
「美しさ=若見え」という意識はもはや古い? 女性の意識変化に加え化粧品の進化によって、年齢と美しさの関係はどんどん薄く。「エイジングケアとは」について今改めて考えます!
若見え志向ビューティは、もはや痛すぎる【エイジングケアの意味が激変中】

美容エディター
近藤須雅子さん

「若見えしたからって何なん?」とクリニークがアンチ・アンチエイジングを提唱したのはʼ80年代初め。ここまで来るのに40年も……。
【年代別の「うるおい」スコア】4/5の人の割合〈1:悪い~5:良い〉
肌のうるおい(水分量)の調査結果で、スコア4、5の人の割合は70代以上の人が最も大きいことがわかった。資料提供/ポーラ

まずは上のグラフをご覧あれ。20代よりも30代よりも70代のほうが肌のうるおいは上?! 加齢とともに肌の水分量は低下し干からびていく、というこれまでの皮膚理論、いったい何なんw。
もちろん、この調査は高級ブランド、アペックスによるもので、参加した70代もタダモノじないと推測できる。高級コスメでスキンケアのキャリアを積んできたマダムたちだろうし、そんな大先輩に、20代なら若さでまだ対抗できても、30代40代はもはや歯が立たないらしい。
さらに化粧品の驚異的な進化というファクターもある。今やトップクラスのケアラインは、「エイジングの進行をスローダウンさせる」なんて定義を遙かに越えたレベル。最新版ポーラのB・Aのテーマは、遺伝子研究をもとに「細胞レベルの老化を押しとどめる」ことだし、ノーベル賞クラスのスーパーな先進性で知られるゲランのオーキデ アンペリアルは、たるみ肌の引き締めという、美容医療でも不可能な領域に。ヘレナのリプラスティラインの愛用者(母)は娘より肌状態が若いというレポートもあるほど。もはや若さの意味もわけわからない。
こうして年齢と美しさの関係が希薄になってきたからこその余裕なのか、「別に若くいたいとは思わない」という女性が世界中で増えている。シャネルのリサーチ&テクノロジー ディレクターのサンドラ・フォレスティエさんの「アンチ エイジングという言葉は死語になりつつあります。人は年齢を重ねるとともに自尊心は高まり、自信に溢れるようになるのです」という言葉は、そんなトレンドを如実に表すもの。「シワやシミで、私の価値は下がらない」というカッコイイ洗練マダムが、今後、さらに増殖する模様だ。
これぞ、化粧品が進化し誰もがキレイを手に入れられるようになれば、かえって外見より中身が勝負になるというパラドックス。加齢をポジティブに捉えられるのはハッピーだけど、“若さ”にあぐらをかいているとかなりヤバメだよ。
美容医療でさえ困難な、肌の引き締めに挑む意欲作。

オーキデ アンペリアル ザ リフト セロム
30㎖ ¥60000/ゲラン
睡眠中の肌の再生力を強化して、たるみさえ改善する夜クリーム。

ル リフト クレーム ドゥ ニュイ
50㎖ ¥17000/シャネル
もはや“若返り”ではなく“生まれ変わり”レベルの肌質アップを目指す最新クリーム。

B.A クリーム
30g ¥32000/ポーラ
撮影/吉田健一
Edited by 大森 葉子