
人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。
2011年は、大卒女子が過去最低の就職率を記録してしまったというが、世の中にはもう「大不況だからこその“超氷河期”」というイメージはない。求人はけっこうあるのに、彼らの自信に見合う就職口がないだけという説も……。もちろんそういう夢と現実のギャップは大昔からあったけど、今どきはヘタな夢など見ない時代。昔の夢と現実は非常識にかけ離れたりしていたが、今のギャップは、それこそ入りたい企業のランクがワンランクだけ違う程度。しかしこのズレ感を今本当に多くの人が感じている。自信はあるが、それに見合う現実が訪れないから、自分を持て余す人が少なくないのだ。自信はあるのに、なぜ世間は自分をもっと評価しないのか?と不満をもつ人が。何だかおさまりの悪い自分の人生に戸惑い、苛立ちを覚え、ひどく不幸ではないが少し不幸と思っている人が。
だから聞いてほしい。今は、1~2年で世の中が変わっていく時代。なのにみんな、人生の長さを忘れている。目の前の数年分ほどの人生がすべてだと思いがち。だから目先の人生を今この場で小さくまとめようとする。その先に思いがけない変化が待っていることに全然気付いていないのだ。でも誰の人生もじつは信じられないほど大きく変わっていく。昔は三流企業に入ってしまうと、それを大きく転換させるチャンスはなかなかなく、悶々としたまま生きていくしかなかったが、今はそれこそ2年ごとくらいにチャンスがめぐってきて、いくらでも人生を変えられる。めまぐるしく社会が変わり、人の価値観も変わり、だから人も動き、ひとりひとりの人生も簡単に動いていく時代。だから就職できない学生も、とりあえずランクを下げて仕事を始めて、スキルをつけてから、いきなり一流企業へ飛び級するという方法もあるはずなのだ。
たとえばの話だけれど、昨年ブレイクして紅白の司会まで務めた松下奈緒も、“トイレの神様”の植村花菜も、まったくの新人ではなく、ある意味地道にキャリアを積んでいた人たち。でもある日唐突に大チャンスがやってきて、もともと才能があったからそのチャンスを確実につかんだ。いずれも自然な自信を秘めていて、気負うことなくチャンスに力を発揮したタイプ。もちろんこの先、一体何をするか、なのだけれども、少なくとも、力があれば必ず評価はされるのだという確信をもっただけでも、これからの人生まるで違ってくる。
人に見せない自信は、そういう時にこそエネルギーとして使うべき。いつか力が認められると信じるためにある“自信”。まさに自信は人に見せるものじゃなく、信じて待つためのもの。人に見せる自信は評価されない焦りをよび、自分を苛立たせるばかりだが、自然な自信がある人は強い。苛立たずに待てるから。だから秘めたる自信で自分を満たして、評価を待とう。悠々と。
「人に見せない自信は、自分の力を信じて、悠々待つためのもの」
Edited by 齋藤 薫
公開日:2015.04.23