
人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。
女同士の場合は、相性以前に“誰とでも合う人”と“誰ともあんまり合わない人”が決定的にいる。あなたは10人の女がいたら、何人と合う女だろう。それを何となくでも把握しておくべきだ。その人数があなたのイメージを決めているのだから。「私、だいたいの人と大丈夫なんだけど、彼女だけはダメ」「私も、彼女はダメ」。でもその“彼女”ともかろうじて合う人はいて、そういう人はたぶん10人いたら10人すべてと合う女。人は基本、人を好きな分だけ人にも好かれ、人を嫌いな分だけ人にも嫌われるから、人間の許容範囲はそのまま好感度となる。だから10人のうち3人しか合わない人は“ちょっと取っ付きづらい女”、2人しか合わない人は“難しそうな女”、そして1人しか合わない人は“嫌な女”。知らず知らずそういう印象を醸し出している。
でも、“女同士の相性”の仕組みは案外複雑で、それだけじゃ終わらない。単純に“似た者同士”と“正反対の者同士”、どちらも相性はいいと言われるが、たとえば、前向きと後ろ向きの人は案外うまく行ったりする一方、悪口を言う人と言わない人は、基本的に合わないと考えるべき。
まず、後ろ向きな女の話は、前向きな女じゃなきゃ気がめいって聞いていられない。逆に、前向きすぎる女の話は人を疲れさせるから、いっそ後ろ向きな女の方が楽に聞いていられる。同様に、“否定形ばかりの女同士”が会話をすると、最初は同調できても、やがてお互いを否定することになり、必ず破綻が起きるから否定×肯定の方が、組み合わせとしてはうまく行く。否定してもしても肯定で受ける会話は、お互いを疲れさせず、イライラさせないからである。
しかし、悪口ばかりの女は、やっぱり悪口ばっかり言ってる女との組み合わせしか成立しない。悪意と善意という、人間の見方、捉え方がまるで違う者同士の会話は、お互いをどうしたってピリピリさせるから。もちろん第三者の悪口は大なり小なり話が盛り上がり、ある程度は人と人を近づける引力となる。それも悪口は伝染するから。しかし、悪口の量や質が一定量を超えると、善意の人には一種の拒否反応のような生理現象が起き、相手を受け入られなくなる。しかも“悪口”はどんな会話より強いから、人を黙らせ、精神的に激しく疲労させるのだ。
結局のところ、相性のすべては“2人ごはん”を食べて、疲れるか疲れないか?別れる時に元気かへとへとか、そこでハッキリ決まってしまう。大人になると、実際にテーブルを囲まなくてもそれが判断できるようにもなるはず。だから“2人ごはんまではしないけど、しなければずっと仲良しでいられそうな女”とは浅く付き合おう。“2人ごはん”を境界線にして、2種類の目で女を見るといい。女はやっぱり取っ付きにくい、難しい……と思われない方が幸せに生きられるから。“一見友だちの多い孤独な女”って世の中には少なくないし“嫌な女って誤解され続けるいい人”も、じつは少なくない。どちらも避けるために2人ごはんの法則を忘れずに。女は、ごはんで疲れない人生を送るべきなのだ。
2人ごはんをするかしないか?それを境界線に、二重の目で友を選び、絶対に疲れないごはんを食べよう。
Edited by 齋藤 薫
公開日:2015.04.23