連載 齋藤薫の美容自身stage2

女の運命は、かくも”ホルモン”に支配されている

公開日:2015.04.23

人気連載「斎藤薫の美容自身 STAGE2」。 毎月第2水曜日更新。

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排卵日の女は放っておいてもモテまくるという運命論

「僕は、生理中の女性とすれ違うとわかっちゃう」。そう言った男がいる。なぜ?と聞いたら「何となく」。動物的なカンらしいが、やっぱり不気味だ。でも一方に、こんな実験結果がある。「男は、排卵日の女を好きになる」これを裏づけるため、アメリカのある大学が、排卵日とそうでない日の女性の魅力を、男子学生をモニターにして徹底比較。すると、ものすごいことがわかってしまう。

排卵日はエストロゲンの分泌量が高まり、肌のハリとツヤが増すのはみんな知っていたことだが、何と顔だちまでがキレイに見えることがわかったのだ。確かに生理前や生理中は顔がむくむが、そういう話じゃなく、本当に顔だちそのものが美しく整うのだ。じつはそれも、子孫を残すための生理現象、確実に“雄”の気を惹かなければならないから、生殖のために鳥が美しい声で鳴くようなもの。そうそう、排卵日の女は、声まで美しく魅力的になるらしい。“体つき”だって形の違いまでは認められなくても、フェロモンが全身から湧き出て、仕草はもちろん脚やくびれも、何やら色っぽく見えるのだろう。匂いも違う。それ自体をフェロモンと定義づけてもいいが、実際に匂いがしなくても、ある種のテレパシーで女は男に排卵日を伝えていたのである。

従って、その日はとんでもなくモテる。ひと目惚れされたり、いきなり求愛されたり、ありえないような出会いがあったり。人生レベルの不思議なことが起こったりする。それも見た目の変化だけじゃ説明がつかない。何やら神秘的な力が備わるから、“その日”は頭脳も冴えわたる。良い子孫を残すため、相手を見極める能力も全開になるわけで、生き物が“子孫を残す”というのはそのくらい絶対のこと。その宿命は変えられないのだ。

となれば問題は、それ以外の日をどうするのか。言うまでもなく、排卵日は1日。日をまたいだとしても2日……。いちばん美しい日が月にたった1日なんて、それ自体不幸。とりわけ生理前から生理への1週間は肌あれやニキビに悩まされるから、もともと女は“女”を捨ててきたはずだが、生理前はそれこそ“万引き”に走ったり、やたら攻撃的になって“破局”や“絶交”も多くなるとされており、この期間はなるべく人と関わらず、“軋轢”や“失敗”のリスクを抑えておくべき。人生を破壊してしまいがちなタイミングに人生を動かすなど、絶対タブーなのだ。

じゃあ“生理前後”でも“排卵日”でもない約3週間あまりはどうするか?おそらくそこに排卵日のような自分をキープするのが、女の隠れテーマなんである。人を惹きつける“魔性”のような不思議な引力が備わって、言ってみれば“運命を塗り替えられるほどの日”を1日でも長くして、運命の間口を広げるのがテーマなのだ。ただそれもこれも、最近の研究でわかったこと。研究が進むほどに、人間はますます動物なのだとわかってしまうのは皮肉だが、でもあらためて気づかされるのは、やっぱり私たち女は愛されるために生きているのだということ。子孫を残す以前に、ちゃんと男に愛されるような体のしくみを持ってこの世に送り出されたのを思い知るのだ。

愛される女と愛されない女を分けるのも、じつはホルモンだった

もうひとつの問題は個人差だ。顔形ではなく、あくまでもホルモンバランスによる魅力の個体差。これも動物に学ぶほうが早いのだが、パンダにも雄にやたらモテる雌がいて、他の雌には冷酷で乱暴な雄も、その雌には優しく甘く接し、文字通り恋をして何回でも子孫を残そうとする。もちろんその雌に見た目の差はなく、100%中から出てくる魅力の差。パンダに美人と不美人がいるというのは人間の勝手な言い分で、パンダ同士の好き嫌いは、ずばりホルモンで決まるのである。ともかく雄雌がいる限り生理的に分泌される性フェロモン。それが人間にはないと考えるほうが不自然だ。

ちなみに性フェロモンは、汗や皮脂がつくる“体臭”とは違う、もっと体内から発せられる霊的な匂い。“ダウンパフューム”が、特定の香りによって一人一人のその匂いをあぶり出し、匂いの個体差を分類してみせて話題になったが、そこに現れる匂いはまさにホルモンバランスがつくるものらしく、うっとりする香しさになる人もいれば、独特かつビミョーな匂いになる人、ほとんど匂わない人もいる。本当にその匂いがフェロモンの正体なのかどうかは別にしても、匂いによって愛される女と愛されない女がいるのは確か。間違いなくホルモンバランスによるものなのだ。

男の場合は、男性ホルモン“テストステロン”の量が、男らしさや魅力の有無に直結することがわかっているが、女のホルモンはもっと複雑で、エストロゲンに加え、テストステロンも含めたいくつかのホルモンが、“女前”も人間性も決めてしまうと考えてもいい。生理前に攻撃的になるのはテストステロンが増えると同時に、冷静さをもたらすホルモンが低下するから。まさにバランスが女の運命を操ってしまうのである。もちろん、何でもかんでもホルモンのせいにはできないが、自分で自分を制御できなかったり、ありえないことが起こるのは、やっぱりホルモンの仕業。少なくともエストロゲンのレベルを高める方法は昔からたくさん語られてきたが、それを単純な“美肌効果”と片づけず、むしろ運命を操縦するホルモンとして、本気で高めたいのだ。排卵日のような自分を常につくるため。

加えて、運命を好転させるためのホルモンに、通称“恋愛ホルモン”とも呼ばれるPEAがある。人を好きになると突然キレイになるのは、女性ホルモンよりもむしろPEAのレベルがぐんと上がるから。このPEAがドーパミンの分泌もアップさせることから、食べなくても元気、眠らなくても元気、というエネルギーとテンションをもたらし、いつの間にかキレイに痩せたり、見るからにキラキラしたオーラある女になっていたりする。

近頃は恋愛なんてしなくたって、男なんかいなくたって、女はキレイでいられる、ステキでいられる、という見方が一般的になってしまっているけれど、それだけは違うと思う。恋を忘れた女は歌えない小鳥みたい。女性ホルモンやPEAの恩恵を受けられないから、何だかそれだけでカサカサくすみ、なのに妙にギラついていて、元気もなく機嫌も悪く、どんより暗い……言ってみれば“生理中の女”のあのいやなカンジと一緒。そういうふうに“女”を捨てるのは間違ってる。だからやっぱりもっと恋をしよう。未婚だろうが既婚だろうが、てっとり早くホルモンの力を全開させるのは、やっぱり恋。女を女にするホルモンの力を無視してはいけないのだ。ホルモンを意識し始めたとたん、女の運命が変わる。人生がぜん面白くなる。

排卵日の女は、顔立ちまで整う。そこまで女は男に愛されたい生き物なのだ

Edited by 齋藤 薫

公開日:2015.04.23

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