1. おしゃれに生まれ変わった、人気スポット”高架下”の魅力とは?

2017.05.21

おしゃれに生まれ変わった、人気スポット”高架下”の魅力とは?

今、銀座や渋谷にオープンしているおしゃれな商業施設と並んで、高架下の店舗に注目が集まっている。思わずリピートしてしまう高架下の魅力について、東京情報堂代表の中川寛子さんに教えていただきました。

おしゃれに生まれ変わった、人気スポット”高架下”の魅力とは?

暗い、うるさい、狭い――。「逆三拍子」そろった鉄道の高架下ビジネスがにわかに活況を呈している。昨年11月にオープンした東京・東横線中目黒―祐天寺間にオープンした「中目黒高架下」には、蔦屋書店など大手から、しゃれたスパニッシュバル、B級グルメ感満載のから揚げ食堂まで28店舗が入居。他地域から訪れる人だけでなく、地元の人も利用する新たなスポットとして人気を集めている。

モノが売れないと言われて久しい。その一方で、都心部には東急プラザや銀座シックスなど新たな商業施設が続々とオープン。いずれもおカネをかけたラグジュアリーな空間が売りで、テナントには国内外の有名ブランドが並ぶ。こうした多額の費用をかけた高級施設の真逆を行くのが、高架下だろう。

地元の人が繰り返し通うところに

Image title

日本での高架下利用は1910年に新橋―上野間で開通した鉄道高架橋下から始まったが、近年オープンしている高架下の特徴は、単なる空間として使うのではなく、そこを訪れる人や住んでいる人をつないだり、街を活性化させる「ハブ」としての役割を帯びたりしてきていることだ。

中目黒高架下も人との関係や、地域の人を巻き込むことを重視して作られた。実際、出店している店舗の半数ほどは、中目黒で創業したなど、この地に何かしらの縁がある。また、地元商店会を通じて行った公募を経て出店に至った店舗もある。

店舗選定にあたっては人も重視したという。「中目黒のエリア外から来る人もターゲットとしつつ、メインターゲットを中目黒で働いている人、住んでいる人と考えた場合、1度来て終わりではなく、繰り返し来ていただきたい。そのためには味はもちろん、サービス、お客さまとのいい人間関係が作れる店主やスタッフがいて、あの人がいるからまた行こうと思ってもらえることが大事だと考えました」(東急電鉄都市創造本部・杉本里奈氏)。

それだけではない。高架下を眺めてみればわかるが、それぞれの店の作りが一軒ずつ異なり、個性的なのだ。一般的に、ある程度の規模がある商業施設は、施設としての統一感を大事にする。外装は施設側で統一し、内装を個店に任せるというようなやり方が多いわけだが、中目黒では外装もすべて個店に決めてもらった。

それは、中目黒がもともと路面店文化の街である認識からだ。スノッブなカフェもあれば、庶民的な居酒屋もあり、洗練と猥雑(わいざつ)さが入り交じる雑多さが中目黒の魅力。それを大事にして施設を作ると考えると、優先すべきは施設の統一感ではなく、さまざまな路面店が街に溶け込んでいる中目黒らしい風景ではないか、と考えたという。

建物上部に共通する黒い庇(ひさし)など、いくらか統一されている部分もあるが、それ以外はバラバラ。それをまとまりがないと評する人もいるが、かつて高架下にあった、闇市由来の居酒屋の雰囲気を上手に再現した店舗に人が集まっていることを考えると、この街らしさを尊重した作りは成功していると言っていいのではなかろうか。

中目黒の高架は古く、耐震補強などを繰り返しているため、狭く、鉄道施設もあって、使用できない場所もある。それを逆手に取り、意識して作られた人と親密になれる空間。誕生間もないため、リピーターの多い施設になるかどうかはまだこれからだろうが、人に会いに行く飲食店という発想に従来と違う楽しさを感じる人は少なくないはずだ。

高架下の使い方が変わったワケ

Image title

こうした「ハブ型」高架下のはしりと言えるのが、2010年にJR東日本都市開発が秋葉原と御徒町の間の高架下を利用した2k540 AKI-OKA ARTISAN(ニーケーゴーヨンマル アキ・オカ アルチザン)だろう。この高架下が従来の高架下と大きく違う点は3つある。

ひとつは、モノ作りをする零細、中小企業が多く入居しており、多くの商業施設で見るようなチェーン店がほとんどないという点。一般に大規模商業施設は、失敗を恐れるためか、ある程度の売り上げが見込める大手を入れたがるが、そのつまらない感じがないのだ。

2つ目は店舗、敷地内を利用してワークショップ、イベントなどが開かれており、人が集まるようになっている点だ。モノを買うだけのために立ち寄るのと、人と一緒に作業をするのでは共有する時間の長さは大きく異なり、そこで生まれる人間関係にも差が生じる。そして3点目は秋葉原、御徒町という2つの、従来行き来する人が少なかったところの中間点となることが意図されているということ。つまり、秋葉原と御徒町という2つの街のハブとなることを意識して作られたわけである。

次ページ
ほしいものは”わざわざ”買いに行く

  • 1
  • 2