連載 齋藤薫の美容自身stage2

女を不幸にする、”危ない出会い”を検証する 1年後2年後に気づく不幸

公開日:2015.04.23

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

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昔の女は、どんな人がいい?と聞かれると、もっぱら「誠実な人」と答えた。裏を返せば、昔はもっと不誠実でいい加減で浮気っぽい男が多かった、ということ。そういう男ほど女に目がなく、遊ばれないよう何倍も注意が必要である上に、女はもともと、その種の男に弱いことにどこかで気づいているから、わざわざ「誠実な人がいい」と口に出すことで、自衛をしていたのだろう。

でも今、“危険な男”自体が減った。そういう意味で女に不誠実な男は激減したと思う。単純に、“男たちの体の中”でオスの本能が消失しているから。言うまでもなく草食化の産物だ。だから口では“誠実な人がいい”と言いながら、じつは危険な男に心惹かれるDNAを持つ女は、まさにそういう男たちに飽きたらず、年を重ねた分だけオスっぽい匂いを増している40代男に走りがちなのだ。それも“40代男×20代女”が成立しやすい要因のひとつ。

しかし、“危険な匂い”にもハッキリ2種類ある。“他の女に走りそうな危うさ”と、“安定に興味のない人生チャレンジャーの危うさ”との2種類が。今、20代女を虜にする40代男の危うさは明らかに後者であり、大沢たかおやHIROなど、20代女優の恋人たちに共通しているのはそれ。若い女は、本能的にこういう危険に引き込まれていくのである。つまり、それは男と女の自然な結びつきだから、女は不安による不幸をあまり感じないのである。むしろ、少しハラハラするその不安が解消されるたびに、女はいちいち“幸せ”を感じるから。不幸と安堵を繰り返す女の一生は、案外ほのかな幸せに満たされていくものなのである。百歩譲って、“浮気な男”との出会いも、1度2度の浮気なら、彼が自分のもとに戻ってきた幸せを反対側で噛みしめられるから結果オーライ。

でも本当の危険は、もっと静かにやってくる。最初の1年くらいは、一見誠実で、まともに見える男に限って、じつは“自分しか愛せない男”だったりするからだ。不幸なことに、付き合いはじめの男と女は、相手をいかに好きかの会話ばかりするから、“自己愛”の強い男は、「好き」と言われる関係に酔い、自分を愛してくれる女を最初は大切にする。でもそういう会話が減ってきてはじめて、“自分しか愛せない男であること”がチラチラ見えてくるものの、女は見て見ぬふりして、うっかり結婚までいってしまいかねないのだ。最大の不幸は、自己愛の強い男と暮らすと、一人でいるより、はるかに孤独であること。同じ部屋にいるのに自分が相手に全然見られていないのは、女にとっては屈辱的な孤独、いちばんの哀しみというわけだ。いちばん危険な出会いは気づかぬうちに忍びより、1年後2年後、幸せを感じたあとにやってくるのだ。言うまでもないが、草食男子にはこの手がたくさん潜んでいる。くれぐれも注意したい。

「相手が自分を見てくれていない生活は一人でいるより、はるかに孤独だ」

Edited by 齋藤 薫

公開日:2015.04.23

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