
人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。
“一生ものの友だち”をつくるのは、結婚相手を見つける以上に難しいこと、若いうちに知っておくべきだ。なぜなら、女同士には“真の結びつき”ができるまで、何枚ものカベがある。男と女はそれこそ“関係”をもてば、そんなカベなどアッという間に外せるが、女同士はある程度、時間をかけて段階を踏んで、一枚ずつ一枚ずつそれを取りのぞかないと、一生“裏切らない友だち同士”にまでは到達できないのだ。
そもそも女同士は、お互いの立場が変わるたびに関係が変わっていく。たとえば、結婚してたちまち3人の子持ちになった女と“結婚しない女”が、ずっと同じ価値観を共有していくのはやっぱり難しいし、年収数億の男と結婚した女と、年収400万の男と結婚した女が、ずっと共感をもち続けるのも、お互いよほど人間ができていないと難しい気がする。お互いの立場との“すり合わせ”が必要だからこそ、一生友だちを続けていくには、何枚ものカベを乗り越えなければいけないのだ。
友だちのつくり方には、3種類ある。たとえは悪いが、バーゲンで目につくものをいくつも手に取ってあとで絞り込むように、縁のあった人とは構えずに付き合ってみてから、ひとりひとり見極めていくという友だちのつくり方。逆に、あらかじめ精査して精査して、確信をもたないと付き合いそのものを始めない慎重なつくり方もあるはずだ。もうひとつ、ともかく誰であっても縁があった人とはイチからこつこつ友人関係を築きあげていく、というつくり方もあると思う。
絞り込む方法は、面倒なモメ事を覚悟しなきゃならないし、慎重を期す方法は忍耐を要するし、イチから友人関係を築く方法は、努力が必要。いずれも時間がかかり、簡単ではないが、自分に向いている方法をそこから探し出すしかないのだ。それでも、ある段階でふとたち止まるはずだ。私は“一生の友だち”が本当にいるの?と。“一生ものの男”を見つけるのに忙しくて、気づいたら、“一生モノの友だち”をつくらずに来ちゃった人。絞って絞って、気づいたら誰も“一生もの”と思えなくなっていた人。男は“探すもの”だが、女友だちは“残すもの”。積み重ねが必要だから、のちのち気づいたら1人も“一生ものの友”がいなかった、では遅いのだ。手遅れにならないよう、20代30代から意識して“一生もの”を残していってほしい。もう今日から本気で、始めたいほど。それでちょうどいい。そのくらい人生において大切なことだから。歳を重ねてから、突然“孤独”に襲われることは人生いちばん避けたいから。
なぜなら、“人”こそいちばん大切な財産だと気づく日は必ずくるものの、それは“手遅れ”になってから。もちろんたくさんいなくたっていい。でも自分にはそういう友がちゃんといる。そういう確信をもてることが何より大事。だって人生の後半における“心の豊かさ”は、“物質”ではなく、ひとえに“人”が与えてくれるもの。つまり歳を重ねたら、“一生ものの友だち”の有無が、そのまま魅力の量につながり、真の友がいない女は、それだけ薄っぺらく見えるのだ。一生別れたくない男と、一生別れたくない女友だちが両方いる女がいちばん美しい。女ってそういうものなのである。
一生別れたくない男と、一生別れたくない女友だちが両方いる女が美しい!!
Edited by 齋藤 薫
公開日:2015.04.23