連載 齋藤薫の美容自身stage2

泣く女と泣かない女の人生。 あなたは何のために泣くのか?

公開日:2015.04.23

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

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今どきはTVのバラエティなどでも、涙をよく流すのはむしろ男のタレントや男のアナウンサーだったりする。そう言えば、女はあんまり泣かない。涙を売りにしている男子アナはいるのに、涙を売りにする女子アナは見当たらない。単純に、男が泣くほうが面白いからなのだろうが、人前で泣く女は“あざとく”見えることも関係してる。もともと、涙は女のもの。事実“涙は女の武器”だった。でもだから“女の涙”は計算の象徴になり、不用意に人前では流せなくなったのだ。女があまり泣かなくなった背景にはそういうこともあるのだろう。加えて、気の強さが女の身上なら、強い心で人前では涙を見せない、逆に今の男は心が弱いから人前で泣くのをガマンできない。それが、男と女が“泣き”でも逆転した理由。 特に職場で女が泣くのはNG度がきわめて高く、みんなどんどんガマン強くなっていく。ただその流れかどうか、女は感動や義理人情にもあまり涙を流さなくなったと言われる。そもそも男は年をとるほど涙もろくなるが、逆に女は年をとるほど泣かなくなる。それはひとえにもっと心が強くなり、人として堂々、図々しくなるからである。

少女の頃に意味不明の涙が出たのは、心が安定していないから。ちょっとしたことで感傷的になり、心がハレ、そういう時にたとえばお財布を落としてお金をバラまいてしまうと、ワッと泣きくずれてしまったりしがち。泣くことで、たまったストレスを吐き出して心を整える“生理”が働くわけだが、こうやってワケもなく泣くたびに、女は大人になっていく。だんだん自分に起きているいろんなことに対して、心が強くなるのだ。わざわざ泣こうとは言わない。でも人の涙には、ストレス物質が含まれるから、泣かなくなると心が固まって動かなくなる。柔軟な心を持つためには、やっぱり“泣ける女”になるべきなのだ。ましてや、女も年をとるほど自分のためには泣かなくなる分、人の傷みには敏感に心を動かし、自然な生理で涙が出るようになるもの。

たとえば、あの震災のあと、あなたはどれだけ泣いただろうか?被災してしまった人はもちろんだけれど、そうでない人も“人の傷み”を想像したら、本来自然に涙が出るはずで、そこで涙が出ないのはやはり心が固まってしまっている証拠。“人のために泣けなくなっている”のは、いけない。いろんな経験をするほどに、もっともっと人の傷みに関心を持ち、心を奮わせるようになるのが、本当の成長。ただただ野太い心を持つだけじゃいけない。泣けばいいってものじゃないが、全然泣かなくなるのも違う。大人になっても自分のためにしか泣けない女は、だんだん顔が険しくなるが、人の悲しみ苦しみで、自然に出てくる涙が、身も心も浄化してくれることに気づかないといけない。自分のため……じゃない泣き虫は、けっこう魅力的であることも。

「人のために流す涙は、身も心も浄化してくれる。」

Edited by 齋藤 薫

公開日:2015.04.23

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