ない男”と生きていくという選択はあるはずだ。それもまた新しい幸せのテクニックかもしれないのだから。
「男の一人や二人、養ってあげられる女の方が幸せになれる時代がやってくる!?」
Edited by 齋藤 薫
公開日:2015.04.23