連載 齋藤薫の美容自身stage2

美人と引き立て役の関係について、もう一度考える

公開日:2015.04.23

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

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『バチェロレッテ—–あの子が結婚するなんて!』という映画が公開された時、キャンペーンの一環として、秘めたる女たちの本音が公開されて、ちょっと物議をかもした。 「親友の婚約報告に、血の気が引いて、すぐに “おめでとう”と言えずに黙ってしまった」 「なぜ、あの子が私よりも早いの?ありえない」 「Facebookの結婚報告に“いいね!”は押さない」 「疎遠気味の独女仲間からの年賀状。“今年はいい報告ができそうです♡”予告ホームランならぬ、予告ゴールイン!イラッとしてしまう」

などなど“女友だちの結婚”を素直に喜べない女たちのつぶやきに、じつは私も……と密かに共感する人もいるのだろう。その映画は学生時代の仲良しグループで、いち早く結婚を決めたのが、グループの中でいちばん冴えないおデブだったことをテーマにしていて、けっこうな年頃の女友だちは、“なんであの子に先を越されなきゃなんないの?”と怒りと焦りと脱力感に苛まれるのだ。

今思うと、『SATC(セックス・アンド・ザ・シティ)』はそういう意味でまったく善意のドラマだった。4人の仲良しグループの誰ひとりとして仲間の幸せに嫉妬しない。結局最後まで結婚しないサマンサは、セックス至上主義の独身主義者。だから誰がどう幸せな結婚をしようが構わない。いや、誰も自分と仲間を比較しないから素直な拍手ができるのだ。なぜなら、誰も誰かを引き立てていないし、ひとり得する者もなし。それぞれ見事に個性的な女同士なら、比較できずにうまくいくという教え。

しかし引き立て役はふたつにひとつ。自分は引き立て役だって気づいていないか、逆に引き立て役って、重々知っているけれど、それでもみんなと仲良くできる子。どちらの場合であっても、引き立て役って見事な女。気づいていてもいなくても、自分と友だちを比較しようとはしないのだから。自分の方が見劣りする事実を知っていても、比較はしないって可能なのだ。そういう女だから、いちばん早くプロポーズされたと考えるのがドラマ的。比較しない女は、それだけで愛される人柄を形成するから、ふくよかな肢体と、そういう体によく似合う笑顔で、いい男を魅了し、高めの結婚ができた。そういう裏ストーリーが見えてくる。かくして、美人と平気で一緒にいる“引き立て役”の多くは、もともと自分と美人を比較しないメンタリティ。だから卑屈にならず、かと言って開き直ることもなく、いつもニコニコしていられる女が多いのじゃないか。そういう現実を浮き彫りにする映画で、「なぜあの子が先に行くわけ?」と思った経験がある人のコメントをのっけて見せたことは、やっぱり露骨な教訓だ。

女同士もウサギとカメ。自分の魅力と能力に慢心して、世の中なめていたら、ひたむきに歩き続けるカメに負ける……わかりやすすぎるけど、そういうことってあるのだ。もう昔の少女マンガのように美人ひとりがチヤホヤされ続けて、引き立て役が子分になって損ばかりする時代じゃないのである。女はみな平等。人生総合的に見れば、美人の方が得すると考えるのはあまりに短絡。美人の方がよほど厄介なことにそろそろ気づいておきたい。だから逆に、世の中丸く収まることも。

引き立て役は、比較しない女。だからそれだけ愛される人格を形成し、知らないうちに勝つ女!!

Edited by 齋藤 薫

公開日:2015.04.23

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