1. VOCE編集長が社長に直撃インタビュー!ホリスティックビューティを目指すアヴェダの真髄とは!?

2016.09.30

VOCE編集長が社長に直撃インタビュー!ホリスティックビューティを目指すアヴェダの真髄とは!?

1978年、オーガニックやエコロジーという考えが一般的になる前に、アメリカ・ミネアポリスで誕生したブランド、アヴェダ。徹底した環境への気配りと、ホリスティックなアプローチを実践しているブランドの熱い思いを、アヴェダ社長・ドミニク・コンセイユ氏にVOCE編集長・石井亜樹がインタビューした。

VOCE編集長が社長に直撃インタビュー!ホリスティックビューティを目指すアヴェダの真髄とは!?

他とは違う、アヴェダのスゴいところとは?

アヴェダはちょっと普通の企業とは違う気がする。以前からそう思っていたけれど、アヴェダのことを知れば知るほどそう思うようになった。シャンプーや化粧品などのプロダクトは、持続可能な植物ベースの原料の調達をし、100%再生可能なエネルギー(=なんと風力発電!)で生産されている。フェアトレードや環境保護など、今では聞かれるようになってきたことにも当初から取り組んでいるという。

さらにアメリカ・ミネアポリスにある本社では、隣接している研究所や工場を含め、いろいろとユニークなところがある。社員には畑が与えられて、勤務中に世話をしてもいいそうだし、奥のほうではミツバチを飼っているらしい。社員食堂はもちろんオーガニックフードが大充実なんだとか。そんな話を聞くうちに、アヴェダの本社を訪ねてこの目で見、そのフィロソフィーに直接触れてみたくなった。

ついに……ミネアポリス本社へ!

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念願がかなったのは7月のこと。冬はマイナス30度にもなるというミネアポリスにとって短い夏、一番いい季節だ。実際に行ってみてわかったことは、環境保全ということに対して徹底したポリシーを持っているということ、そして本当に素晴らしいミッションを持ったブランドだということだ。化粧品を選ぶときに、そのブランドのフィロソフィーに共感することは、特にこういう時代だからこそ、大切になってくると思う。

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ミネアポリスの郊外、総面積23.4ヘクタールの広大な敷地にアヴェダの本社、研究所、工場が集まった場所は、緑豊かでのどかな雰囲気。本社の前の芝生にはトーテムポールが立てられていて、そばには果樹や花々が植えられ、蝶やミツバチが飛んでいるような場所だった。「WILD LIFE Habitat.DRIVE WITH CARE(野生動物の住処です 運転は慎重に)」と書かれた小さな看板は、その環境が”本物”であることを物語っていた。

敏腕&オーガニックな社長にインタビューを敢行

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現社長のドミニク・コンセイユ氏は、日本の外資系化粧品会社で副社長をつとめていたという前歴の持ち主。2000年に創業者であるホースト氏からアヴェダを引継ぎ、それまではまだ20%程度であったアヴェダ製品のオーガニック率を植物原料は90%、エッセンシャルオイルは94%にまで高め、さらに右肩上がりの成長をもたらした人物だ。

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また、インタビューにはアヴェダのトライバル エルダー、シヴナ・タンドン氏も同席してくれた。シヴナはアヴェダの創設メンバーの1人で、インドから創設のために渡米し、創設者のホースト・レッケルバッカー氏をあらゆる角度でサポートしながら、アヴェダの発展に尽くしてきた人物。インドに生まれ、ヒマラヤ出身の高名なヨギ、スワミ・ラマ師の弟子として修業をしていた。彼はアヴェダの精神的な支柱で、ドミニクのよき相談相手であり、アヴェダの社員全員から慕われている導師のような存在といってもいいだろう。実際に会うと、すべてを見通しているような深い目をした穏やかな人で、取材班も皆、いっぺんで大好きになってしまった。

“Looking Beauty”は“Feeling Beauty”から始まる

インタビューは、アヴェダの人気製品であるストレス フィックスを1本づつ皆で使って深呼吸をしてからはじまった。

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ーーラベンダーのいい香りですね。

ドミニク「このストレスフィックスのアロマは、ストレスを軽減して集中力を高めてくれる働きがあります。会議の前や仕事を始める前にほんの数分、腕や首筋などにロールオンして深呼吸やメディテーションをするだけで、きっといいアイデアが出ますよ。アロマテラピーと瞑想は、アヴェダの大きな柱であるホリスティックであることにもつながるんです。気持ちがよくなることで美しくなるということは、アーユルヴェーダの神髄でもあります。美しく見える、ということはエフェクト(効果)の一種ですが、その効果は美を感じることに由来するんです。病は気から、と言いますが、美も気から、なんですよ」

ーーアヴェダがホリスティックなブランドだということをもう少し詳しく聞かせてください。(編集部注:ホリスティックとは全体的、包括的という意味。ギリシア語で全体性を意味するホロスという言葉が語源)

ドミニク「アヴェダという名前は、インドのサンスクリット語で「すべての智慧」を意味します。人と環境の調和、顔や身体に塗る化粧品とマッサージなどの施術の融合、あるいは伝統的なインド医学と西洋科学の橋渡しをして本当に効果のある製品をつくりだすこと。これらは全てホリスティックなのです」

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ドミニク「例えば、アヴェダのユニークな製品、チャクラ バランシング ミストを例にとりましょう。このチャクラ バランシング ミストは私が社長に就任してすぐの2001年にアーユルヴェーダの権威であるウパディエ博士夫妻と、アヴェダの調香師、アロマ療法士、薬理学、自然薬学、植物科学などアヴェダの内・外部の専門家たちと協働でつくったものです。このミストはチャクラに対応した香りになっていて、アロマテラピーのように部屋や顔以外の身体に使ったり、メディテーションのときに使ったりすることをおすすめしています。深い瞑想やインスピレーションを得ることができる製品だと思いますが、西洋的には確固たるエビデンスを提示しないと効果をうたえないわけです。チャクラの存在をどうやって証明すると思いますか?そんなものは存在しない、と思っている人すらもいるのに(笑)!しかし、ロシアの原子物理学の先生がチャクラのエネルギーを測定できる装置をつくってくれました。自然界の力やインドの智慧を西洋科学的に証明していくことは、アヴェダの使命の一つなんですよ」

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シヴナ「曇った日にはチャクラは見えづらくて、晴れていると見えやすい。これは人が自然と調和しているということです。インドではアーユルヴェーダはエネルギーセンターという位置づけで、チャクラがきちんと開いて、活性化しているとエネルギーが身体を流れ、心身ともにバランスのとれた状態に導かれると考えられています」

ドミニク「今、アヴェダの使命という話をしましたが、創業者のホーストはインド、リシュケシュでアーユルヴェーダと出会いました。彼はそれまで、いわゆるカリスマ美容師として世界中でヘアショーを行うような存在だったのですが、あまりに仕事が忙しく、生活リズムも乱れていて、疲れ切っていたんです。彼は人の勧めもあって、ヒマラヤにリトリートに行きました。そこでスワミ・ラマという高名なヨギ、その弟子だったシヴナ、そしてアーユルヴェーダと出会ったのです。のちにスワミ・ラマのすすめでシヴナを伴って帰国し、アヴェダを立ち上げるわけですが、それまでに2年ほどアーユルヴェーダの医者や研究者と、アーユルヴェーダについて深く学びました。アーユルヴェーダによって自分の健康が回復したからです。身をもって経験したことを活かそうとしたわけですね」

ーーご自身もアヴェダの社長になってインドに行かれたそうですね?

ドミニク「私がインドへの旅にでたのはアヴェダのルーツともいえるアーユルヴェーダ、そしてインドをこの目で見てみたかったからです。妻とそれからシヴナとひと月ほど旅しました。いろいろな人と話し、インドという国を見たことで、行く前とは人生観が変わりました。以前はインドの人たちは貧しい人が多いんじゃないかと思っていましたが、それは間違いでした。彼らは貧しくても信仰があり、精神的にはとてもゆたかな人たちでした。インドにはあらゆるところに信仰があり、人生を冒険している。むしろ貧しいのは私のほうではないかと思ったほどです」

シヴナ「全てにおいて経験することが大切だということをドミニクは知っていたのだと思います。社長になるのにインドに行くことは必ずしもしなくてはいけないことではなかったのに、彼は自分自身でそれが必要だと思ったわけですから。ホーストがインドで経験したことを、自分自身の体験にするためにね」

ホリスティックビューティが目指すもの

ーー2000年にアヴェダを指揮するようになってから、製品を内容、方法ともに環境に配慮してに作ることに注力されていますね。

ドミニク「環境と調和するということは、ホリスティックだということです。物をつくるときに水や空気を汚してはダメです。なぜなら、私たちはその水を飲み空気を吸っているからです。創業者のホーストも、ヘアスタイリストとして、自分の前の椅子に座っている人を美しくしたいのと思うのと同じ強さで、環境も美しくしたいと考える人でした。環境にたいして責任を追うのは産業や政府だと考える人は多い。でも、人が物を欲するから、産業がそれをかなえるために活動するわけです。個人がゴミを1袋出してしまうとき、その1袋に入っているものを作るコストはその70倍という計算式があるそうです。産業を個人が変えるのは難しいですが、自分なら変えることができる。そういう意味で、環境に対する配慮は個人個人がするべきものだと考えています。ホリスティックであるということはまた、自分が責任を持つということでもあるんです。アヴェダではそれを企業に置き換えて考えています」


ーー環境に配慮しながら製品をつくることは、コスト的に見合うのですか?

ドミニク「コストがかかるのは2つ理由があります。まず、商品を作る最初の段階から、環境について配慮をしないとコストがかさみます。例えばパッケージデザインを考えている途中で環境に思い至るのでは間に合わない。でも出発点を環境に優しいものというところに置けば、コストは高くなりません。もう一つはイノベーションに対する考え方です。イノベーションはコストがかかると思っている人がいますが、たいていのイノベーションは最初は投資が必要でも、成功すればコストが下がるんです。コストがかかるということで環境に対する配慮を諦めてしまうことは間違いだと思っています。アヴェダでは2000年からコストは下がり、利益は右肩上がりに増え続けています。環境についての配慮を考えることがイノベーションになっているわけです」

シヴナ「日本では靴と室内ではくスリッパを分けていますよね。衛生的で環境も汚さない、とてもいいカルチャーだと思います。それと同様にイノベーションとは、人間や環境にとって何がいいかを考えることなんです。値段が手ごろであることは重要ですが、それが第一ではないんですよ」

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アヴェダ本社の入り口。壁にはアヴェダのミッションが英語で書かれている。全社員がそらんじることができる大切な言葉だ。

ドミニク「アヴェダは持続可能な環境の追求以外に、責任ある方法で企業活動を行う道はないと信じており、この信念に基づいてあらゆる意思決定をおこなっています。この信念は私だけがそらんじていることではなく、アヴェダの社員の誰に聞いてもいえることなんですよ。私がこの会社にきていちばん驚いたのは、社員のモチベーションの高さであり、みながアヴェダのミッションを達成することに意味があることを信じていることです。アヴェダが”すべての智慧”を表し、ホリスティックなビューティを掲げているということはもちろん、環境と人を包括的にとらえるという大きな意味もあるのです。

本当のビューティの価値を考えてほしい

ーー日本でもオーガニックという考え方がずいぶん定着してきましたが、日本のマーケットをどうとらえているのですか?

ドミニク「オーガニックという考え方が浸透してきているのはとてもうれしいことです。アヴェダはこれまでもエンブライトメント、ダメージレメディー シリーズ、スムーズ インフュージョンのラインなどインスピレーションを日本にもらった製品がいくつもありますが、もっと踏み込んで製品も日本で開発できればいいと思っています。それには原料の問題を解決する必要があります。オーガニックな原料生産者が増えることはアヴェダにとっても喜ばしいことです。もちろん、日本のみなさんに製品を使ってもらえるのはうれしいことです」

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ドミニク「日本で私にとって、自らの仕事を全く違った意味でとらえなおすことのできたエピソードがあるんです。1997年の阪神淡路大震災のとき、私は日本で働いていたのですが、そのときに海外の新聞で、被災して避難所にいる女性に、何が必要かをインタビューした報道がありました。一つは安心して寝られる場所、もう一つは暖かいスープ、そしてもう一つは口紅だったんです。ビューティは自信をあたえてくれるもの、自分のやりたいことを助けてくれるものなんですよ」

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ドミニク「古代ギリシア、プラトンは真・善・美を一つのものとしてとらえ、理想として掲げていました。美しさとは本来表面的なものではなく、人間が追求するべき価値の本質なんです。みなさんも、本当の意味でビューティはなんなのかということを考えてほしいですね。アヴェダはただ商品を出すだけじゃなくて、深い価値を提供しようとしています。その人の人生に何か違いが出るほどの何かです。アヴェダのプロダクトを使ってもらったり、サロン、スパに来てもらって、自ら経験すること。それは頭だけでわかってるのとは全く違う、自分を変えることができるほどの力を持っています」

撮影/岡積千可 取材・文/石井亜樹(VOCE)

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取材を終えて
ドミニク社長が日本を離れて16年、再会はとても嬉しい形でかないました。ユーモアがあって優しい人柄はそのまま、まるで哲学者のように、美の価値や環境について語ってくれました。アヴェダのミッションはそのまま自身の信念となり、環境と人とを調和させる大きな目的で会社を率いているそのリーダーシップにも感服しました。美容という仕事が、人に自信や勇気を与えてくれる、そう感じることで人が美しくなるということを教えてもらったのはとても大きな収穫です。