
人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。
ちょっと想像してみてほしい。もしもダルビッシュ有があなたの夫だったらと。もしも向井理があなたの恋人だったらと。嬉しいけれども困る、というのがホントのところなのじゃないか。そういう意味で、ダルビッシュの元妻はずい分と勇気があった。いや、恋愛中はそんな困惑が入り込むスキなどないのだろうが、気持ちが落ち着いてきた時、急にモロモロ不安になるはずで、いちいち疑い深くなるか、なんだか“素直な女”になれなくなるのかのどっちか。
結局、あのカップルは破局した。ただその原因については、当然“夫の浮気”だろうと誰もが想像したのに、途中から妻の方にも“男の存在あり”と報道されるようになる。何となくわかる気がした。勝手に決めつけて申し訳ないが、あくまで“一般論”として、こういうケースでは、何もないうちから男の裏切りを心配するあまり、逆に女はある種の保険が欲しくなる。だから、何だかとても大胆になって、自分の“女”の部分を外に向けてアピールしたくなるのだ。
実際に夫に裏切られたら、逆にそんなゆとりはなくなり、その不実を暴くことに必死になるのだろうが、まだ“そういう可能性に怯えている”段階だからこそ、大胆になれてしまう。言いかえれば、女は “仕返し”って、なかなかできないもの。本当に心が伴わないと浮気ってできないのが女という性。だからこそ心にゆとりがある時に、自分がキズついて傷まないよう予防線を張るものなのである。
ともかくそういうふうに、女も冷静な判断力を失う。“絶世の美女”を妻や恋人にした男よりも、むしろ心配性となるようだ。それはもう女の生理としか説明できない。いわゆる第六感も女の方が優れているのは、子供や自分の命を守るためであると同時に、オスの裏切りを見破るためとも言われる。
ましてや、どんな女でもときめいてしまういい男が、暫定的に自分のものとしてそばにいるのは、女をそれだけで追いつめるのだろう。とびきりにいい男の前では、たとえ“好み”じゃなくても、何だかドギマギしてしまうのは、明らかに女の本能。“好みじゃない超イケメン”に話しかけられると、なぜかひどく不機嫌な態度をとってしまったりする覚えはないだろうか?“男が美人に弱い”より、免疫ができていない分だけ、もっと弱いとの説もあるのだ。
そんなこんなで、恐るべきいい男の恋人や妻になると、女は無駄な浮気をする?もちろんこれは極端なケースだが、嫉妬深くなったり、相手を束縛する見苦しい女になることを、前もって避けたいと考えた結果なのである。
でも、そこにひとつの誤解がある。気づいてはいなかっただろうか?超イケメンは不思議に恋愛に対してマジメ。女グセは悪くない。必死にならなくても女が向こうから寄ってくる男は、そこにガツガツしないから、むしろ真実の愛を求めるタイプが多くなるのだ。キムタクに不倫報道がなく、福山に最近まで浮いた噂がなかったのはその証。むしろブサイクな男の方が、女への執着は強くなる。だから意外だけれど心配には及ばない。むしろそういう男は“見てくれ”ではない自分を、ちゃんと素直に心から愛してくれる女を探している。そこを決して見落としてはいけないのだ。
「女たちは誤解してる。美しすぎる男こそ、真実の愛を求めてる?」
Edited by 齋藤 薫
公開日:2015.04.23